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1章 追放とクソ雑魚オンボロ聖剣との出会い

23話 聖剣の本気

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「ええええ!?わたし何かが聖剣さんを使っちゃって良いんですか!?」

『構いません!今はそんな事を言っていられる状況ではありません』

「で、でもわたし何かが使えるんでしょうか・・・」

 躊躇うルッタ。メアの性能の件は既にマーサから聞いている。

『多少苦しいでしょうが、我慢して下さい。さもなくば、貴女は死にます』

「・・・はい」

『マーサさんは直に死ぬでしょう。体は既にボロボロです。助かるにはこの場を打開して、貴女が治療するしかない。そして、打開するには私が必要です』

 この説得に、ルッタの心は決意を固めた。自分が死ぬだけじゃなくて、他人まで死ぬ。しかも、自分の故郷を守ろうとしてくれた人が死ぬ。その事をしっかりと認識した事により、生まれる罪悪感。

 それらが原動力となったルッタは先程の躊躇いは嘘かと思ってしまう程の速度でマーサが地面に放り投げた荷物の方へと走り、メアを革の鞘から引き抜いた。

「ッッ!!」

 瞬間、全身に流れてくる電気。無資格者を弾く目的でつけられたスキル[使用者制限]だ。

 メア自体が本来の力を取り戻していない事もあいまって、体を流れる電気の強さは大した事はなく、ルッタでも気合と覚悟で握れる程度だ。

 刀身は青銅。応急処置でつけられた仮の体。電撃と共に青銅の重みが腕にずっしりと伝わってくる。

「お、重い・・・!!」

 普段から作っていた男性用の刀身の付けたせいで、ルッタは持ち扱うのに苦戦している模様。そんな事は知った事かと言わんばかりに詰め寄ってくる。

「んっしょ!持ち上げました!聖剣さん!!この後はどうすれば良いの!?」

『しばらく待ってください。今、力を貯めていますので・・・・』

「え?待つって言ったって・・・もう目の前に来てるよ!?!?」

『思ったように力が・・・魔力がたまらないんです・・・!!』

 実際、何か行動を起こそうとしているのは分かる。青銅の刀身が光り始めたのだから。光は時間経過と共に強くなっていき、森の精霊が発する光と同じレベルにまで到達する。

 到達した頃には、ウッドゴーレムも射程距離まで到達しており、腕を大きく振りかぶっていた。

「聖剣さぁぁぁぁぁぁぁぁぁんんんん!!!」

『・・・今です!振り下ろして下さい!!』

 許可が出た瞬間、反射的に振り下ろす。振り下ろすと同時に刀身に溜まっていた光が放出。斬撃として飛んでいった光は、丈夫な大樹から生まれたウッドゴーレムを切断。

「・・・へ?」

 たった一撃で、森の精霊の生み出した守護者を討伐する事に成功した。

 ずれ落ちるウッドゴーレムの上半身、揺れる足元。

 そして、光の一撃を放った聖剣メア・モークの青銅の刀身は、再び朽ち果ててしまうのだった。
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