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一章 クソみたいな女神とクソみたいな異世界転移
第八話 山奥の忘れられた神 パート1
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「ああ、まさかワシの依頼を受けてくれる方がいるなんて・・・冒険者様、ありがとうございます・・・」
城下町の出口から20キロ西にある小さな村。山に囲まれた村で依頼主は隠居生活を送る老人。依頼内容は至ってシンプルだった。
「ワシが所有している山の頂上にワシが受け継ぐ前からずっと存在している神像がありまして・・・若い頃は毎年村で取れた作物を御供え物として献上していたのですが、最近は老いで登れなくなってしまいまして・・・どうかお願いします、この野菜を神像に御供え物してきては貰えないでしょうか?」
というモノだった。・・・簡単すぎないか?御供えしてくるだけなら、この村の若い人に頼めば良いのでは?と疑問を抱きながら獣道を歩く。
山は斜面が急な上、ロクに整備もされておらず、頼りは獣が踏み作ってくれた道のみだった。確かにこれは老人にはきつい。それに──────
「Buhihihi・・・」
「二足歩行できる豚の魔物がいるんじゃあ、大事な村の働き手を使いたくないわな」
山には動物だけでなく、魔物も住んでいた。豚とは思えない鋭い紫色の眼光が俺を威嚇してくる。数は3、武器はナイフ、木の盾、包丁。人から盗んだのだろう。
「Bu・・・ギャアアア!!」
一番前にいた豚の魔物を手を切り落とす。まだまだ剣術は素人だが、何もしてこない相手に当てられない程、不器用ではない。痛がっている隙に首を跳ね、1体を始末する。するとどうだろう?3体なら勝てると思っていた残りの2匹の表情が絶望に歪んだ。
城下町に着くまでの3日間で分かった事である。ゴブリンなどの知性が子供程度しかない魔物は大体1体では襲わず、複数体で1人に襲ってくる。それが確実に勝てる方法だと認識しているからだ。確かに多勢に無勢では多勢の方が強いに決まっている。だが、その認識が油断を生み、逆転のチャンスを生む。
1体やられると絶対に勝てるという自信を失い、慌て始める。そうなったらこっちのペースだ。
「ふっ・・・!!」
「ギャア!!」
「せいっ!!」
「おぼぉ・・・!」
すかさず残り2体にも攻撃し、俺は無傷で勝利した。
「さてとレベルは・・・はぁ、まだ上がらないか」
この世界は根本的に俺のいた世界とは違う。大きな違いとしてあげられるのは魔法と魔物の存在、そしてレベルアップと経験値という概念だ。
この世界は女神アモーラ以外にも闘神という戦いを司る神様も見守っており、世界に住む人全員に恩恵があたえられているのだ。その恩恵の効果こそ『レベルアップ』と『経験値』。戦いに勝利した者、生物を殺した者に力を与えるという恩恵だ。この恩恵によって人は戦いに勝利した時と生物を殺した際に経験値を手に入れ、その経験値がたまった暁にはパラーメータの向上、『レベルアップ』の現象が発生するのだ。
そんなレベルアップだが、1レベル上げるのにかなりの経験値を必要とするらしい。実際に俺は既にこの世界に来てから15体近く魔物を倒しているのだが、全くレベルが上がっていない。
「まあ、ポジティブに考えるなら、上がった時が嬉しくなるからいいか」
人生は長い。ゆっくりとレベルを上げていこうじゃないか。
★
足にくる斜面を歩く事、十数分。斜面がキツイ代わりにあまり高い山では無いのですぐに頂上に着いた。景色は山々に囲まれているせいで一面緑。せっかく登ったのだから美しい青空もみたかったが、文句は言うまい。
「お爺さんの言ってた神像っていうのは・・・間違いなくこれだな」
神像はすぐに見つかった。頂上の全く木の生えていない場所に神像はポツンと立っていた。
削りが荒くて詳しくは分からないが、俺よりも見た目の若い少年の像だ。とても神様を模した像とは思えない。女神アモーラは何か知っているだろうか?
『私にもわかりません。私もこの世界の全てを把握しているわけではないので・・・」
俺が聞いているのは世界の事ではなくて、神様の事なんだけどな・・・まあ良い。早く御供物をして帰るとしよう。
リュックに入れておいた作物を石でできた皿の上に乗せる。トマト、大根、にんじん、キャベツ。全て元の世界にあった野菜だ。どれも新鮮で美味しそうだ。
「・・・一応手を合わせた方がいいか」
不本意だが、アモーラ教という宗教に属している身だが、他の神様に挨拶する程度なら別に怒られる事はないだろう。
両の手の平を合わせて目を閉じる。ao受験当日に神社に合格祈願の為にお参りに行ったのを思い出す。その結果、受かったのは良いものの、あっさりと死んでしまったが。
「さて、帰るとするか・・・」
手を合わせるのを止め、下山しようとしたその時──────
「ま、待って・・・!!」
何処からともなく子供の声が聞こえてきた。迷子か?慌てて辺りを見渡すが、子供どころか人すら見当たらない。しかし、幻聴ではなかった。はっきりとこの耳に子供の声が入ってきた。一体何処に・・・。
「ここだよ!ここ、ここ!!」
「・・・おい、嘘だろ・・・」
再び聴こえてきた声の方向を向く。向いた先は神像。そう、神像の方向だ。
「もしかして・・・神様なのか・・・?」
城下町の出口から20キロ西にある小さな村。山に囲まれた村で依頼主は隠居生活を送る老人。依頼内容は至ってシンプルだった。
「ワシが所有している山の頂上にワシが受け継ぐ前からずっと存在している神像がありまして・・・若い頃は毎年村で取れた作物を御供え物として献上していたのですが、最近は老いで登れなくなってしまいまして・・・どうかお願いします、この野菜を神像に御供え物してきては貰えないでしょうか?」
というモノだった。・・・簡単すぎないか?御供えしてくるだけなら、この村の若い人に頼めば良いのでは?と疑問を抱きながら獣道を歩く。
山は斜面が急な上、ロクに整備もされておらず、頼りは獣が踏み作ってくれた道のみだった。確かにこれは老人にはきつい。それに──────
「Buhihihi・・・」
「二足歩行できる豚の魔物がいるんじゃあ、大事な村の働き手を使いたくないわな」
山には動物だけでなく、魔物も住んでいた。豚とは思えない鋭い紫色の眼光が俺を威嚇してくる。数は3、武器はナイフ、木の盾、包丁。人から盗んだのだろう。
「Bu・・・ギャアアア!!」
一番前にいた豚の魔物を手を切り落とす。まだまだ剣術は素人だが、何もしてこない相手に当てられない程、不器用ではない。痛がっている隙に首を跳ね、1体を始末する。するとどうだろう?3体なら勝てると思っていた残りの2匹の表情が絶望に歪んだ。
城下町に着くまでの3日間で分かった事である。ゴブリンなどの知性が子供程度しかない魔物は大体1体では襲わず、複数体で1人に襲ってくる。それが確実に勝てる方法だと認識しているからだ。確かに多勢に無勢では多勢の方が強いに決まっている。だが、その認識が油断を生み、逆転のチャンスを生む。
1体やられると絶対に勝てるという自信を失い、慌て始める。そうなったらこっちのペースだ。
「ふっ・・・!!」
「ギャア!!」
「せいっ!!」
「おぼぉ・・・!」
すかさず残り2体にも攻撃し、俺は無傷で勝利した。
「さてとレベルは・・・はぁ、まだ上がらないか」
この世界は根本的に俺のいた世界とは違う。大きな違いとしてあげられるのは魔法と魔物の存在、そしてレベルアップと経験値という概念だ。
この世界は女神アモーラ以外にも闘神という戦いを司る神様も見守っており、世界に住む人全員に恩恵があたえられているのだ。その恩恵の効果こそ『レベルアップ』と『経験値』。戦いに勝利した者、生物を殺した者に力を与えるという恩恵だ。この恩恵によって人は戦いに勝利した時と生物を殺した際に経験値を手に入れ、その経験値がたまった暁にはパラーメータの向上、『レベルアップ』の現象が発生するのだ。
そんなレベルアップだが、1レベル上げるのにかなりの経験値を必要とするらしい。実際に俺は既にこの世界に来てから15体近く魔物を倒しているのだが、全くレベルが上がっていない。
「まあ、ポジティブに考えるなら、上がった時が嬉しくなるからいいか」
人生は長い。ゆっくりとレベルを上げていこうじゃないか。
★
足にくる斜面を歩く事、十数分。斜面がキツイ代わりにあまり高い山では無いのですぐに頂上に着いた。景色は山々に囲まれているせいで一面緑。せっかく登ったのだから美しい青空もみたかったが、文句は言うまい。
「お爺さんの言ってた神像っていうのは・・・間違いなくこれだな」
神像はすぐに見つかった。頂上の全く木の生えていない場所に神像はポツンと立っていた。
削りが荒くて詳しくは分からないが、俺よりも見た目の若い少年の像だ。とても神様を模した像とは思えない。女神アモーラは何か知っているだろうか?
『私にもわかりません。私もこの世界の全てを把握しているわけではないので・・・」
俺が聞いているのは世界の事ではなくて、神様の事なんだけどな・・・まあ良い。早く御供物をして帰るとしよう。
リュックに入れておいた作物を石でできた皿の上に乗せる。トマト、大根、にんじん、キャベツ。全て元の世界にあった野菜だ。どれも新鮮で美味しそうだ。
「・・・一応手を合わせた方がいいか」
不本意だが、アモーラ教という宗教に属している身だが、他の神様に挨拶する程度なら別に怒られる事はないだろう。
両の手の平を合わせて目を閉じる。ao受験当日に神社に合格祈願の為にお参りに行ったのを思い出す。その結果、受かったのは良いものの、あっさりと死んでしまったが。
「さて、帰るとするか・・・」
手を合わせるのを止め、下山しようとしたその時──────
「ま、待って・・・!!」
何処からともなく子供の声が聞こえてきた。迷子か?慌てて辺りを見渡すが、子供どころか人すら見当たらない。しかし、幻聴ではなかった。はっきりとこの耳に子供の声が入ってきた。一体何処に・・・。
「ここだよ!ここ、ここ!!」
「・・・おい、嘘だろ・・・」
再び聴こえてきた声の方向を向く。向いた先は神像。そう、神像の方向だ。
「もしかして・・・神様なのか・・・?」
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