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2章 稀代の超天才聖人錬金術師パァラちゃん
30話 血塗れの錬金術師
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「え!?だだだ大丈夫ですか!?!?」
「いや、ダメだ。もう死んでる」
脈がなく、瞳孔も開ききっている。これで生きていたとしたら、相当の役者だ。
死因はどう見ても他殺。凶器はなく、犯人らしき者もいない。いや、もしかしたら何処かに隠れているのかもしれない。
「メア、声を出すのを許可する。辺りに俺ら以外の生命反応はあるか?」
『いえ、ありません。少なくとも地上には』
「地下と屋根の上はありえるって事か・・・いざとなったらお前を使うぞ」
錬金術師を探している1ヶ月半の間、本当に何もしてこなかったわけではない。各地で剣や農具を打って作り、金を稼ぎ、メアの仮の刃を作った。
今度は青銅などではなく、鉄。しかも、純度の高い高級品を購入して作った刃だ。
『その際は気をつけて。全てのスキルレベルが上がっています。勿論、使用者制限のレベルも』
お陰でスキルレベルも上がったが、握った際のビリビリも強化されたが、まだ許容範囲だ。
「・・・何か聞こえませんか!?」
「何処から聞こえる?」
「足元からです!小さいですけど、足音がします!!」
「分かった、ちょっと静かにして」
「はい!!!」
床に耳を当て、音を確かめる。
ギシッ、ギシッ・・・と、確かに足音が聴こえる。足音を殺しているというよりも、体重がただ軽いだけのように感じる。
音は段々と大きくなっていき、床に耳を付けなくても聞こえるくらいに近づいてきている事が分かる。どうやら地下室があるみたいだ。
『生命体を感知しました。人です』
「他に何が分かる?」
『恐らくですが・・・子供です。ルッタさんよりも小さな子供。そのくらいの生命反応です』
「子供?・・・うおっ!?」
右足が床に押されて少しだけ宙に浮いた。床に押されたというよりも、床の下から押されたという方が良いだろうか?
右足を置いていた床を見てみると、他の床から切り離されていた。しっかり見ないと切れているのが分からないくらいピッタリだ。
足を退かせると、床が飛び出し、外れる。長方形に開いた穴からそれはそれな小さな手が出てくる。
手は掴むところを探しているようで、掴んで、引き上げてあげる。すると、白いワンピースに、金髪のボブヘアーの少女が俺らの前に姿を露わにした。
「・・・どうも、こんにちは。よろしければゆっくりと床におろして頂けると幸いです」
「あ、ごめん・・・」
「お気になさらず・・・・・・ああ、やはりそう言う事でしたか」
少女は、血塗れの遺体に驚くどころか、何故か納得していた。まるで予想が当たったかのように。
「そこのお2人様、旅人様でしょうか?いきなりで申し訳ないのですが、腕が立つのなら私のお願いを聞いては頂けないでしょうか?」
「どうしたのかな?お姉ちゃんでよければ話を聞くよ?」
「ありがとうございます・・・では、私と共にパラケルススの殺害者を探してはもらえないでしょうか?」
少女はぺこりと頭を下げてお願いしてきた。
「いや、ダメだ。もう死んでる」
脈がなく、瞳孔も開ききっている。これで生きていたとしたら、相当の役者だ。
死因はどう見ても他殺。凶器はなく、犯人らしき者もいない。いや、もしかしたら何処かに隠れているのかもしれない。
「メア、声を出すのを許可する。辺りに俺ら以外の生命反応はあるか?」
『いえ、ありません。少なくとも地上には』
「地下と屋根の上はありえるって事か・・・いざとなったらお前を使うぞ」
錬金術師を探している1ヶ月半の間、本当に何もしてこなかったわけではない。各地で剣や農具を打って作り、金を稼ぎ、メアの仮の刃を作った。
今度は青銅などではなく、鉄。しかも、純度の高い高級品を購入して作った刃だ。
『その際は気をつけて。全てのスキルレベルが上がっています。勿論、使用者制限のレベルも』
お陰でスキルレベルも上がったが、握った際のビリビリも強化されたが、まだ許容範囲だ。
「・・・何か聞こえませんか!?」
「何処から聞こえる?」
「足元からです!小さいですけど、足音がします!!」
「分かった、ちょっと静かにして」
「はい!!!」
床に耳を当て、音を確かめる。
ギシッ、ギシッ・・・と、確かに足音が聴こえる。足音を殺しているというよりも、体重がただ軽いだけのように感じる。
音は段々と大きくなっていき、床に耳を付けなくても聞こえるくらいに近づいてきている事が分かる。どうやら地下室があるみたいだ。
『生命体を感知しました。人です』
「他に何が分かる?」
『恐らくですが・・・子供です。ルッタさんよりも小さな子供。そのくらいの生命反応です』
「子供?・・・うおっ!?」
右足が床に押されて少しだけ宙に浮いた。床に押されたというよりも、床の下から押されたという方が良いだろうか?
右足を置いていた床を見てみると、他の床から切り離されていた。しっかり見ないと切れているのが分からないくらいピッタリだ。
足を退かせると、床が飛び出し、外れる。長方形に開いた穴からそれはそれな小さな手が出てくる。
手は掴むところを探しているようで、掴んで、引き上げてあげる。すると、白いワンピースに、金髪のボブヘアーの少女が俺らの前に姿を露わにした。
「・・・どうも、こんにちは。よろしければゆっくりと床におろして頂けると幸いです」
「あ、ごめん・・・」
「お気になさらず・・・・・・ああ、やはりそう言う事でしたか」
少女は、血塗れの遺体に驚くどころか、何故か納得していた。まるで予想が当たったかのように。
「そこのお2人様、旅人様でしょうか?いきなりで申し訳ないのですが、腕が立つのなら私のお願いを聞いては頂けないでしょうか?」
「どうしたのかな?お姉ちゃんでよければ話を聞くよ?」
「ありがとうございます・・・では、私と共にパラケルススの殺害者を探してはもらえないでしょうか?」
少女はぺこりと頭を下げてお願いしてきた。
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