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五章 親の代わり
121話 バイバイ
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「ガ、ガル・・・?何を言っているの?そんなの駄目だよ!そんな事したらガルでも死んじゃうよ!!」
「これは多分なんだけど、死なないと思うんだ。君は瘴気に侵されてしまっているけれども、僕は全くと言ってお活かされていない。最初は不安だったけど、僕はどんな濃さでも対応できるみたいなんだ」
どんなに濃い瘴気でもとうとうガルの体と魂は瘴気に侵される事は無かった。ガルに瘴気の濃度や量など関係なかったのだ。彼は瘴気がある環境でも普段と変わらない生活を送る事が出来る。
ならば、浄化の女神の身代わりになっても大丈夫なのではないか?という考えに至ったのだ。しかしながら、人柱のような行為をトキは完全に拒否してしまう。フレディもガルの行動を宥めた。
「ガルよ、母を助けたいのは分かる。しかし、その行為は皆を悲しませる事になるぞい」
「ノーリスクハイリターンなんてこの世には存在しません。リターンを求めるには大小はありますが、リスクを負う事になります。僕は皆を悲しませる代わりに、女神様を救います」
「何という覚悟の決まりようじゃ・・・目が据わっておる。たった数秒で人間というのはこんなにも覚悟ができるんじゃな」
「それに、このまま放置して地上に戻ったとしても女神様が死んでしまえば、浄化の眷属から浄化の奇跡は消え失せ、浄化の眷属は悲しみに明け暮れ、ゴッズステイは瘴族と魔物への対抗手段を失ってしまいます」
「確かにの・・・一理ある」
「フレディさん!納得してないでガルを説得してください!」
「ですが、それをたった僕1人で防ぐ事が出来る。ローリスクハイリターンなんです」
「お主・・・自分の価値を少し過小評価しすぎじゃぞ?」
「いいえ、そんな事はありません。自分でも自分の能力の希少性については深く理解を示しているつもりです。ですが、それでもリスクは少ないと僕は思うんです」
ガルの意思は固かった。まるでドワーフが鍛えたミスリル銀製の剣よりも硬かった。
「フレディさん、トキの体から魔力を無理矢理抽出して地上へと転移する事は可能ですか?」
「ガル!?やめて!わたし絶対に行かないから!ガルがここで人柱になるっていうんならわたしはここで死・・・ぬ・・・」
言葉を言いかける前にガルの手の平がトキに向く。
「この者に安らかなる夢をみせたまえ『スリープ』」
ガルが放ったのは睡眠魔術。ここまでの疲労が溜まっていたトキは気絶するように寝落ちてしまった。
「それじゃあ、フレディさん。トキと女神様をよろしくお願いします」
「分かった・・・楽しかったぞ、お主との旅」
「はい!僕もです!」
笑顔で返答し、ガルは浄化の女神を壁から剥がす。空いた穴を埋めるようにガルは代わりに壁に体を捕えさせた。
「これは多分なんだけど、死なないと思うんだ。君は瘴気に侵されてしまっているけれども、僕は全くと言ってお活かされていない。最初は不安だったけど、僕はどんな濃さでも対応できるみたいなんだ」
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ならば、浄化の女神の身代わりになっても大丈夫なのではないか?という考えに至ったのだ。しかしながら、人柱のような行為をトキは完全に拒否してしまう。フレディもガルの行動を宥めた。
「ガルよ、母を助けたいのは分かる。しかし、その行為は皆を悲しませる事になるぞい」
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「いいえ、そんな事はありません。自分でも自分の能力の希少性については深く理解を示しているつもりです。ですが、それでもリスクは少ないと僕は思うんです」
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「ガル!?やめて!わたし絶対に行かないから!ガルがここで人柱になるっていうんならわたしはここで死・・・ぬ・・・」
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「分かった・・・楽しかったぞ、お主との旅」
「はい!僕もです!」
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