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2章 稀代の超天才聖人錬金術師パァラちゃん

34話 因縁の相手

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「マーサ、折れたマチェットの刃を見てください」

「血がべっとりと付いてるな・・・」

「貴方の血ではありませんよね?」

「刺されてないし、斬られてもいない。絶対にパラケルススの血だろ・・・おい、クソださタトゥー。お前がパラケルススを殺したのか?」

「・・・・・・ああ、俺1人でやった」

 頷くまでが長い。嘘をついている可能性があるな。

「質問。パラケルススから奪った物があるはずですそれを迅速に返す事を要求します」

「何も、盗んでねぇよ・・・」

「・・・嘘をついていますね。私はほとんど何もしりませんが、3つの大切な物が奪われた事は知っています。パラケルススを殺した者が奪って言った事も」

「何か、持っているように見えるか?」

「嘘をついているようには見えるな」

「あの!この人はマー君のお知り合いなのでしょうか!?」

「ああ、クズだ。冒険者としても人間としてもな」

「この人冒険者だったんですか!!意外です!!このくらいの歳の冒険者の方なら強いのかと!!」

 冒険者は危険と隣り合わせの仕事だ。若い殉職者数が減る事はない。なので、必然的に歳取った冒険者は手練れと捉えられる。

 今、出血多量で意識が朦朧としているこの冒険者の年齢は確か23歳。冒険者は15歳からなれる為、8年間冒険者をしていた事になる。

 にも拘わらず、まだ修行中の剣士の少女と、鍛冶職人の2人に完封されてしまっている。冒険者歳取ってれば強い理論を壊しかねない存在と言えるだろう。

 しかし、コイツが歳の割に弱いのには理由がある。死ぬことを恐れて難易度の低い依頼を複数人でこなしているからである。その為、経験がまるで積めずに23歳になってしまったのだ。

「俺ごときに負けるくらい弱いとは思わなかった・・・いや、道理で投げられる石も大して痛くなかったわけだ」

「好き勝手言いやがって・・・」

「今、お前の事を思い出してたら何となくわかった。お前、いつメンでパラケルスス殺しただろ」

「・・・・・・」

「沈黙は肯定と見做す。よし、冒険者ギルドに行こう。勿論この港町のな」

 それなりに大きな町ならば、冒険者ギルドが存在する。そして、港町マーマンにも冒険者ギルドがあると、ディラムのギルド職員から聞いた事がある。

「確か、『シーウォーリア』だっけ?ギルドの看板なら腐るほど見てる。行くぞ」

 冒険者ならば、何処の町のギルドでも依頼を受ける事は可能。そして、ギルドに付いている酒場での割引も効く。冒険者ならまず、どんな町を訪れたとしてもギルドへと向かうだろう。

「ギルドに行くぞ。今なら、依頼成功の美酒に酔いしれてるはずだ。顔も分かってる。すぐに捕まえられるさ」

 既にこちらの勝利は確定したものだ。
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