上 下
10 / 208
1章 追放とクソ雑魚オンボロ聖剣との出会い

9話 やっとついた農村は・・・

しおりを挟む
『随分と道が険しい森ですね。それに、魔物もたくさん。こんな所に人が住めるのでしょうか?』

「魔物と言っても、。一部を除いてな」

『何を言っているんです?魔物というのは、人を襲う生物。そこに意味などないでしょう?』

「いやいや、あるだろ。腹が減ったとか、自分らの住処に近づいて来たとか。魔物はそんな邪悪じゃないって・・・あ、そうか」

『どうしたんです?』

「今の時代と、メアの時代の魔物はちょっと違うか。確か、悪魔王の影響で妙に凶暴化してたんだっけ?」

『あ・・・そうでしたね。失念していました。何せ、私が生まれた頃には魔物というのは凶暴な存在でしたので』

「まあ、ゴブリンみたいに野蛮なのもいるけどな。なんらかの理由は持ってるぞ」

 何も意味なく殺しを行う生物はいない。快楽や、怒りという醜い理由はあれど、理由のない殺しというのは存在しない。

 殺しには必ず意味が存在するのだ。

 400年前の魔物にも、厳密には殺していた理由が存在する。悪魔王の狂気が感染していたという理由が。

「あ、着いたっぽいな」

『以外と短かったですね。さあ、早く私を治して下さい』

「短いのはお前の刀身だろ。あと、村の中ではあまり喋るなよ?俺は目立つのは嫌いだ」

『誰がナイフ以下ですって!?あんまりです!抗議します!!』

「せんでいい、せんで良い!!直してやるからさっさと黙れ!行くぞ!!」

 見えてきた農村に向かって歩いていく。メアも、理解力はあるようで、村を守る柵が見えてきた瞬間、ピタリと喋るのをやめた。

 やめたらやめたで、静かになってしまいなんだか寂しい・・・というのは口が裂けても言えない。

 休みを数回挟んでここまで来たが、足には疲労が溜まっており、走れと言われたら走れない状態だ。森の道がこんなにも険しいだなんて思っていなかった。

「足の筋肉、つけないとな・・・」

 槌を振るう腕の筋肉だけでなく、足も鍛えなければ・・・。

「・・・ん?なんか壊れてない?」

 村を魔物から守る柵が一部いや、だいぶ破壊されている。柵だけじゃない。畑は荒らされ、家は半壊。あちこちに、血が飛び散っている。

 歩いている農民の顔にも、笑顔が消えて、絶望の表情を浮かべている。

 足音で気づいたのか、腰の曲がった老人が、トボトボと近づいてきた。

「アンタ・・・もしかして、冒険者か?戦いに慣れた、熟練の戦士かい?」

「悪いな、鍛治職人だ・・・おい、あからさまに落胆するな。話くらいは聞いてやるから」

 話は聞くが、オチはなんとなく読めている。恐らく、ここに来る前に遭遇しただろう。
しおりを挟む
1 / 4

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

モンタくんのバナナ

絵本 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

君のためなら命を捨てても

SF / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:1

願いの物語シリーズ【天使ましろ】

キャラ文芸 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:1

転移したけど原作ルートから弾かれました

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:1

Toy Soldier

青春 / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:1

初めまして、一般女性。結婚してください!

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:113

処理中です...