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最終章 悪魔戦争

201話 限界到達

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 メア・モークの新たな体は、マーサの渾身の一品である。時間と技術をふんだんに使った現世最強の武器だ。

 しかし、402年前のラムーグ・モークが作ったオリジナルもそうだったように不滅というわけではない。

 酷使すれば消耗していくし、手入れをしなければ錆びる。人の手で作られた物の定めというべきなのだろうか?それとも、神が作ってもそんな運命を辿っていたのだろうか?

 新しい刃は、今回の戦いが初めての使用だ。その前に何度か振って手応えを掴む機会はあったが、基本的に何も誰も斬ってはいない。

 故に刃毀れは全くしていない・・・戦いが始まるまでは。

 ここまでで、ハンスがメアを振るった回数は、21704回。これが、期間をあけての合計数ならば、問題はなかったかも知れないが、1回の戦いでの振った回数である。

 その回数の間に期間があって、手入れをしていたら問題は無かっただろう。しかし、実際は違う。

 メアは1戦の酷使により、刃は大きく欠け、いつ壊れてもおかしくない状態になっていた。

 刃物は正しく使えば、刃は毀れないという。実際にそうかもしれない。現にハンスが2万回も振るっても壊れていないのだから。

 しかし、戦いの場で刃が毀れないようになんて誰が気を使うだろうか?その前に目の前の敵を倒さなくてはならないという焦燥感に襲われる。

 こうして、メア・モークは消耗していってしまった。

「大丈夫か?その、剣も、限界を迎えようとしているぞ?」

「問題ねぇよ!!」

『その前に悪魔王!貴方を倒します!!』

「フッ・・・愚か者め」

 予言したのか、はたまた呆れたのか。2万回の攻撃にも耐えたメア・モークは音もあまり立てる音なく、無惨にも真っ二つに折れてしまった。

 瞬間、剣から放たれていた光は弱くなり、ハンス自身にも大きな隙が生まれてしまう。

「その油断が、自分を殺す、要因となるのだ」

 爪を立てると、ハンスの胸を、筋肉を、骨を、内臓を抉る。これには、人間随一の耐久力と再生力を持つハンスも動きがピタリと止まってしまう。

「ふんっ!!」

 その後、間髪入れずに悪魔王の棒の先が腹を強く突き、ハンスを後方へと思い切り吹き飛ばした。

「不味い・・・!ベルセルクを皆で抑えろ!頭は絶対に壊さないように!!」

 兵士、騎士、冒険者全員の力を使って吹き飛んでくるハンスをダメージがないように柔らかくキャッチ。痛みのショックか不明であるが、気絶していたハンスだったが、その手には─────。

『マーサさん!!』

 折れても、本体は無事だったメア・モークが健在していた。
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