大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太

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三章 黄金の愛と銀の翼の騎士、2人ともぶっ殺す

第五話 武器調達完了!

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 剣や盾、鎧を作る場である鍛冶場は武器屋からとても近い場所にいたしている。完成した武器をすぐに納品する為だろう。

 まだ中に入っていないのに、鉄を叩く高い音が外まで響いてくる。中に入ると、すぐに発汗してしまう程の暑さが幸助
とメアリーを襲う。

「うわ!!」「あちちち!!」

 熱気にやられながらもゆっくりと目を開けると、男達が金属を叩く音に負けじと鉄を叩きながら、大声で喋っていた。

「ヤァ!」「セイッ!」

「もっとスナップを効かせろ!」「はい!」

「甘い甘い!もっと強く叩けぇ!」「すいません!!」

 熱して柔らかくなった金属を腕を振るい、黒いハンマーで叩く様は正に漢。内なる男を飼っている幸助は心を躍らせ、少年のように興奮する。これが、職人、漢の中の漢なのか!と。

「ん?親方ぁ!お客さんですよ!!」

 仕事場の熱気と職人達の魂の仕事に呆気を取られていると、幸助達の存在に気づいた若い弟子らしき男が俺らを指差して叫ぶ。

「バカモン!お客様を指差すバカがいるか!」

「あだぁ!!」

 親方であるベテラン職人の拳骨が弟子の脳みそを揺らす。ドスっ!という鈍い音からしてとても痛そうだ。

「なんだぁ?オメェ達。見た感じだと、冒険者みてぇだが・・・」

 のしのしと幸助達の前に立った親方はナイフのように鋭い目つきで2人を睨みつける。職人としての腕は良いが、人付き合いが悪い典型的な職人タイプだと幸助は察する。

「ここはオーダーメイドか?それとも修理か?修理なら武器屋から頼め、ここから直接は受け付けておらん」

「オーダーメイドと改造をお願いしにきました」

 革の鎧を手に伝える。親方は幸助の手から革の鎧を取り上げ、金具や革の材質を確認し始める。

「これは俺が1週間前に完璧な素材で作った最高の革鎧だ。一体何処に不満を持ったんだ?」

「いえ、別に不満を持ったわけじゃないんです。もう少し防御力が欲しくてですね」

「なら、鉄鎧を買えば解決だろうか!バカかお前は」

「今の俺のレベルだと素早さが落ちてしまうんです。だから、革の鎧と鉄の鎧の中間点になる鎧が欲しいんです!」

「中間点?」

「はい、この完璧な革の鎧に鉄板をつけて欲しいんです!」

 素早さを失いたくない幸助が取った策、それは鉄板を貼り付ける事による補強だった。素早さが落ちないギリギリまで鉄板を付ける事によって、鉄鎧まではいかないが、防御力を得ようと考えているのだ。

「・・・最初からそう言えってんだ。ちょっとお前のステータスカードを見せろ」

 ポケットからステータスカードを取り出し、親方に渡す。

「レベルアップが遅いタイプか・・・レベル4の癖にステータスがレベル25ぐらいの奴のステータスをしてやがる。この程度の筋力なら、4ミリの鉄板が限界だろうな」

「じゃあ、4ミリで。それと、オーダーメイドなんですが・・・額を守るプロテクターをお願いします。兜だと、視界が狭まってしまうので」

「あい分かった。完成は明日の早朝になるが、良いか?」

「え!?そんなに早く出来るんですか!」

「既に設計図は頭の中に出来てる。ただ、いくらかかるかはまだ分からねぇから、金には余裕を持たせとけ。あと、そこのお嬢ちゃん!」

 親方にいきなり声をかけられて驚き、幸助の後ろに隠れるメアリー。親方はその様を不思議そうに眺める。

「あれ?路地裏のチャンプに似てると思ったんだけどな・・・性格が全然違うわ」

「えっ?ああ、確かに・・・似ても似つかないな・・・」

「お嬢ちゃんは何をしに来たんだ?雰囲気からして付き添いって感じじゃなさそうだが・・・」

 背の高い親方は背の低いメアリーと目線を合わせて会話をする。柄の悪い人が苦手なのだろう。メアリーは怯えながら話した。

「あ、あの・・・私、前線で魔物を殴る担当なんですが・・・そろそろ素手にエンチャントかけて殴るのにも限界が来てまして・・・拳を守るプロテクターみたいのが欲しいんですが・・・その、私の手に合う物が武器屋さんにはなくて・・・」

 メアリーは身体だけでなく、手足も普通の人と比べると小さい。武器屋で売っている標準的なサイズの武器がフィットしないのだ。なので、鍛冶屋に自分の手のサイズに合ったナックルガードを求めていた。

「へぇ、見た感じ魔術師なのに前線で戦うタイプなのか・・・おい!弟子!」

「へい!何でしょう?」

 先程殴られた弟子が親方の横へとやってくる。

「俺はこの男の防具を担当する。お前はこの娘のナックルガードの担当をしろ」

「了解しました!では、お手を拝借」

 弟子はポケットからメジャーのような物を取り出すと、メアリーの手に即座に巻き付けて図る。

「ふむふむ・・・これは確かに小さいな・・・」

「余計な事を言うなバカ!!」

「あだぁ!?」

 再び殴られる弟子。短い時間に2度も殴られている事を考えると、日頃から頻繁に殴られているようだ。

「すまねぇなお嬢ちゃん。コイツ、腕は良いんだが常識っていうかデリカシーが無くてよ」

「えへへ・・・すんません・・・でも、ご安心下さい!剣でも!鎧でも!ナックルガードでも!ちょちょいのちょいで作っちゃいまっせ!!」

「ほ、本当ですか!?じ、じゃあ明日完成っていうのも・・・」

「任せといて下さい!!武器屋の親父さんに『若造のクセにやりやがる』と言われた腕、見せてやりますよ!!」

「・・・因みにその剣ってどんな感じなんです?」

「えっとね!ヒルトは握りやすさを重視、刃は顔が映る程に綺麗に磨いた最高の1品さ!!」

 弟子の言った特徴を聞いた幸助の顔は真っ青で、弟子の肩をポンポンと叩きながら彼に謝罪する。

「ごめん・・・その剣、折っちまった・・・」

「・・・へ?」

 その後、弟子はショックで30分硬直していたが、親方のゲンコツで復活した。
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