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最終章 悪魔戦争

177話 矢文よりも速い伝達

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「おい!待てって!マーサ!!」

 リッキーを置いていく勢いで、地獄の門を背に走り、20分で地上に戻る。そのまま休む事なく城下町の方へと走ると、パァラの方へと向かった。

「パァラッッ!!」

「うわぁ!?な、何だよ!!マジでビビらせるなって!!今魔毒の研究してんだからs────」

「それと同じぐらい大事な事なんだ!聞いてほしい!!」

 息を切らして、声を荒らげている俺は非常に珍しいのだろう。作業する手を止めて、俺の方を向いてくれた。

「で?その大事な事ってなんだ?」

「悪魔の力の増減の仕組みだよ!!やっぱり、地獄の門と関係してたんだ!!」

「・・・詳しく聞かせてもらおうか」

 マーサは、地獄の門を見た事、地獄の門がレイヴンと戦っている時にほぼ閉まっていたこと。逆に、チョーダを倒した直後はサイクロプスが通れるくらい開いていた事を話す。

「その話単体だと信じきれねぇが・・・あのレイヴンっつう悪魔が呟いていた言葉の後だ。信憑性が高いな。けど、何で開いたり閉まったりを繰り返してるんだ?」

「封印が解けかけてるからだってさ。悪魔が現れたのもそれが原因」

「400年前に取り残された奴らじゃなかったのか・・厄介だな」

「けど、これで勝機は見えてきたよ。400年前にジッパ人が果たせなかった事を俺らが果たす事ができる!」

「だな。今度こそ悪魔王をぶっ殺してやろうぜっ!!」

 この世で1番の頭脳と知識の持ち主であるパァラからの信頼も得ることができた。後は、皆に伝えるだけだ。

「おい、マーサ!いきなり走り出してどうしたんだよ!それに、地獄の門の開き具合ってどういう意味なんだ・・・?」

 リッキーが息を切らしながらニコの家へとやってくる。鎧を着ていたので俺に追いつくのに時間がかかってみたいだ。

「それは今から説明するよ。皆と一緒にね。とりあえず、皆んなを集めるためにギルド長と話してくる」

「あっ!おい待てよ!!」

 リッキーの制止も聞かずに、マーサはギルドまで直行。到着するや否や、階段を走り上り、ギルド長の部屋までやってきた。

「ノックさんっ!!」

「ゲホッ!!おえっ!!ど、どうしたんだ?マーサ」

 ギルド長はどうやら食事途中だったみたいだ。俺が部屋にいきなり入ってきた事でびっくりしてスプーンを喉に突っ込んでしまったらしい。

「今すぐこの町に滞在している冒険者を呼んでください!俺は今から国王の元に向かって兵士と騎士を集めますので!呼んだら、城前の広場に集めてください!では!!」

 ギルド長の了解の言葉も聞かずにマーサは城の方へと走っていく。あまりの速度にギルド長は放心したが、すぐに気を取り戻し、マーサの言う通りの行動を開始した。
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