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3章 極悪囚人更生施設サルフル鉱山

76話 剣士への道

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 男が立ち去ってから、俺達が行動を開始するまで少しのラグがあった。恐らく、あまりにも凄い物を見たからだと思う。

 しばらく経って動けるようになった俺達は。光鉱石は諦めて、兵士達の救助に当たる事になった。

「イテテ・・・悪いな、鍛冶職人にこんな事させちまって・・・」

「やりたくてやってるから気にしないでほしい」

 兵士は大部分は生き残ってくれていたが、やはり死者が出てしまった。たった1体魔物のせいでだ。最近、金属の価値が高騰しているのにも、ロックイーターの影響がある。

「なあ、さっきの囚人は一体何者なんだ?随分と強かったわけだが。今回が初めてじゃないのか?」

「ああ、これで3回目だ。アイツは1ヶ月前に城下町からサルフルにやってきたハンス・ベルセルク。貴族を瀕死にまで陥らせた奴だ」

「それは随分と派手な理由での投獄だな。すぐに脱獄しそうなのに、ここに留まっているのはなんでだ?」

「・・・言われてみればそうだな。ここに来てから1ヶ月、ロックイーターが出る時以外はおとなしかったから何とも思っていなかったが、確かに何で逃げていないんだ?」

 貴族を殴るような豪快な性格と、ロックイーターを一方的に倒してしまえる力を持っているのなら、いつでも脱獄できるはず。それなのに何故、こんな所に居続けているのか?

「何かこだわりでもあるのか?それとも、脱獄犯っていうレッテルを貼られたくないのか?」

「さぁな。全てはアイツのみが知ってるよ。治療ありがとな。後は自分らで何とかするよ」

「分かった・・・パァラ、ルッタ!俺は先に戻ってるから、治療頼む!」

「任せてください!!このルッタ・マヤ!絶対に命を落としたりいたしません!!」

「うん!こっちは任せて!お兄ちゃんは小屋に戻ってて良いよ♪」

 因みに、パァラは怪しまれないように年相応の演技をしている。400歳が少女の真似事をしていると思うと、少し鳥肌が立ってしまった。

「パァラさん、こんな感じですかね?」

「そうだ、そうだ。回復魔法は体がびっくりしないようにゆっくりとやるんだ。重症の相手を治す時は特に気を付けろ?調整を誤ったらショック死するからな?」

「はい!・・・・・・それにしても、あのハンスさんって人とっても強かったですね」

「だな。俺もあれほどの腕を持った剣士を見たのは300年ぶりかもしれねぇ」

「・・・あの人に教えてもらいたいなぁ、剣術」

「マジで?」

 ルッタの夢は、剣士。しかし、剣の師と呼べる者は今までの人生で一度も出会った事が無かったが、彼女にもようやっと運が回ってきたみたいだ。
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