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4章 全ての元凶

98話 俺の人生を決定づけた父へ

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 マザーイーターが死亡してから、俺達はどうすれば良いかわからなかったので、取り敢えず兵士達の手伝いをする事にした。

 ルッタとパァラは囚人と兵士の怪我の治療。俺は、兵士達と一緒に死んでしまった人々の遺体を埋める作業を手伝う事にした。

「粗方埋め終えたな・・・本当なら故郷に送ってやりたい所だが、監視長は殺されちまったし、兵士もかなりの数減っちまって労働力はさけない状況だしな、諦めよう」

「応援は呼べないのか?馬車なら城下町まで1週間で着けるだろう?」

「いいや、今の城下町はダメだ、終わってる。城下町の兵士達も影響受けて使い物にならないから俺らだけで何とかしなくちゃな」

 城下町が終わっている?出たのが3ヶ月くらい前で、その時は治安はまあまあ良かったはずだが・・・。

「知らないのか?冒険者ギルドの奴らが急に牛耳り始めたせいで治安が最悪になったんだ。田舎に引っ越す者が後を絶えないらしい」

 口だけの説明なので、信じて良いか分からない上にどれだけ酷いのか想像が難しいが、過酷な環境での仕事を行う兵士が言う程なのだから相当酷い有様となっているのだろう。

「ま、所詮はチンピラの寄せ集めってわけだな。あ、その遺体は俺がやるぞ鍛治職人。内臓飛び出てるから触りたくないだろう?」

「関係ないさ、それに遺体を見るのは慣れてる」

「旅してたらそらそうか・・・あっ、リバー・バーチュ」

 兵士の呟きをマーサは聞き逃さなかった。麻袋に入れられた遺体。姿は見えないが、白髪混じりの黒髪で分かる。彼だ。

「悪んだけど、彼の埋葬は俺にやらせてくれ。どうしてもリバーを弔いたいんだ」

「そっか・・・そういえばお前が来てからずっとコイツ通ってたもんな。良いぜ、ほらよ」

 丁寧に遺体を渡してもらったマーサはそのままお姫様抱っこで開けたばかりの穴に入れ、土をかける。

 今まで一度も父親らしきことをされてこなかった。囚人なので当たり前だが。母さんが狂った原因を作った人でもある。悪い所はいくらでも上げられる。むしろ、良い所が少ないくらいだ。

 もし、彼が捕まらなかったら、俺は今よりもまともな人生を送れたのだろうか?

 ・・・いや、やめとおこう。タラレバの話はため息が増えるだけだ。それに、俺がもしこの人生を歩んでいなければ、出会えなかった人も大勢いる。今の人生が嫌だみたいな考えはやめよう。 

 色々言いたい事があるが、聞こえていない可能性があるのでこれだけ言っておく事にする。

「俺を愛してくれてありがとう、父さん・・・」

 たった数週間の交流だったが、今思い返せば彼の行動には俺への愛に溢れていた。それに感謝しなければ親不孝者だ。

「おーい!鍛冶職人!こっち手伝ってくれ!!」

「分かった、すぐに行く」

 兵士と囚人の遺体の埋葬は、それから5時間かけて終了させた。
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