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4章 全ての元凶

116話 ギルド長は何処へ?

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 数時間後、地上にてオストリッチ派と戦っていた冒険者達が、リッキーの声かけに応じて帰ってきた。

「おおっ!マーサだ!マーサが帰ってきたぞ!!」

「マジか!なあ、おれの斧見てくれないか?今にも壊れそうなんだ」

「おいのモーニングスターもメンテナンス頼めるか?もう、素人の手じゃ錆びは取れないレベルまで来ちまったんだよ」

「わしの鎧の凹みも直しておくれ。動きずらくてたまらん」

 残ってくれていた冒険者達は全員交流がある人で、オストリッチの人となりに疑問を抱いていた人格者の冒険者ばかりだった。鍛冶職人が町から出て行ってしまったからか、第一線を走る冒険者の武器とは思えない程朽ちかけている。これは、大変・・・いや、直し甲斐がありそうだ。

「順番ずつやるから置いといてくれ。皆がリッキーの話聞いてる間に終わらせておくから」

「「「「「サンキュー!!」」」」」

 床に並べられた武器と防具を見る。戦争してきた後のようにボロボロで、質屋に出したら銅貨1枚にすらならないだろう。中には既に武器としての役目を終えているナマクラも存在する。そういう武器達はかわいそうだが、新しい武器に替えた方が良いだろう。

「よく頑張ったな・・・」

「相変わらず武器が好きなのね」

「俺という人間を構成する要素の1つだからな。俺に話しかけても何も面白い話は出ないぞ」

「知ってる。アンタの話を面白いと思った事なんて一度もないしね」

「じゃあ、何で───」

「違和感を気づかせにきてあげたのよ。アンタも何となく感じてるでしょ?」

 研究者である錬金術師の観察眼は素晴らしい。俺の頭の中すら読めてしまうのか・・・。

「ヒントをあげる。誰かがいないわよ」

「誰か・・・・・そういえばギルド長は?」

「2か月前から行方不明よ。そのせいでオストリッチがギルドの実権を握ってしまっている。アタシ達穏健派の活動目的はギルド長を探す事でもあるの」

 ノックギルド長。祖父ちゃんが死んだ時、温かい心で俺をギルドへと迎え入れてくれた、父のような存在。追放を勧告された俺に、悪くもないのに頭を下げてくれた人格者。オストリッチは、何処までも俺から大事な人達を奪う気なのか・・・!!

「助けないと・・・」

「・・・・・・これはあくまでアタシの予想に過ぎないと思うけど、ギルド長はギルド地下の隠れ家に閉じこめられてんだと思う」

「何処かの隠れ家に閉じこめられてる可能性は大いにあり得るけど、流石にそんな近くに閉じこめるか?」

「オストリッチの性格を鑑みてよ。アイツはあまのじゃく。普通なら遠くに隠すだろうけど、ひねくれたアイツはその考えの裏を取って、近くに隠してる確率が高い。そう思わない?」

「そうか?そうだな・・・そうかもしれないな」

「なら、決まりね。アタシ達が潜入するのはギルドの地下。良いわね?」

「勝手に決めるなよ・・・まあ、良いけど」

「良いなら文句言わないでよ」

 ギルド長は自分の手で救いたい。いや、救って見せる。
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