大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太

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最終章 今こそ復讐の時

第十一話 事態の更なる悪化は防げたようだ

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「す、凄い騎乗スキルだ・・・この国の騎士のレベルを遥かに超えている。これが、地底人の力なのかな・・・?」

「それもあるだろうが、彼女のスキルが優れているのは、騎士団長であるからだよ」

「団長か!道理で強いわけだ!!・・・って、フランさん!!いつの間に・・・」

 気配を消していたのか、転移してきたのかは定かでは無いが、後ろに立っていたフランに驚くジューペとトーマ。彼は疲弊しているトーマから赤ん坊を預かると、アメリアの方へと歩いていく。

「おお!同志フラン!無事だったか!」

「ああ、君達の加勢のお陰でな。女王陛下」

「「じ、女王陛下!?」」

 更なる新情報に腰を抜かす仲良し2人。面白おかしくリアクションを取る2人を見てアメリアは笑みを零す。

「そうだ。この人の名前はアメリア・ジースト。騎士団をまとめ上げながら女王の役目も果たす凄い方だ。お前ら、運が良かったな、地底トップクラスの実力の持ち主に助けてもらえて」

「は、はい・・・」

「感謝します。アメリア女王」

 腰を曲げ、頭を下げるジューぺとトーマ。王族でありながら他人に感謝される事に慣れていないアメリアは少し頬を赤くしながら頭を上げるように促す。

「女王はつけないでくれ、むず痒いから。それと、タメ口だ頼む」

「そうですか?では・・・女王なのは納得したし、理解したんだが、コウスケとの間に子を作るっていうのはどういう意味なんだ?コウスケはメアリーと交際を始めたと聞いたんだが」

「彼の強い力に惚れたから彼女とコウスケにお願いして彼の子種をもらう事にした。それだけだ」

「ああ、成る程。そういう事ね・・・」

「そういえばコウスケは何処にいるんだ?てっきり戦ってると思い、ここに辿り着くまで戦場を駆け巡っていたんだが、全く姿がないんだ」

「それなんですけども、彼は剣を作りにある山の山頂に入ってまして・・・」

「剣?・・・そうか!アダム鉱石だ!!私があげたアダム鉱石で剣を作るために遠出しているのか!すまない!これは私のミスだ!許してくれ!!」

 今度は逆にジューぺ達に頭を下げるアメリア。別に彼女を責めているわけではない2人は慌てて彼女に顔を上げるよう促した。

「いや、良いんだ。アイツがいないのは本当にただの偶然でしかない。それに俺達は今までアイツらに頼りすぎた。ゾンビ騒動の時も、アモーラ狂信者の騒動の時もな」

「で、でもなるべく早く帰ってきて欲しいよな・・・あっ、でもブラックスミスの山まではすんごい距離あるんだった・・・」

「私のヌールならどのくらいでたどり着くだろうか」

「だから!コウスケに頼るのはやめろって言ってんじゃボケィ!今いない奴の事を考えるのはやめて、無限に増えてるっていう聖騎士ぶっ殺しに行くぞ!」

「富裕層エリアでジェイクを筆頭に戦っている。加勢してやってくれ。俺はこの赤ん坊を城まで運んでから向かう!」

「了解!」

「そ、その赤ちゃん運ぶのは僕が・・・」

「逃げんじゃねぇ!この野郎!!」

「ギャアァァァ!やめて!やめてぇぇぇ!!」

 短気なトーマは怯えるジューぺを引き摺りながら富裕層エリアへと走っていくのであった。



「・・・これは酷いな」

「街全体が半壊してしまっている。本当に始まってから四時間しか経っていないのか?」

「ああ!オレの鍛治場が・・・!弟子達がぁ・・・!!」

 天使ラヴが作った空中に映し出された映像を見て絶句する。暴れる数えきれない程の聖騎士、倒れていく戦士達、崩壊しかけた城下町。これが女神の・・・人を見守る存在のやる事か?と。

 今はアモーラの心境よりも助けに行く方が大事だ。しかし、助けに行く術が無いのが難点。ブラックスミスの山の山頂まで辿り着くのにかかった時間は実に3日。麓に馬を待たせているわけでもなければ、転移魔術をできるわけでは無い。ただただフラムの戦士達の健闘を祈るしかなかった。

 それに、まだ剣も完成していないという2つの問題が解決されていない最悪の状態だ。とりあえず1つずつ解決していった方が良さそうだ。

「まず、ここからどうやって戻るかだ。最終手段は健闘を祈るしかないが、なるべく帰れる手段を見つけたい」

「それじゃあ、フラムにアメリアちゃん達が刻んだ転移魔術の魔法陣を使うのはどうでしょうか?コウスケさん、一度描いた事があるんですよね?」

「あるけど、フラムの魔法陣は既にジーストに繋がってて遠く離れた山頂にいる俺がその繋がりを断つことはできない。どこにも繋がってない転移の魔法陣があれば話は別なんだけどね」

「皆さん、一刻も早くフラムに行きたいのですか?」

 黙ってきたラヴがいきなり立ち上がり皆に話しかける。

「私は皆さん全員を転移させることができます。私は同行できない上に人数によって消耗する力の大きさが変わってきますが」

 流石は人間の上位互換の生き物だ。移動手段が見つかった事で一先ず安心する。次は剣だ。ただの暴動だったら、アダム鉱石製の剣は後回しにして真っ先にフラムに向かったのだろうが、今回の暴動にいるのは神、しかもトップクラスの実力を持つ神だ。攻撃を与えるには同じく神の力を宿しているアダム鉱石製の剣が必要となる。

 しかし、一流の鍛治職人でもまだまだ作るのに時間がかかるという。

「魔術で火力を極限まで上げるか・・・」

「いや、そんな事をしなくてもなら1時間あれば素晴らしい獲物を作って見せよう」

 自分の鍛治場が破壊された事で意気消沈していた鍛治職人が顔を上げ、いきなり立ち上がる。いつの間にか鍛治職人の瞳は鉄色に変化しており、表情も貫禄のあるものへと変わっていた。様子の変化に既視感を感じた。

「あの・・・親方さん?」

「違う!!私は、ブラックスミス・・・この鍛治場の持ち主である」

 既視感はどうやら間違っていなかった様子。神の人間への憑依。ジェイクさんが蘭丸さんの記憶を戻す時に起きた現象だ。

「探したぞ。コウスケ・イズミ、ランマル・コバヤシ」
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