大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太

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三章 黄金の愛と銀の翼の騎士、2人ともぶっ殺す

第二十話 メアリーは幸助に過去を打ち明けました

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 抱きついてきたメアリーは震えていた。洞窟が寒いからではなく、恐怖が原因で。暗闇が苦手なのだろうか?

「メアリー。怖いのか?」

 コクリと縦に頷く。訳を話すのはもう少し時間がいるようだ。彼女が話せるようになるまで出口探す。落ちてきた穴は今の俺達からでは高くて登れそうにない。それに仮に登れても待っているのは変な力を持った盗賊だ。登るより別の出口を捜す方が安全で賢明だ。無かったら外に一番近い壁を見つけてそこを掘って外へと出る。

「コウスケさん・・・すみません・・・重いでしょう?」

「ああ、だけど大した事はないさ。それに足を折ってるヤツに歩けなんて言えないしな」

「・・・本当に優しいんですね、コウスケさんは」

「仲間だからだよ。仲間じゃなかったらこんな事はしてないさ」

 幸助が照れ隠しに言った一言は少し前まで暗かったメアリーを笑わせる。笑った様子を見て大丈夫だと思ったのか、メアリーに震えていた訳を聞いた。

「なあ、メアリー。どうして震えていたんだ?あの震え方はこの洞窟が寒いからじゃないような気がするんだが・・・」

「・・・コウスケさんがよろしいのであればお話しますが・・・あまり明るい話ではありませんよ?」

「分かっているさ。話してくれ」

 しばらくの沈黙の後にメアリーはゆっくりと話し始めた。

「コウスケさん、私が孤児院出身だって事は話しましたよね?」

「ああ、確かアンリを捕まえてから教えてもらったな。何でかは聞いてないけど」

「私は最初から孤児だったわけじゃなくて、両親が死んでしまった事で孤児になったんです」

「・・・それは残念だったな」

「両親はとある狂人によって私の目の前で、皮膚を、筋肉を、骨をゆっくりと斬られながら殺されました。場所はこの洞窟くらい暗い森の中でした」

 しがみ付く力が強くなる。喋るのも少しキツイようだ。止めた方がいいのでは?と伝えたが、メアリーは大丈夫t言って話を続けた。

「狂人の顔は覚えていません。いえ、多分覚えているんでしょうが、脳が危険と判断してか思い出させてはくれません。体格も声も何もかも覚えていません。私の大事な人が一気に2人も死んだ日だというのに・・・ですが、狂人が祈りのように唱えていた正気を疑う言葉だけは今でもはっきりと覚えています」

「正気を疑う言葉・・・?」

「はい。その男は両親を殺しながらこう言ってました『これは天罰だ・・・女神アモーラ様の怒りだ・・・』って」

 その一言で幸助は全てを察する。アモーラ狂信者だ。だから、メアリーはアモーラ教を苦手としていたんだ!!

「でも、狂人の方は絶対に私の事は覚えているはずです。だから顔は絶対に傷つけたくないんです!」

「そんな深い理由があったのか・・・俺はてっきりメアリーの数少ない女心かと思ってたよ」

「なっ・・・!数少ないってなんですか!数少ないって!!自分ていうのも気が引けますが、結構モテモテなんですよ!私!!」

 癪に障ったのか、メアリーは少しムキになる。プンスカ怒る彼女が可愛く見えたのか、幸助はポンポンと頭を叩いた。

「ごめんごめん悪かったって!モテモテのメアリーさん」

「むぅ~~絶対嘘だと思ってるでしょ!!」

「そんな事無いって!メアリーはカワイイし、モテててもおかしくないと思ってるって!」

「絶対嘘です!コウスケさんの嘘を言っている時の声色は知ってますから!!」

 可愛らしい理由で始まった言い合いは、10分程続いた。
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