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2章 稀代の超天才聖人錬金術師パァラちゃん

49話 400年分の知識

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「・・・ふぅ」

 瓶の中の気体を全て吸い尽くし、知識を取り戻したパァラは、感情と記憶を取り戻した時とは違い、とても静かだっt──────。

「ぐあ・・・!!あぁぁぁぁぁぁ!!」

 と思っていたが、パァラは突然自分の頭を両手で掴み、苦しみ始めた。

「あ、頭が・・・!!情報量で壊れそうだ・・・!!」

 400年分の知識。元から自分のだが、その少女の体を受けるのは初めてだ。痛みのあまり転げ始めた。

「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!」

「は?はは・・・はははははははははははははは!!なんだ?あんなにカッコつけておいてそのザマは!!」

 一発逆転に賭けてみたんだが、駄目だったか?他の小瓶とは違って、何か必要な物か場所があったんじゃないのか?

「あ・・・ああ・・・」

 激痛が終わったのか、パァラはピタリと悲鳴を止めてしまう。代わりに天井をなんの意味もなく眺め始めた。

 壊れた。パァラの様子をみた瞬間、そう思ってしまった。パァラを助けるの真逆を行なってしまった。

「すまない・・・パァラ」

「すっかり廃人になってしまったな!!パァラよ!心配するな!すぐにあの世に送り込んでやる!!甲殻隊!集中攻撃だ!!パァラを殺せぇ!!」

 知識は二の次だったのか、サクセスは大して小瓶を奪われた事に怒っていなかった。それどころか腕を落とされた事も忘れてしまったのかと思ってしまうほどにリアクションが薄い。

 目の前でパァラが廃人になった事がよほど嬉しいらしい。俺らは既に彼の意識の中にはいないようだ。

 四方八方から攻めてくる甲殻類の魔物達。廃人となったパァラに逃げ道はなく、残された道は潰されるのみ。

 サクセスの指示に従い、腕を振り上げ、潰し殺そうと試みる魔物達を、岩の拳が襲った。

 鈍い衝突音と共に、パキリと割れる音が洞窟に響く。鋼の鎧並みに硬い甲殻を纏った魔物達もたちまち肉の塊と化している。

「・・・しばらく海鮮類は食べたくありませんね!!」

「一言目がその感想、俺はルッタの中に才能に近い何かを感じるよ。どうしてこの状況になったのかについては気にならないのか?」

「なりませんね!!だって、魔物達が集まってる真ん中見てください!!」

 真ん中といっても廃人になってしまったパァラしかいないはずだが・・・。

「・・・ふぅ、危なかった。記憶と感情を先に吸収して、知識を入れるとこんな感じなのか・・・いや、どちらかと言うと、知識に脳が耐えられなかったのか?」

 聞き覚えのある声が聞こえてくる。生きていたのか・・・!!

「稀代の超天才聖人錬金術師パァラちゃん、本当の大復活だ」



















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