大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太

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三章 黄金の愛と銀の翼の騎士、2人ともぶっ殺す

第二十七話 激しい雨に打たれて

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「ただいま戻りました~。皆、依頼に行こ~」

 ギルドに戻ってきた幸助は依頼に出向くのを待っていた仲間達の方へと向かっていく。酒場の席で3人は神妙な顔で依頼書を見ていた。

「ん?どうしたんです?」

「ああ、幸助か。これを見てはくれないか?」

 蘭丸に依頼書を渡され、内容を見る。書かれた内容を読んだ幸助は数秒間だけ硬直した。

「『黄金の騎士と銀の騎士の討伐又は捕獲』・・・ついに依頼になったんですね・・・」

「それほど深刻という事さ。因みに依頼主は契約の神を信仰している貴族だ。報酬もそこそこ出ている。受けるか?この依頼・・・」

 復讐も出来て報酬も貰える。一石二鳥を体現したかのような依頼だ。しかし、幸助は罪悪感を感じていた。何せ、2人の騎士は自分を殺す為に出現した存在。つまりは幸助が原因で現れた災害だ。本来は幸助だけに効果を表す災害だったはずなのに、自分が町を離れていたばかりに2人の騎士は暴走し、関係ない人達を殺してしまった。その事に対して罪悪感を抱いているのだ。

「因みに皆は既に承認済み。後はお前だけだ。どうする?行くのか?行かないのか?」

 蘭丸の手が幸助に向かって差し出される。幸助は目を閉じ、しばらく考えた後、その手を握り返した。

「やりましょう!さっさと終わらせて町の平和を取り戻しましょう!!」

 俺が今から行う行動は他人から見られたら、正義とみられるかもしれないが、決して正義故の行動ではない。贖罪だ。人を殺す怪物をこの世に生み出してしまった事に対しての償いだ。貰ったお金は俺の分だけでも良いから、依頼主の貴族に返そう。

「では、今夜を決戦とする。皆の者、今のうちに準備はしておけ」



 数時間後、空もすっかりオレンジ色から黒に染まり、月が今夜の勤務を開始した頃、幸助達は行動を開始した。体力も昼に寝たからばっちり!回復薬なども、ボニーが作ってくれたから完璧。後は2人の騎士が現れるのを待つだけである。

「よし・・・皆、絶対に離れるなよ。1人になったら襲われるからな」

 探索しているのは城下町の教会エリア。騎士団長から貰った資料によると、このエリアの路地裏で殺人や遺体が多く発見されているらしい。しかし、自分らが信仰する宗教の教会の近くで人殺しを行うとは何という不届き者なのだろうか。

「前みたいに雨に降られ無かったら良いんですが・・・」

「そういえば、昨日黄金の騎士が逃げる時も雨が降ったな。もしかして黄金の騎士がアモーラから貰ったのは鎧じゃなくて天気を変える能力とか?」

「有り得るね。とりあえず、皆で背中合わせにして黄金の騎士を見つけよ──────ん?」

 ボニーの高い鼻にぽつりと水の粒が当たり、弾ける。もしやと思い、天を見上げると、キラキラと空に光る星を遮る黒い雲が発生していた。

「コウスケ君。君の予想だけど、多分当たってるよ」

「え?どうしてです?」

「上を見てごらん」

 幸助も空にかかっている黒い雲を見る。すると、みるみると顔色が悪くなっていった。

「来るのか?・・・奴が・・・」

 集中してやっと気づく程度の雨は段々激しさを増していき、ついには隣の者の声まで聞こえなくなるくらいにまで強くなってしまった。

「何なのだ!この雨は!雨のレベルと到底超えてしまっているぞ!!」

「皆!絶対に離れないでね!離れたら黄金の騎士の思惑通りだから!!」

 幸助の注意喚起も誰にも聞こえていない。雨の地面を叩く音が彼の言葉を遮ってしまっている。更にあまりに強い雨は皮膚に当たるだけで痛く、目を守る為に目を閉じてしまっている為、仲間を見る事ができない状況に陥ってしまっている。

 しかし、そんな激しい雨も長くは続かず、目を開けてる程度には弱まっていく。その時にはとっくに手遅れなのだが──────

「ふう、何とか雨が止みましたね・・・・・・・・・メアリー?ボニーさん?」

 隣にいたはずのメアリーとボニーが跡形もなくその場から消え去っているのだから。
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