大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太

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四章 魔族との和平交渉

第二十一話 食事は楽しいが一番

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「さあ!コウスケ!メアリー!見てくれ!この豪華な食事を!!」

 家に戻り、リビングに行くと、テーブルの上にはずらりと豪華な料理が並べられていた。

「君達の口に合うかは分からないが、美味しく食べていただけたら嬉しい!」

 アメリアの言葉に甘えて椅子に座り、フォークによく似た食器を手に取り、口に運んだ。とりあえず、味見という体で全ての料理に手を出したが、どれも美味しくてやみつきになってしまいそうな料理ばかりだった。

「美味い!美味いよ!アメリア!!」

「ふふっ、それは良かった。まあ、私が作ったわけではないけどな。所で2人は私が出ている間、町で何をしていたんだ?」

「う~~ん、調査に近い観光かな?最後は取り囲まれて面倒な事になっちゃったけど、楽しかったよ!」

「調査か。君達地上人から見て私達地底人はどのように見えたんだ?」

「俺ら地上人と良い意味で同じだ。こんな平和な国を襲おうとしていたと思うと、無知は災いの元だと思い知らされるよ。ところで、ジースト王国が使ってる言語が俺達の使っている言語と非常に似てるんだけど、何か知ってるかな?」

「何?ジースト語と地上語が同じだって?それが本当なら、このヌールの皮で作った紙と鉛で書いてみてくれ」

 家に設置されていた棚からざらざらした紙と、柔らかくて細長い鉛を取り出すと、俺に渡してくる。取りあえず適当に『美味しいよ、アメリア』と書き、アメリアに渡してみた。

「『美味しいよ、アメリア』・・・と書いているのか?」

「ああ、その通りだ。やっぱり、ジーストの言語とフラムの言語は同じなんだ!」

「そうみたいだな。でも、何で・・・」

「専門家ではない俺の推測になるけど、多分地底人は元はフラム人だったんじゃないかな?何らかの理由で地下に来て、独自の進化を遂げた」

「成程、一理あるな。というよりも言葉が通じてる時点で気づけば良かった」

「本当にそれ」

 その後も会話をしながら食事は続き、山ほどあった料理は目の前から消え去り、腹の中へとしまわれた。

「ふう・・・腹は満たされたな。だが、デザートが食べたいな。何か持ってこさせるか」

「デザート・・・あ!それなら良いのがあるよ!!」

 洞窟に潜る前、偶々見つけた木から採取しておいて良かった。おもてなしされてばかりでは地上人の顔が立たないというもの。

 思い立った幸助はバッグの中から血のように真っ赤な玉を取り出し、アメリアの眼の前に出す。

「こ、これは何だ・・・?図書館の書記に記された果物というものか?」

「そう。その果物の名前は林檎。地上で最も有名な果物と言っても過言ではない」

「ほうほう・・・!それは興味深い!」

 アメリアの紫の瞳がキラキラと宝石のように輝く。しかし、一向に食べようとせずに眺めているのは何故だろう・・・。

「コ、コウスケ・・・」

「ん?どしたの?」

「どうやって食べるんだ?」

 失念していた。果物を生で見るのが初めてという事は、食べ方も知らないという事か。

「アメリアちゃん、ちょっと林檎貸して?皮剝いてあげるから」

「皮というのはこの赤い面の事か?」

「うん。人によって皮ごと食べる人もいるんだけど、今回は皮を切って食べようか」

 腰に納めていたナイフを取り出すと、林檎をゆっくりと回転させながら赤い皮を剥がし始めた。瑞々しい薄い黄色の実が露わになる。皮を完全に切った状態から更に6等分に切り分け、小さな皿に置きアメリアに渡した。最初は驚いて口にしようとしないアメリアだったが、匂いを嗅いで安心したのか、安心してかぶりついた。

 口の中溢れる甘味と酸味の絶妙なバランスと味わった事のない味に驚き、目を見開く。ゆっくりと味わうように噛んで飲み込むと、すぐにもう1つへと手を伸ばした。その調子で食べていたら、6等分したはずの林檎は既に亡くなってしまっていた。

「う、うううう・・・美味い!!君達はこんなに美味しい物を食べていたのか!羨ましい!羨ましいぞ!!」

「ジースト王国も負けないくらい美味しいと思うけどね」

「それは今度シェフに言ってあげてくれ。もし、ジースト王国と地上に友好関係が築けたらこの林檎という果物を貰うぞ!良いな?」

「勿論」

 冒険者として日々戦っていた幸助にとって、この日の食事は非常に楽しく癒しになるものだった。
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