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3章 極悪囚人更生施設サルフル鉱山
80話 オストリッチの計画が破綻した瞬間
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話の舞台は一旦サルフル鉱山から、ウォリア王国の冒険者ギルド「ディラム」に変わる。
血気盛んな一攫千金、人生逆転を狙う冒険者が集うギルドの酒場で1人のガタイの良い男が酒を片手に悩んでいた。男の名前はペリカ・オストリッチ。若き鍛冶職人マーサ・ラームを城下町の追放へと追いやった冒険者である。
「とっくに野垂れ死んでいると思ってたが・・・運の良い奴だな、マーサ・ラーム」
マーサが死んでほしい程に気に食わなかったオストリッチだったが、罪を負うのは嫌だったため、城下町から追放した。冒険者などの戦士ならともかく、鍛冶職人という戦いに縁がない職業の人間が弱肉強食の世界である外で生きていくのはほぼ不可能。
運良く死を回避しても、再び死がやってくるという一難去ってまた一難の状況が常だ。いつか運が尽き、野垂れ死ぬ。最低でも1ヶ月で死ぬと予想していたマーサが思わぬ形で生きている事を知ってしまった。
それは、つい1ヶ月前の事だ。ギルドづてに俺の舎弟が逮捕された事を知った。なんでも、闇依頼を受けたのが表沙汰になったらしい。依頼内容は錬金術師の殺害。実際に殺したらしく、流石の俺も庇う事が出来なかった。
その時点でショックだった。やっと、ギルドの派閥の割合が俺の方に傾いてきた時の出来事だったので、驚きよりも怒りの方が強かった。だが、俺も鬼じゃない。2週間後に城下町に送還されてきた舎弟たちの面会に行ってやることにした。大して強くもない癖に粗暴な奴らだったか、役立たずと聞かれたらそうではなかったからな。
そんな舎弟達との面会の時に聞いてしまったのだ。
「マーサ・ラームとその仲間に捕まりました」
と。今度は怒りよりも先に驚きがやってきた。アイツが生きている?しかも仲間を引き連れて?最初は嘘かと思っていたが、舎弟達の表情を見るに本当なのだと確信した。
「今は、各地を旅しながら鍛冶を続けているみたいです。魔物とも戦ってるみたいで、それなりに強くなっていました」
「・・・お前らまさか負けたのか?本職が鍛冶職人の男にか?」
コクリと頷く舎弟。これには思わず格子を殴ってしまった。
「クソ!!アイツが生きている上に各地を回ってるだって!!それが本当なら、アレがバレるのも時間の問題じゃねぇか!!お前ら!マーサが港町マーマンから何処に行ったか分かるか?」
「す、すんません・・・分かりません」
「クソ!!ああ、もう!仕方ない!!バレる前に行くしかねぇじゃねぇか!!サルフル鉱山に!!」
怒りをそのままに城下町の牢獄から立ち去ったオストリッチは、一度家に帰ろうともせず、武器と少量の食料と金と共に城下町から飛び出すのであった。
話の舞台は一旦サルフル鉱山から、ウォリア王国の冒険者ギルド「ディラム」に変わる。
血気盛んな一攫千金、人生逆転を狙う冒険者が集うギルドの酒場で1人のガタイの良い男が酒を片手に悩んでいた。男の名前はペリカ・オストリッチ。若き鍛冶職人マーサ・ラームを城下町の追放へと追いやった冒険者である。
「とっくに野垂れ死んでいると思ってたが・・・運の良い奴だな、マーサ・ラーム」
マーサが死んでほしい程に気に食わなかったオストリッチだったが、罪を負うのは嫌だったため、城下町から追放した。冒険者などの戦士ならともかく、鍛冶職人という戦いに縁がない職業の人間が弱肉強食の世界である外で生きていくのはほぼ不可能。
運良く死を回避しても、再び死がやってくるという一難去ってまた一難の状況が常だ。いつか運が尽き、野垂れ死ぬ。最低でも1ヶ月で死ぬと予想していたマーサが思わぬ形で生きている事を知ってしまった。
それは、つい1ヶ月前の事だ。ギルドづてに俺の舎弟が逮捕された事を知った。なんでも、闇依頼を受けたのが表沙汰になったらしい。依頼内容は錬金術師の殺害。実際に殺したらしく、流石の俺も庇う事が出来なかった。
その時点でショックだった。やっと、ギルドの派閥の割合が俺の方に傾いてきた時の出来事だったので、驚きよりも怒りの方が強かった。だが、俺も鬼じゃない。2週間後に城下町に送還されてきた舎弟たちの面会に行ってやることにした。大して強くもない癖に粗暴な奴らだったか、役立たずと聞かれたらそうではなかったからな。
そんな舎弟達との面会の時に聞いてしまったのだ。
「マーサ・ラームとその仲間に捕まりました」
と。今度は怒りよりも先に驚きがやってきた。アイツが生きている?しかも仲間を引き連れて?最初は嘘かと思っていたが、舎弟達の表情を見るに本当なのだと確信した。
「今は、各地を旅しながら鍛冶を続けているみたいです。魔物とも戦ってるみたいで、それなりに強くなっていました」
「・・・お前らまさか負けたのか?本職が鍛冶職人の男にか?」
コクリと頷く舎弟。これには思わず格子を殴ってしまった。
「クソ!!アイツが生きている上に各地を回ってるだって!!それが本当なら、アレがバレるのも時間の問題じゃねぇか!!お前ら!マーサが港町マーマンから何処に行ったか分かるか?」
「す、すんません・・・分かりません」
「クソ!!ああ、もう!仕方ない!!バレる前に行くしかねぇじゃねぇか!!サルフル鉱山に!!」
怒りをそのままに城下町の牢獄から立ち去ったオストリッチは、一度家に帰ろうともせず、武器と少量の食料と金と共に城下町から飛び出すのであった。
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