大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太

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三章 黄金の愛と銀の翼の騎士、2人ともぶっ殺す

第二十五話 大乱闘!大興奮!

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「どりゃああああ!!」

 まず最初に攻撃を仕掛けたのは幸助。黄金の騎士は以前に余裕で勝った事を良く覚えているのか、ガードの体勢を取ろうとしない。幸助が町を出ていた7日間を計算していないようだ。その油断が仇となる。

 ガコォォォン!

 黄金の騎士の兜が脳と共に激しく揺れる。揺れは脳震盪を起こし、黄金の騎士に隙を生んだ。

「もういっちょ!!」

 胴に攻撃重視の一撃を入れる。一撃のあまりの重さに黄金の騎士はよろめき、窓から地面へと落ちていく。幸助の借りている部屋は3階。凡そ9mからの落下である。

 重たい衝撃音が辺りに響き渡る。水っぽい音が聴こえない事からして中身は死んでいないようだ。鎧のお陰だろうか?それにしてもあの鎧は固すぎる。胴に全てのパワーを注ぎ込んだ一撃を喰らわせたというのに凹みすら入らなかった。岩なら簡単にヒビを入れられるくらいの腕力を手に入れたというのに──────。

「想像するにあの鎧がアモーラが手に入れた鎧だろうな。じゃなきゃあんな耐久性を証明できない」

「・・・・・・!!」

「おっ、起き上がったか。さて、第二ラウンドと行きましょうか!」

 しかし、第二ラウンドも有利に立てるとは思ってはいない。黄金の騎士に攻撃を入れられたのは完全に騎士側が油断していたからである。今はもう俺の現在の実力を知ってしまっている。絶対に勝てるとは思っていない。だから、第二ラウンドは完全に実力のみがものを言う戦いになる。

 まあ、最も・・・。

 ゆっくりと地面に下り、黄金の騎士と再び対面する。しかし、幸助はすぐに腰の剣を抜く事は無かった。厭らしい笑みを浮かべ、黄金の騎士を罵倒し始めた。

「2度会合して、2度とも不意打ちっていうのは、騎士としてどうなんだ?」

「・・・・・・」

「そんなに強いのに何故不意打ちなんかするんだ?ひょっとして勝てないと思っているのか?俺に?格下である俺に」

「・・・・・・!」

「はっきり言ったらどうなんだ!お前は俺に勝てないと思ったから不意打ちで殺そうとしたんだろ!まあ、どっちとも失敗してるがな!!ハハハハ!!」

「・・・・・・!!」

「お前、暗殺下手だろ?暗殺され慣れてない俺を二回も殺し損ねてるからそうに違いない!そうなんだろ?偽物の騎士ではなく、本物の正々堂々と戦う騎士の可能性が上がったってことだ!お前と共に戦った戦友が見たらどう思うだろうな~!!」

「ッッッッ・・・・!!!」

 ついに堪忍袋の緒が切れたようで、幸助に襲いかかってくる。後の事など全く考えていない全速力と全力攻撃だ。レベルが10まで上がって身体能力が大幅に向上した幸助でも流石に対応は難しく、防御に回るのが精一杯だった。

 誰もが寝静まり帰った真夜中に金属がぶつかり合う音が響く。その音は眠りに着くにはあまりに不愉快で、夢の世界で楽しんでいた者達を眠りから覚ますのには十分なものだった。

「おい!うるせぇぞ!今、何時だと思ってやがる!!」

「明日は早いんだ!寝かせてくれ!」

「こっちはワイバーン退治から帰って来たばかりなんだよボケ!さっさと止めねぇとテメェらの身体二等分にすっぞぉ!!」

 続々と起き始め、窓から騒音の音源を見始める冒険者達。幸助はその状況に思わず笑みを浮かべる。そう、これこそが幸助が望んでいた展開である。

「お、黄金の騎士!?最近、アモーラ教ではない者を殺しまわってるっていうヤツじゃないのか?」

「戦ってるのは、異世界人のコウスケじゃないか!!アイツ確かラコルトっていう神に仕えていなかったか?」

「コウスケ!今いくぞ!!」

 皆の眠りを邪魔したのは非常に申し訳ないが、このまま戦っても俺は負けて殺されてしまう。ならば、応援を無理矢理にでも呼ぶのが良いと思って彼らを起こしたのだ。

 幸助の読み通り、宿舎で眠っていた男冒険者達は眠りから覚醒し、続々と武器を手に下へと降りてきて幸助に助力した。

「な、何で僕まで戦わないといけないのさぁ~~!!」

「友達が死にかけてんだから戦え!それに、これはコウスケだけの問題じゃねぇ!町の問題だ!」

「その通り!あの黄金の騎士は町に住み着く害虫そのもの!皆の力でねじ伏せるぞ!!」

 ギルドに所属しているほとんどの冒険者が集まってきた。高い戦闘力と防御力を持つ黄金の騎士でも分が悪いと判断したのか、剣を納め、その場から走り去ってしまった。

「あっ・・・!待ちやがれ!!」

 追いかけようとした瞬間、いきなり雲行きが怪しくなり、豪雨とも呼べる雨が冒険者達を襲い始めた。激しい雨は冒険者達の視界を遮り、黄金の騎士を見失わせてしまう。

「クソッ!タイミングの良い雨だな!そういう魔術か!?」

「だとしたら相当の魔術師だよ、あの騎士は・・・いきなりこんなにも強い雨を降らせる事が出来るなんて・・・」

「考察は後でにしようか。今は、宿舎に戻って状況の整理をしよう。コウスケ、説明を頼むよ」

「・・・はい」

 フランに優しく背中を押され、幸助は宿舎の中へと入って行った。
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