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2章 稀代の超天才聖人錬金術師パァラちゃん

45話 例外の黒幕

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 その人物は、俺達に背中を向けて立っていた。かなりサイズの余裕のあるローブを纏っているので、男性なのか女性なのかわからない。

「俺を殺した手際の良さと計画性は見事だった。だが、詰めが甘かったな!俺はあの程度では死なん!!天才とは常にもしもを考えるのだ!!」

「・・・私が?」

 やはりというべきか、その人物は黒幕だった。そして声からして男だ。

「あ゛?何言ってんだ?まるで俺がお前を知っているみたいじゃねぇか!」

「いいや、知っているはずさ。お前にとってどうでも良いから忘れてるだけで記憶の片隅に残っているはずだ!!この顔を見ればな!!」

 振り返ってこちらに顔を見せつける黒幕。その顔は、パァラの前の体、殺されたパラケルススの遺体の顔に瓜二つだった。

「パァラ、アンタ兄弟とかいた?」

「390年前に疫病で死んだよ。それに一卵性双生児でもない。コイツは一体何者なんだ?」

「10年前、お前は次に乗り移る為のホムンクルスの肉体を作っていたな?今入った女の体ではなく、前と同じ男の体を」

「・・・なんで知ってるんだ?ホムンクルス体の培養は誰にも教えてないはずだぞ?」

「ああ、そうだな。しかし、作ったのは良いものの、その体は失敗作だった。老化が激しく、基礎的な体力も免疫も常人の3分の1以下だった」

「・・・・・・そんな奇跡があるんだな」

「やっと分かったか。知識は奪われても知能だけは健在のようだな」

 まるで話が理解できない。パァラの反応からして、目の前の黒幕は知人だったのだろうか?

「悪いな、この一連の騒動の原因は俺にあるらしい」

「何言ってんだ。アイツとなんの因縁があろうが、殺されたんだぞ。原因があっても決してやって良いわけがない!」

「そうだな。だが、物事には必ず例外がある。今回は例外に該当する」

「ややこしい言葉で使うな。通じるのは凡人だけだ。単刀直入に説明してやれパラケルスス」

「それもそうだな。マーサ、ルッタ、アイツは・・・俺のホムンクルスだ」

「・・・はぁ!?」

 意味がわからない。ホムンクルスだというのなら、なんであんなにしっかりとした目つきで会話をする事ができるんだ?

「ホムンクルスには魂は宿らないはずじゃないんですか!」

「厳密には宿る。俺がこの体に乗り移った時のようにな。問題は自然には宿らないって事だ」

「ああ、その説明は聞いた!!今でもしっかり覚えてる!!そんでもってやっと今までの会話を理解した!!目の前にいるのは、お前の失敗作のホムンクルス体に魂が宿った結果なんだな?」

 コクリと縦に小さく頷く。

「これも例外か!?例外なのか!?」

「そうだな。だが、私は神のイタズラと呼んでいるよ。不完全な体に魂を宿したらどうなるだろう?という神の好奇心からの行動だとね」

 黒幕の顔は怒りで真っ赤になり、今にも日がついてしまいそうだった。
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