大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太

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三章 黄金の愛と銀の翼の騎士、2人ともぶっ殺す

第二十八話 【悲報】メアリーとボニー、遭遇してしまう

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 激しい雨に打たれ初めて数分。ようやく雨が弱くなってきました。服が身体に張り付いて気持ち悪いですが、後で宿舎に帰って着替えれば良いだけの話です。今はとにかく、目を開けてコウスケさん達の安否を確認しなければ・・・。

「あれ・・・?ここは・・・路地裏?」

 雨が止み、目を開けると、私はいつの間にか教会前から路地裏ファイトが行われる商業エリアの路地裏にいた。周りにはコウスケさんも、ランマルさんもおらず、私だけが路地裏に移動してきたようd──────

「あれ!?ここ何処!?路地裏!?」

「ボニーさん!」

「メアリーちゃん?」

 良かった。ボニーさんがいた。1人ではない事に気付いて心の底から安堵する。

「何でワタシ達、こんな場所にいるのかしら。さっきまで教会の前を歩いたわよね」

「はい。雨に驚いてうろついた記憶もありませんし、そもそも教会エリアから商業エリアの路地裏まで移動は目を瞑りながらできる事じゃありません!これはきっと、何か魔術か何かでここに誘導されたに違いありません。比較的弱い私達から倒す為に・・・!」

 騎士の身なりをしているクセになんという外道っぷり!騎士の風上にも置けないヤツです!!恐らく誘導したと思われる2人の騎士に心で怒っていると、ボニーさんの長い指で肩を突かれる。

「もしかしなくてもが犯人だよね・・・」

 ボニーさんは数ある路地裏の道のうちの一本を指さして私に囁いてくる。指さす先を確認すると、そこには雨に濡れた黄金の鎧が立っていた。

「・・・・・・」

「来ましたね、犯罪者。私達をコウスケさん達と離れ離れにして倒すという作戦、非常に有効だし卑怯ですが・・・少し詰めが甘いのではないでしょうか?」

「・・・・・・」

 ボニーさんを背後に隠すように立ちはだかり、フィストガードを嵌める。

「コウスケさんもランマルさんもワイバーンさんと戦って事で強くなりました。同行して一緒に戦った私は、どのくらい強くなっていると思いますか?」

「・・・・・・」

 拳にエンチャントで雷を纏わせ、強く握りしめる。大きく息を吸い、答え合わせをした。

「答えは滅茶苦茶強くなったでしたぁ!!覚悟しろ!この金ぴかクソナイトォ!!」

 戦闘モードへと瞬時に切り替えたメアリーは黄金の騎士に飛び掛かる。足に力を込め、地面に敷き詰められた石が砕けるくらい力強く地面を蹴った飛び掛かりは正に人間弓矢。瞬間ではあるが、時速100キロを叩き出したメアリーは武器を構えている途中の黄金の騎士の胴にパンチを入れる。

「・・・・・!」

 しかし、鎧の頑丈さと騎士自体の体幹の良さが相まって、鈍い金属の音と共に後ろに傾いたが、倒れる事は無かった。

「ちぃ・・・!やっぱアタシの体重じゃ殴り倒すのは難しいか・・・!!」

「メアリーちゃん!落ち着いて!!ワタシ達だけじゃあ、どうあがいても勝てないわ!!ここは一旦路地裏を抜けてランマルさん達と合流しましょう!!」

「無理だ!この距離だとすぐに追いつかれちまう!!姉貴と一緒に倒すしかねぇ!!」

 重装備の黄金の騎士だが、レベル4のコウスケと同等の素早さを持っていると聞いた。それに逃げている途中にまた能力?で天候を変えられたらこっちが更に不利になってしまう。

「姉貴は基本的にアタシのサポートを頼む!隙が出来たら姉貴も攻撃を仕掛けてくれ!!」

「わ、分かった!じゃあ、早速!『ラスト』!!」

 ボニーの左手の中指に嵌められた指輪が光る。光は無色から茶色へと変色し、黄金の騎士へと飛んでいった。つい最近、覚えたばかりの金属を錆びさせる魔術『ラスト』である。

「姉貴!そんな便利な魔術覚えてたのか!!」

「非力なりに考えてみたの!鎧が錆びるなら、きっと錆びるんじゃないかって!さあ、黄金の騎士!その綺麗な鎧を茶色に染めなさい!!」

 錆びの魔術がこもった光は、見事黄金の騎士に命中。当たった箇所から、黄金の鎧は茶色へと変色していく──────事は無かった。黄金の鎧には1ミリも錆付く事は無く、ボニーの錆の魔術はゆっくりと消えていった。

「ええっ!?どういう事!?金属じゃないの?」

「そんな事はねぇ!金は金属のはずだ!それなのに何で・・・」

 彼女達は貴金属や宝石にあまり興味が無く、触れて来なかった為、知らなかった。金は鉄や銅と違って、錆びない事を。黄金の騎士は金が錆びない事を知っていた為、錆の魔術を避けなかったのだ。

 狼狽えている2人に黄金の騎士の剣が襲い掛かる。ボニーはモーニングスターで、メアリーはフィストガードで受け止めるが、腕力が凄まじく、身体は建物の壁まで吹き飛ばされてしまう。

「ま、まずいぞ姉貴・・・どう切り抜けるんだ?」

 こちらは殴るしか能の無い魔術師メアリーと、回復役のボニーの姉貴。黄金の騎士に有効打を入れられる事ができる攻撃役がいないのはあまりにも致命的だ。自分の非力さに苛立ちを覚えてしまう。もっと、背が高ければもっと素早く動く事が出来たら・・・。

 訪れた絶対絶命のピンチにボニーはモーニングスターを杖に立ち上がり、メアリーに手を差し伸べる。

「ご、ごめんワタシにも分からないわ・・・作戦はいつもランマルさんとコウスケ君に頼りきりでワタシは殴るのを楽しみにしてただけだから・・・でも、ワタシ達だって強くなってるんだからきっと正気はあるはずよ。雨雲の間から差し込む一筋の光のように!!」

「・・・・・・いきなりどうしたんですか?姉貴」

「・・・一回でも良いから言ってみたかったのよ。それと、こんな状況だから勇気づけたくて///」

 どんなにカッコいい言葉でも、命の危機に晒されている時に言えば白けた反応をされるのは当然だろう。ボニーは頬を林檎のように真っ赤に染めながらメアリーを引っ張り、立ち上がらせる。一見恥ずかしいポエム染みた一言だが、その一言がメアリーの戦闘脳を刺激した。

「姉貴、もう一回言ってみてくれ」

「え?な、何を言えば良いの?」

「さっきのポエムモドキだよ!恥ずかしがらなくて良いからもう一回言ってくれ!!何か思い浮かびそうなんだ!あの金ぴかにダメージを与える事が出来る最高の案が!!」

 メアリーの何にでも戦いに繋げる脳が覚醒したようだ。ボニーは彼女の案を信じてもう一度恥ずかしい言葉を呟く。

「雨雲の間から差し込む一筋の光のように・・・」

 メアリーの覚醒した戦闘脳が作戦を編み出す。確実に堅実に黄金の騎士を倒すことができる方程式を編み出す。全ての計算を終えるのにかかった時間は僅か0.1秒!メアリーは目を見開くと、指を弾き、乾いた音を響かせる。

「思いついたぜ!最高の勝ち筋!これで終わりだ!金ピカ騎士!!」
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