大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太

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四章 魔族との和平交渉

第八話 魔界への門へと辿りついたが・・・

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 草原を歩き、森を歩き、また草原を歩く。やがて、地面に草が生えておらず、周りにはごつごつとした岩が転がっているだけの殺風景な場所へと辿りついた。

 農作物も木も生え無さそうな痩せこけた土地だが、何故かそこそこ丈夫そうな小屋が数軒、少し壊れた木製のバリケードが数えきれない程配置されており、何処か生活感を漂わせる雰囲気を持っていた。

「ここは・・・何です・・・?」

「魔族との戦争の時に休憩などに使われる小屋と、魔族の攻撃から身を守るバリケードだ!ていうかそのくらい分かるだろう?分からなかったとしても貴族であるこの私に聞くな」

 別にアンタに聞くわけでは無かった等と言ったら、調査隊を除隊されかねないので、ぐっと腹の奥底にしまい込んで我慢する。横にいる同業者も同情してくれたのか、優しく肩を叩いてくれた。

「さあ、奥に進むぞ」

 奥に進むにつれて、小屋の数が少なっていく代わりに、バリケードの数が多くなっていく。それだけではない。バリケードの損傷具合もかなり酷くなっている。中には槍が刺さったり、赤黒くなった血が付いたバリケードまで存在する。

「つ、着いたぞ!皆ぁ!ここここが、魔界への門だ」

 外観は入口が大きな洞窟に鉄製の頑丈な門を無理矢理付けたような不格好な門だった。恐らく先人達が地底人を地上に出さないように施した急ごしらえだったのだろう。

「おっとぉ!心配するなぁ!鍵はある!これだぁ!!国王から借り受けたぁ!!」

 ピエールは震える手でポケットから無骨な鍵を取り出す。そして、俺に渡してきた。

「ももも門にここからでは見えない小さな鍵穴がある。そこにこの鍵をさしてきてくれ・・・」

「え?普通にピエールさんがやればいいのでは?」

「ばばば馬鹿野郎!こういうつまらん仕事はお前のような新人がやるべき仕事なんだよ!それとも、そこのチビ女に鍵を開けさせようか?」

「・・・分かりました」

 ここで、先陣を切るのがリーダーなのでは?という反論も可能だったが、ピエールの性格上、話を拗れさせるのは確実だ。大人しく鍵を開けよう。

 門へと近づくと、隙間から冷気が漏れている事に気づく。季節が冬という事もあって、冷気の冷たさは肌が凍ってしまうと思うぐらい冷たく感じた。

 門にあるという鍵穴を探す。しばらく探した後、3mはある門に対し、普通のサイズの鍵穴が見つかった。穴に鍵を差し込み、捻る。

 すると、門は金属が軋む音を立ててゆっくりと開いた。開いた瞬間、閉じ込められていた冷気が白い煙となって解き放たれる。

「鍵穴に入れただけだよな?魔術の仕掛けか?」

「まあ、そんな所だ。魔物が出なくてよかった・・・では、行くぞ!異世界人!そのまま先頭になって進めぇ!!」

「・・・はいはい。分かりましたよっと」

 調査が終わったら、全員でピエールの無能っぷりを訴えようと心に誓う幸助であった。
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