いらないスキル買い取ります!スキル「買取」で異世界最強!

町島航太

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五章 魔獣人の根源

128話 仮称:オイルスライム

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 オイルの匂いのするスライム。正式名称が分からないので仮称でオイルスライムと名付けることにする。

 ただ、仮称であるためスライムではないと思う。スライムは水滴のように丸い形をしており、真ん中に全ての臓器が詰まっている核があるのに対して、オイルスライムはスライムの特徴に一つも当てはまらない。

「そもそもコイツらは魔物なのか?トラコ、何か知ってるか?」

「知らない知らない知らない知らない・・・」

 駄目だ。仲間と自分を傷つけられたトラウマにとらわれてしまっている。頼りにはできないみたいだ。

「とりあえず・・・炎魔法『フレイム』!」

 オイルと言ったらこれだろという魔法を放ち、引火する。確かにオイルスライムは炎に包まれたものの、一向に量が減る気配がない上に暴れ回っているせいで寧ろ危ない。こちらに萌えている体の破片が飛んでくる。

「あぶなっ!氷魔法!!」

 氷の魔法で周囲360度に氷の壁を作り、オイルスライムから自分とトラコを守る。すると、オイルスライム達は氷の壁を貫くべく体を細く鋭くし始めた。思い出される2人の魔獣人の遺体。2人に空いていた穴は、どちらも同じサイズで今、目の前にいるオイルスライムも同じくらいの細さになっている。

 骨や肉を無視して貫ける力に俺の薄い氷の壁が勝てるわけがない。

「スキル解放『緊急脱出』!!」

 生命の危機を感じ取った時に発動できるスキル。発動すると安全な位置までワープする事ができる。スキル『緊急脱出』はオイルスライムから100m離れた場所が安全だと判断したみたいだ。

 とても便利なスキルだが、連発は不可能で次の使用には1時間待たなければならない。しかも完全に視界から消え去ったわけではないので、オイルスライムはすぐに俺を見つけると合体して俺よりも背丈の高いエイリアンのような姿に変貌した。

 マズイ・・・俺の力じゃ倒せないな。何か弱点を探さなければ。炎は駄目だったし、氷も俺レベルだと凍らせる事は不可能だ。そもそも魔法全般クオリティが低すぎて魔法で解決できない。

 ゴミスキルを譲渡するか?いやそもそもスキルを譲渡できるのか?仮に譲渡できるとしてもどうやって触れるんだ?触れた瞬間に殺される。

 そういえばこんなに量があり、分裂や合体が自由なのにどうして俺とジュリエットは襲われなかったのだろうか。俺達とトラコ達の違い。たった1つの違いで俺達は襲われなかったに違いない。

 俺は遺跡探索をする時に何をした?松明がないので明かりをつけた。病原菌等が怖くて『聖女の光』で、光の魔法に浄化属性を付与した。

 そして今の俺は『聖女の光』を使用していない。

「これだ!!スキル解放『聖女の光』!!」

 辺りを照らす光魔法に浄化属性が付与される。エイリアンの姿を取っていたオイルスライムの形がどんどん崩れていく。あちこちから蒸気が上がっており、みるみるうちに小さくなっていく。

「ピィィィィィィィ!!」

 人を意図も簡単に刺し殺せる存在とは思えない位可愛い悲鳴を上げながら浄化属性の光が当たらない更に奥へと逃げてしまった。
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