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3章 極悪囚人更生施設サルフル鉱山

74話 炭鉱夫の天敵ロックイーター

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 外に出ると、囚人や兵士関係なく慌てふためいていた。

 囚人達は決死の表情で採掘場からこちらの安全な場所へと逃げてきており、逆に兵士達は囚人たちを退けて採掘場の方へと向かっている。兵士達の目は全員とても血走っていた。

「やっぱりアイツだな・・・」

「魔物か?」

「ああ、炭鉱夫の天敵さ。ここまで言えばお前も知識で何となく分かるだろう?」

「ああ・・・成程ね。アイツなら俺も冒険者から聞いた事あるよ。強すぎて、手練れでも死ぬんだっけ?」

「あの!!一体どんな魔物なんでしょうか!?」

「見たら分かる。ほれ、行くぞ」

「えっ?行くの?死にに行くようなもんじゃない?」

「馬鹿野郎、俺を誰だと思ってんだ。それに、良い考えがあるから危険に突っ込んでいくんだろうが」

 そういうと、パァラは小さな足を動かして採掘場に向かって走っていったが、逆方向に走る囚人に吹き飛ばされてしまった。

「ちぃ・・・!!野郎・・・俺に謝罪も無しか・・・!!」

「謝罪出来ないんだろうがよ!」

 仕方がないので、パァラを掬い上げ、採掘場に向かって走る。中に入ると、トーンの高い鳴き声と、兵士達の悲鳴と雄叫びが聞こえてきた。

「キキュアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

「うおおおおおおおおおお!!死ねぇ!!!」「やだぁぁぁぁぁ!!死にたくなぁぁぁい!!」「うろたえるな!!進めぇぇぇ!!」「だから鉱山への異動はいやだったんだ!!だってだって・・・」

 血気盛んな兵士達の前に姿を現したのは、砂色の巨大な芋虫型の魔物。鉱山などの山に生息し、肉や草ではなく鉱石や岩を食べ、人間を食料を奪う天敵として襲う二重の意味での天敵要素を持った鉱山業最大の敵。その名も───。

「ロックイーター・・・人類の天敵だ」

「天敵っていう事は、勝率は低いという事ですか!?あそこで戦っている兵士の方々は死んでしまうという事ですか?」

「さあ、分からない」

「では、助けましょう!その為に来たんですよね?ね?」

「うんにゃ、助けないさ。それよりも大事な事をする。混乱に乗じて光鉱石を発見して、持ち逃げするんだ」

 成程、パァラの言っていた良い考えというのはその事だったか。確かに、今盗めばバレないだろうし、仮にバレてもロックイーターの対処のせいで対応しきれないだろう。

 大分卑怯だが、理にかなった入手方法だ。

「良し、じゃあ早速光鉱石を──────」

「どけどけどけぇぇぇぇ!!ハンス・ベルセルクが通るぞぉぉぉぉぉ!!」

 採掘場の出口の方から、死闘の場としてはかなり場違いの声が聞こえてくる。思わず反射で後ろを振り返ると、俺らの方・・・というよりもロックイーターの方に向かって、俺よりも遥かにガタイの良い囚人が走ってきていた。

「久しぶりの獲物だぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 ガタイの良い囚人の目は血走っており、全身に狂気を帯びていた。思わず道を開けてしまったが、大丈夫だろうか。

 そのまま男は死んだ兵士から剣を奪うと、ロックイーターに向かって走っていった。
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