記憶喪失の異世界転生者を拾いました

町島航太

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五章 親の代わり

118話 騎士の証

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「う~む・・・いい勝負だった。じゃが、何だかモヤモヤするのぅ。なあ、ガルよ。そこの騎士はお主と正々堂々の勝負を望んでおったように感じたのじゃが・・・」

「ええ、多分そうでしょうね。ですが、僕に必要なのは勝ちだけです。正々堂々にこだわって死んだらここまできた意味がない」

「まあ、そうなのじゃが・・・未練たらたらであの世に行くことになりそうじゃな」

 骸骨騎士は思った以上に騎士道を慮っていた。その心をガルは利用したのだ。

「さてと・・・」

「ガル?何やってるの?」

「更には金品を盗もうと言うのか。長旅で心が汚れてしまったのかのう?」

「違いますよ。僕はただ確認したいだけです・・・あっ、あった」

 既にただの骸骨となった骸骨騎士から取り出したのは銀製のペンダントだった。

「このペンダントは・・・まさか、浄化の騎士団の証か!?」

「その通り。流石はフレディさん。かなり古びていますが、浄化の騎士団の証のペンダントですね。僕が持っているのと同じだ」

 胸から取り出したペンダントと照らし合わせる。やはり同じペンダントだ。そして、裏には作られた年号が書かれているはず。確認してみると、骸骨騎士の持っていたペンダントは170年前に作られた物だった。

「170年前。浄化の神殿ができてから20年後の騎士団・・・どうしてこんなところにいるんだ?」

 190年前の騎士ならまだ納得がいく。浄化の女神様と共に瘴気を封印するために一緒に洞窟を作り、中で息絶えたと推測ができる。

 しかし、それからさらに20年が経過した170年前の騎士がここにいるのはおかしくはないか?

「たまたま浄化のダンジョンを見つけて潜ってみたけど、その途中でで入り口を塞がれてしまった?考えられる可能性はそれくらいしか無いな・・・」

「ふむ・・・それが1番あり得るのぅ。しかし、どうしてこやつが浄化の騎士だと分かったんじゃ?」

「僕と同じ戦い方だったんですよ。この戦法は浄化の騎士団に代々伝わる戦法の1つなんです。他の神の騎士団では無い独自の要素もあるのですぐに分かりました」

「なるほどの。とにかく、安らかに眠る事を祈るとしよう」

 既に魂は天へと昇っていっているが、ガル達は骸骨騎士だった遺骨に祈りを捧げた後に奥へと進んでいった。

 その道を阻む元人間の魔物は多数おり、その全てが浄化の眷属だった。元騎士だった者も数人いたが、ペンダントの製造年号は全員違った。

 そして、奥に行けば行くほど、年号は現在に近くなっていった。
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