大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太

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四章 魔族との和平交渉

第三十九話 ハリネズミは隙だらけ

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「確かに良い作戦だなぁぁぁぁ・・・俺が同時にお前達を攻撃しなければきっと成功していただろうよぉぉぉぉ!」

 激昂したハリーは先程よりも更に大量に武器を作り出し、宙に浮かべる。全ての武器を私とメアリーの真上に設置すると、雨のように落とした。

「これはちょっとやばいね・・・」

「でも!好都合ともいえる!」

「確かに!」

  私達はハリーに向かって走り出した。武器の雨から逃げる為、逃げた先に立っているハリーを仕留める為。走っていると、全身がとても軽くなる。流し目でメアリーを見ると、私にエンチャント魔術をかけていた。

「『ライトウィング』!これで、身体が軽くなったはずだ!アメリア!一気に駆け抜けるぞ!」

「OK!任せておいてよ!!」

 足の回転を速くし、加速する。自分でも鎧を着ているとは思えない程の速度を出している。エンチャントの可能性が見えたような気がする。

 ザクザクと音を立てて武器が地面に刺さっていく。しかし、大量にある武器を全て操作するのが難しいのだろうか?後ろから私達を追うように武器が地面に刺さっていく。

「ちぃぃぃ!!舐めるなぁぁぁぁ!!」

 私達をこのままでは倒せないと察したのか。ハリーは怒りの叫びを上げながら、後ろだけじゃなく、私達が走り抜ける予定の場所にも武器を落とし始めた。相当無理しているようで、数本しか落ちて来ないが、それでも避ける手間が発生するので段々と後ろの武器達に追い付かれてしまう。

「こうなったら、この手しかねぇ!──────『ビルドアップ』!」

 メアリーが叫んだ瞬間、全身に力がみなぎって来た。筋肉が若干膨れ上がっている。筋肉増幅のエンチャントだろう。全体的に筋肉が増した事で地面を蹴る力も増したような気がする。前に落ちてくる武器も速度が上がった事で避ける事なく駆け抜ける事ができた。

「アメリア!2手に別れるぞ!」

「OK!」

 武器の雨から逃げるのに余裕が出来た私は左、メアリーは右に走っていき、左右からハリーを追いつめる事にする。はっきりと2手に別れたお陰でハリーは既にパニック状態だ。

「どどどどっちを狙う?銀髪か?それとも魔族騎士かぁぁぁぁ・・・ああ!もう、わっかんねぇ!!こうなったら、俺も一緒にあの世に行ってやるぅぅぅぅ!!」

 私の槍があと一歩で届くと思った瞬間、真上に再び武器が生み出される。範囲は直径30m。今更どんなに急いで逃げても刺さってしまう。ハリーは範囲の中心点に立っているのを見るに、自暴自棄になってしまったようだ。反対側を見ると、メアリーもあと一歩で拳が届く距離まで近づいてきている。

 互いに引き返して武器の雨から逃げる事はできない。なら、突き進むのみ!!

「これが最後のエンチャントだ!『フォースエレメント』!!」

 ハリーを貫かんとする槍の穂先に火、水、風、土の性質が全く異なる4つの属性が宿る。火と水は共存できないはずなのに槍の穂先に集約している。不思議で仕方がない。だけど、何故だかなんでも貫けるような気がしてならない。

 4つの交わり合うはずのないエレメント螺旋を描くように渦巻く。メアリーの拳にもまるで騎馬槍のように纏わりついている。武器がまだ降ってきていない。私とメアリーは同時に思い切り地面を蹴り、ハリーの両脇腹を貫いた。

「が・・・!!はぁ・・・!!」

 あばら骨の間をすり抜けて、肺を刺した感覚が手に伝わってくる。槍を伝って血が私の手へと近づいてくる。到達する前に穂先を引き抜くと、穂先には先程まであった4つのエレメントが消えていた。

「お、お前らぁぁぁぁ・・・俺の身体に、何、を、い、れ・・・・ぐあああああああ!!」

 ハリーは突然4色に発光しだしたと思えば、何の前触れもなく爆発した。爆発した瞬間、ハリーの肉は飛び散り、真上に綺麗な花のような物が一瞬だけ咲き、ゆっくりと消えていった。

「ど、どうなってるんだ・・・」

「4つのエレメントだよ。本来混ざり合わない4つの属性を無理矢理混ぜたから、1つ1つが他の属性を拒みあった結果、飛んでもない爆発が起きたんだ」
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