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4章 全ての元凶

140話 神の使い

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 神の使いと呼ばれる者の見分け方は至極簡単。生まれながらにして、何かしらのスキルを持っているか否かである。

 マーサの場合は、武器鍛冶スキルを生まれ持っていた。ハンスは剣術のスキルを生まれ持っていた。

 では、神の使いは彼ら2人しかいないのだろうか?否、それは違う。彼ら以外にも神の使いは存在する。本当にすぐ近くに存在する。

 そう、ルッタ・マヤである。彼女は生まれながらにして、コントロールは下手くそではあったものの、魔法スキルを持っており、魔力生成も有していた神の使い。

 マーサ達にとって、ルッタが魔法の天才である事は周知の事実である上、チョーダという敵を目の前にしていた為、彼女が神の使いである可能性を誰も考えなかった。

 そして、ルッタの事に関してはまるで知らないチョーダも、彼女の事をまるで気にしていなかった。優先度合で言うならば一番下。他3人を殺した後にじっくりいたぶってやろうというぐらいの認識しかしていなかった。

 その認識と、ルッタが魔法スキル持ちの神の使いだったという偶然が重なった結果、調子に乗っているチョーダを氷漬けにする事に成功したのである。

「な、なんだと・・・!!あんな小娘にこの威力の魔法が使えるとは・・・ま、まさか貴様も神の使い!?」

 この隙を、ハンスは見逃さなかった。氷の魔法を放ったルッタに向かって叫ぶ。

「嬢ちゃん!!剣を貸せ!!」

「は、はい!師匠!!!」

 鞘から抜き取り、槍投げの要領で投げる。普通なら危ない渡し方であるが、ハンスからしたら優しいかつ気の利いた渡し方となる。飛んできた剣を圧倒的な身長を生かして取ると、そのまま心臓を一刺し。チョーダの体を拘束している氷すら貫く威力にチョーダも思わず吐血。

「ぐふっ・・・!!」

「確実に心臓は刺したが・・・まだ元気だよな?なんたって、さっきは真っ二つになった状態から元通りになったわけだしなぁ!!!」

「あ゛あ゛!!」

 引き抜いた瞬間、早速胸の傷が再生を始める。しかし、チョーダに刺された際の痛みはある上に、身動きが取れない状態。その事を良い事に、ハンスの一方敵な蹂躙が始まった。

「まず、四肢!!」

「ああああああぁぁぁぁぁぁ!!!」

 切り落とした部位はマーサのハンマーで砕き、ルッタの炎の魔法で燃やす。

「そして・・・胴体を下からゆっくりと・・・斬る斬る斬る斬る斬るキル!!!」

「あああああああああ!!やめてくれぇぇぇぇぇぇ!!」

 胴体からまろ美出てくる内臓は無い。何故なら、飛び出てくる前にハンスにひき肉状態にされるからだ。下から上へとじわりじわりと斬られたチョーダに残った体は首のみ。心臓を失ってもなお意識はあるようで、こちらを睨みつけている。

「お、お前ら・・・ただで済むと思うなよっ!!」

「とっくにただでは済んでないんだよ・・・おい、鍛冶屋。トドメ刺してやれ」

「・・・分かった」

 心臓も無しに喋っているのに見るに、この状態でも再生で元通りになる可能性がある。なら、徹底的に潰さなければならない。

 チョーダの頭を床に置き、戦鎚を構える。流石に頭まで潰されたら一たまりも無いのだろう。チョーダは真っ二つにされる前以上に弱気になっていた。

「待て待て待て待て!!落ち着け!マーサ!!俺が悪かった!!本当に反省してる!!この町に住みついた悪魔全員連れてここから出ていくから!!な?許してくれよ!!!!!」

「チョーダ・・・いや、オストリッチ。1つ頼みたい事があるんだが、良いか?」

「あ?・・・ああ!ああ!!なんでも聞くよ!!なんたって聞くさ!!さあ、行っておくれ!!」

「70年後くらいにって、父さんに伝えてくれないかな?・・・あの世に行って」

「ちょっっっっ!!待っっっっっ!!!」

 チョーダの生首に怒りのこもった戦鎚が落とされる。脳みそを頭蓋骨を床にぶちまけた後、脳の破片から復活する事は無かった。
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