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4章 全ての元凶
99話 真夜中の訪問者
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その日の夜はぐっすりだった。足裏は骨が疲労していて痛いし、人間の遺体は意外と重くて腕の筋肉が疲労している。更に、スコップで何度も何度も土を掘っていた影響で体力も無いに等しい。
晩ご飯もあったけど、食べる気力すらなかったので、まだまだ元気だったルッタにあげてベッドにダイブ。数秒後には意識を失っていた。
誰かが言っていた。ベッドに入ってから5分以内に意識を失ったら、それは睡眠ではなく気絶だと。恐らくその時の俺は気絶したのだろう。少し黄ばんだベッドを見て緊張感が解れてしまったのだろう。
次、目を覚ました時には外は真っ暗で、明かりの1つもついていなかった。窓から外を見ると、宿舎に帰らずに岩を枕に眠っている兵士がいる。俺以上に働いていたのだから当然だろう。体を傷めなければ良いのだが。
変な時間に起きたせいか、二度寝する気にならないし、眠れる自信がない。
「宿舎まで送ってあげようかな」
「優しいんだな、鍛冶屋」
「普通だ・・・って、何でここにいる!ハンス・ベルセルク!!」
あまりにも自然な声かけで一瞬反応が遅れてしまったが、俺のベッドの横の壁にハンス・ベルセルクが寄りかかっていた。
「あんま声出すな。嬢ちゃんたち寝てんだろ」
言い方と声量からして、黙って入ってきたのだろう。
「脱獄したんじゃないのか?それに、服も囚人服から変わってんじゃないか。盗んだのか?」
「まず服は盗んじゃいねぇよ。作業中に見つけた宝石の原石売って、買ったんだよ」
「結局盗んでる事には変わらないじゃないか」
「真面目ちゃんめ。んでもって帰ってきた理由なんだが・・・分かるか?」
「何も言わずに分かる程、俺ら親交深くないだろ」
「それもそうだな、お前オレの事フルネームで呼んでるし。とりあえずハンスって呼ぶところからだな、鍛冶屋」
「お前にだけは言われたくないよ」
名前どころか、職名だし。
「あだ名みたいなもんだろ、気にすんな」
「そうさせてもらうよ、ベルセルク」
「・・・ファミリーネーム呼びか。良いねぇ・・・んでもって話を戻すんだが、今日の戦いを見てもらったら分かると思うけど、オレは剣士だ。けど、残念ながら剣もなければ鎧も無い。ただの馬鹿力だこれじゃあ」
「それで?俺に剣と鎧を作れと?宝石の原石では作らないぞ。ここの鉱山の物だしな」
「心配するな!もうなくなったから!!そもそも少なかったし!!」
「じゃあ、何で支払うつもりだ?」
ルッタに剣術を教える際に脱獄を手伝わせるという交換条件を出してきたやつが何の対価もなしに武具と防具の作成を依頼してくるわけがない。
「オレと協力してオストリッチを倒そう!良い条件だろ?」
「・・・・それは良い条件だな。気に入った。ほら、これに書け」
羊皮紙の欠片と、ペンを渡す。
「何を書けば良いんだ?お前の良い所を10個?」
「違う。リクエストだよ。あんだろ?」
「ああ、そういう事ね。さらさらさらっと。ほらよ」
まるで適当に書いたようなスピード。しかし、メモにはしっかりと要望が書かれていた。
「分かった、じゃあ、出来上がりなんだが・・・っていない」
窓が開いており、淵には靴型の泥が付着している。窓から帰ったのだろう。
そして、メモのの最後に『1週間後にトンスで待ち合わせ』と書いていた。あの男、割と用意周到かもしれない。
晩ご飯もあったけど、食べる気力すらなかったので、まだまだ元気だったルッタにあげてベッドにダイブ。数秒後には意識を失っていた。
誰かが言っていた。ベッドに入ってから5分以内に意識を失ったら、それは睡眠ではなく気絶だと。恐らくその時の俺は気絶したのだろう。少し黄ばんだベッドを見て緊張感が解れてしまったのだろう。
次、目を覚ました時には外は真っ暗で、明かりの1つもついていなかった。窓から外を見ると、宿舎に帰らずに岩を枕に眠っている兵士がいる。俺以上に働いていたのだから当然だろう。体を傷めなければ良いのだが。
変な時間に起きたせいか、二度寝する気にならないし、眠れる自信がない。
「宿舎まで送ってあげようかな」
「優しいんだな、鍛冶屋」
「普通だ・・・って、何でここにいる!ハンス・ベルセルク!!」
あまりにも自然な声かけで一瞬反応が遅れてしまったが、俺のベッドの横の壁にハンス・ベルセルクが寄りかかっていた。
「あんま声出すな。嬢ちゃんたち寝てんだろ」
言い方と声量からして、黙って入ってきたのだろう。
「脱獄したんじゃないのか?それに、服も囚人服から変わってんじゃないか。盗んだのか?」
「まず服は盗んじゃいねぇよ。作業中に見つけた宝石の原石売って、買ったんだよ」
「結局盗んでる事には変わらないじゃないか」
「真面目ちゃんめ。んでもって帰ってきた理由なんだが・・・分かるか?」
「何も言わずに分かる程、俺ら親交深くないだろ」
「それもそうだな、お前オレの事フルネームで呼んでるし。とりあえずハンスって呼ぶところからだな、鍛冶屋」
「お前にだけは言われたくないよ」
名前どころか、職名だし。
「あだ名みたいなもんだろ、気にすんな」
「そうさせてもらうよ、ベルセルク」
「・・・ファミリーネーム呼びか。良いねぇ・・・んでもって話を戻すんだが、今日の戦いを見てもらったら分かると思うけど、オレは剣士だ。けど、残念ながら剣もなければ鎧も無い。ただの馬鹿力だこれじゃあ」
「それで?俺に剣と鎧を作れと?宝石の原石では作らないぞ。ここの鉱山の物だしな」
「心配するな!もうなくなったから!!そもそも少なかったし!!」
「じゃあ、何で支払うつもりだ?」
ルッタに剣術を教える際に脱獄を手伝わせるという交換条件を出してきたやつが何の対価もなしに武具と防具の作成を依頼してくるわけがない。
「オレと協力してオストリッチを倒そう!良い条件だろ?」
「・・・・それは良い条件だな。気に入った。ほら、これに書け」
羊皮紙の欠片と、ペンを渡す。
「何を書けば良いんだ?お前の良い所を10個?」
「違う。リクエストだよ。あんだろ?」
「ああ、そういう事ね。さらさらさらっと。ほらよ」
まるで適当に書いたようなスピード。しかし、メモにはしっかりと要望が書かれていた。
「分かった、じゃあ、出来上がりなんだが・・・っていない」
窓が開いており、淵には靴型の泥が付着している。窓から帰ったのだろう。
そして、メモのの最後に『1週間後にトンスで待ち合わせ』と書いていた。あの男、割と用意周到かもしれない。
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