いらないスキル買い取ります!スキル「買取」で異世界最強!

町島航太

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五章 魔獣人の根源

114話 心通わせ合う

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 ムサシは将軍という事もあってか地下牢でもかなり厳重な場所で監禁されているらしい。まず、ムサシの所へ行くと看守に言った所、目隠しをされた状態で地下へと降りて誘導された。

 何回か右折や左折、階段降りを繰り返すと、目隠しを外される。

「申し訳ございませんテツロウ殿。この独房は一部の看守にしか行き方を明かされていない独房ですので移動中は目隠しをさせていただきました」

「脱獄されても地下で迷わせるために?」

「そういう事です」

「成程ね・・・そして、この鉄の箱の中にムサシがいると」

「はい。こちらを渡しておきます」

 紫色の結晶を手渡される。魔法で何か細工をしているみたいだ。

「この結晶に魔力を注ぎ込みますと、ムサシに電撃が流れるようになっています。襲い掛かって着そうな場合はお使い下さい」

 制御装置のようなものか。拘束されているとは言え、一騎当千が出来るくらいには強い魔獣人の将軍なのだからこのくらいの処置は当たり前か。

「所で、お手に持っているのは食事でよろしいでしょうか?イリス様に自由にさせろと言われたので何も文句はありませんが、一体何が目的なんですか?」

「ん?そりゃあ勿論仲良くなるためですよ」

「な、成程・・・よく分かりませんがお気をつけて」

 看守長に無事を祈られながら独房に入る。当たり前だがムサシはいた。ど真ん中で座禅を組み、黙想していた。

「どうも。こうやって姿をはっきりさせて会うのは初めてだね」

「・・・・・・」

「ああ、ごめん。猿轡すぐに外すよ。けど、自害とかしないでね。めっちゃ困るから」

 猿轡を外してすぐに離れる。噛まれそうで怖かったから。

「スキル商人だな。部下から聞いていたが、本当に我々の言語を使うのだな」

「俺の母国語さ。それがたまたまアンタ達の言語と同じだったわけ」

「どうやら俺達は見た目は違うが文化はだいぶ似ているらしい。その味噌汁と白米もな」

「・・・昆布出汁だけど食べる?」

「ありがたくいただこう」

 器用に箸を使い食べ始める。

「味噌と言い、白米と言い、箸と言いどうやって手に入れた?」

「アンタの部下が潜伏してた場所に置いてあったのを拝借した。俺も後でありがたくいただくよ」

「・・・美味いな。この世界に来る前は定食屋でも開いてたのか?」

「いや、学生。金が無かったからしょっちゅう自炊してた」

「そうか・・・」

「・・・・・・」

 2人の間に沈黙が流れる。ムサシはバカではない。俺が何の理由もなく訪ねてくるとは到底思っていない。情報を聞き出すためにやってきたと勘づいているだろう。

「スキル商人、お前に聞きたい事がある。お前、この戦争を終わらせる自信があるか?」

「・・・これから手に入る情報によっては平和的に終わらせる事が出来るかもしれない。アンタらのルーツさえ知る事が出来れば」

「ルーツ?そんなの知るわけないだろ。刀一筋に生きて来た男が」

「・・・もしかしたら教養のある将軍かもと思ったから」

「無い無い!ひたすら斬り続けてきた人生だ。歴史なんて調べるわけないだろ」

 なんという肩透かし。また手がかり無しで探さないといけないのか。

「歴史を調べている方は知ってるけどな」

 ・・・というわけではなさそうで助かった。

「魔獣王の一人娘、つまりパンジグの王女は歴史学者でな。今はパンジグとコンパスを隔てる所有者のいない土地で遺跡を探しているんだとよ」

「いいのか?そんな事教えて」

「・・・いや、全然ダメ。王女の情報を漏らしてるんだからな。だけど、お前なら王女に酷い目は合わせないだろ?お前を信用しての情報提供だ。飯、美味かったぜ」

「お粗末様でした」

 茶碗には米一粒も残っていなかった。
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