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5章 400年の輪廻転生

151話 いざ行かん、始まりの森へ

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 3日後、約束通り、ニコの家にいるパァラの元へ訪れた。ニコは当然のように抱き着いてきた。

「パァラ、出来たのか?」

「ああ、出来たぜ。ほらよ」

 手渡されたのは手の平に収まるサイズの小瓶。中に入っているのは、少し濁った液体だ。

「解毒剤か?」

「個人差はあるが、3時間は魔毒に対して耐性を得る事が出来る。液体だろうが、気体だろうがな」

「マーサ、その薬の製作はアタシも手伝ったの。だから・・・褒めて?」

 撫でられ待ちしているので、ニコの頭を髪を梳くように撫でる。それにしても、一体どうやって作ったのだろうか?

「2か月半前に殺した悪魔達を元に作ったんだよ。冒険者の野郎共が焼こうとしたのを阻止してよかったぜ」

「ふーん・・・」

「なんだ?なんか文句でもあんのか?」

「いや、2か月半前の悪魔達の血は浴びても大丈夫だったのに、果たして魔毒対策になるのかなって」

「ああ~~実はそれ俺も考えたんだよ。んでもって、3日のうちに最寄りの魔毒が蔓延してる場所に行ったんだが・・・」

 待って、近くにそんな危険な場所があるのか?この話が終わり次第、ノックさんに報告した方が良いな。

「普通に有効だった。大丈夫、俺の体で試したから間違いなし!!」

「相変わらず危険な実験をするな・・・死なないように気を付けろよ?」

「へいへい・・・それじゃあ、しばらく留守にすっから、勉強忘れんなよ?ニコ」

「はぁい・・・マーサ、死んだら許さないんだから」

「絶対に帰って来るよ。ニコの為にも、そして皆の為にもね」

「・・・好き♡」

 別れを惜しむニコを引きはがし、ニコの家を出る。外では既にルッタとベルセルクが待っていた。

「ほう、やっと女心が分かる様になったか。成長したな、鍛冶屋」

「今のはドア越しでも聞こえました!カッコよかったですよ!マー君!」

「2人とも・・・色々言いたい事があるけど、行こうか」

 解毒剤を含めた薬類は大丈夫、食べ物も2日分用意した。得物である戦鎚もしっかりと携帯している。勿論、メアは俺の腰にぶら下がっている。

「メアに関してはベルセルクが持っておくべきじゃないか?俺が持ってても何も使えないぞ」

「いや、使い手じゃなくても聖剣メアの探知は一番うまく扱えるだろ?何らかの理由で離ればなれになった時に、探知でオレ達を探してくれ」

「パァラはどうだ?」

「俺はパス。多分、この中で一番集団行動苦手だからな」

 パァラの理由には納得がいかないが、とりあえず俺が持っておくことにしよう。

「あの!わたしには聞かないんですか!?」

「「「選択肢に無かった」」」

「酷い!?」

 5か月半前、追放された際に優しくしてくれた門番に会釈をして、北の森へと向かう。俺の旅が始まった森へ・・・。
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