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最終章 この世に善悪など無い
123話 オルタの疑念
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トキの体から瘴気を除去し、適当なふかふかのベッドで寝かせた後、体力をある程度取り戻した浄化の女神様の説明が始まった。
実は100年以上前から瘴気が発生し始めた事。今まで抑えつけていたが、ついには抑えきれなくなってしまった事。年月を重ねるごとに瘴気の勢いが凄まじい物になっているという事。
浄化の女神様が戻ってきてくれた事に関してはとても喜ばしい。他の皆も恐らくそういう感情なのだろうが、それを表に出す者は1人もいなかった。女神様の復活に対しての喜びを、ガルの喪失が打ち消してしまっているからだ。
「本の爺さん、トキはガルに眠らされてたんだよな?」
「あの時は確実に邪魔しようとしておったからの。邪魔されない為に眠らされたというわけじゃ」
「成程な。となるとトキは確実に暴れ出すな・・・今のうち警戒はしておこうか」
「そうじゃな。それにしても、ガルが浄化の女神の代わりとなって塞いだら瘴気が嘘のように消えたの」
「・・・・・・その事なんだけどさ、実は俺引っかかる所があるんだ」
「ん?なんじゃ?」
「女神様曰く、100年以上前から瘴気が発生していたんだよな?」
「そうじゃな」
「んでもって、ガルがこの世に生まれてウル神父の手によって育てられ始めたのが15年前だよな?」
「ここまではわしでも知っておる情報じゃが、ここから何か読み取れる事でもあったのか?」
「これは本当に憶測に過ぎないし、誰かに聞かれたら咎められるかもしれないから言わないでほしい」
部屋にはオルタとフレディ以外はいない。窓もドアも完全に締まり切った密室である。聞き耳を立てられていない限り問題はないだろう。
「もしかしてガルは、元から浄化の女神様の身代わりになる為に作られた存在じゃないのか?」
「・・・オルタよ。わしの口が堅くて良かったの。それは確かに他人の前では言うべきではない。しかし・・・あり得るの。瘴気に関しては浄化の女神も手を焼いておった。しかし、ガルはそんな瘴気を全身に浴びておってもへっちゃらのような表情をしておった。そうでない事を願うばかりじゃ・・・とにかくこれはわしとお主だけとの秘密じゃ。誰にも言うでないぞ」
「分かってるさ。これからの戦いの士気にかかわるだろうしな」
「その通りじゃ。瘴族の三幹部を2人倒し、残りは1人。知将バックスとの最終決戦じゃ。決して気を抜く出ないぞ」
窓から外をのぞくと、南の方向からとてつもない量の瘴気が押し寄せてきていた。
実は100年以上前から瘴気が発生し始めた事。今まで抑えつけていたが、ついには抑えきれなくなってしまった事。年月を重ねるごとに瘴気の勢いが凄まじい物になっているという事。
浄化の女神様が戻ってきてくれた事に関してはとても喜ばしい。他の皆も恐らくそういう感情なのだろうが、それを表に出す者は1人もいなかった。女神様の復活に対しての喜びを、ガルの喪失が打ち消してしまっているからだ。
「本の爺さん、トキはガルに眠らされてたんだよな?」
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「ん?なんじゃ?」
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「そうじゃな」
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「これは本当に憶測に過ぎないし、誰かに聞かれたら咎められるかもしれないから言わないでほしい」
部屋にはオルタとフレディ以外はいない。窓もドアも完全に締まり切った密室である。聞き耳を立てられていない限り問題はないだろう。
「もしかしてガルは、元から浄化の女神様の身代わりになる為に作られた存在じゃないのか?」
「・・・オルタよ。わしの口が堅くて良かったの。それは確かに他人の前では言うべきではない。しかし・・・あり得るの。瘴気に関しては浄化の女神も手を焼いておった。しかし、ガルはそんな瘴気を全身に浴びておってもへっちゃらのような表情をしておった。そうでない事を願うばかりじゃ・・・とにかくこれはわしとお主だけとの秘密じゃ。誰にも言うでないぞ」
「分かってるさ。これからの戦いの士気にかかわるだろうしな」
「その通りじゃ。瘴族の三幹部を2人倒し、残りは1人。知将バックスとの最終決戦じゃ。決して気を抜く出ないぞ」
窓から外をのぞくと、南の方向からとてつもない量の瘴気が押し寄せてきていた。
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