記憶喪失の異世界転生者を拾いました

町島航太

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五章 親の代わり

116話 同じ武器、同じ構え

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「1番奥に着いたのかな?」

「いや、まだ先がある。ここは多分中間地点なんじゃないかな?」

 幸いにも辿り着いた場所の瘴気はあまり濃くない上に少ない。ここなら落ち着いて休めそうだ。

「それにしてもあの魔物達は一体何処から入ってきたんじゃ?」

「さあ?もしかしたら、このダンジョンは浄化の神殿だけじゃなくて、他の場所にもつながっているのかもしれませんよ。天然の洞窟ですし」

「ほう、お主はこのダンジョンを天然の洞窟と見たか。わしは少し違うの」

「人工的に作られた洞窟なんですか?ここは」

「恐らくな。お主、走っておったのに躓かなかった事に違和感を覚えなかったか?お主は今まで何度も天然の洞窟に入っておろう?足場はどうじゃった?」

「デコボコしててよく転んでましたね。でも、浄化のダンジョンの足元はあんまりデコボコがない。すごい綺麗だ・・・」

「わしが思うに、この洞窟は封印のために作られた人工の洞窟だと思うのじゃよ。それに今まで分かれ道などはなかったじゃろう?」

「つまり人工洞窟を作った後に、神殿を作ったと?洞窟の上に神殿を作ったのではなく」

「そうなんじゃないかの?わしは制作に関わっておらんのでわからん。ただ1つ言えるのが、人工的に作ったのなら、他の抜け道を作るはずがないという事じゃ」

「しかもこの洞窟は瘴気を封印するために作られている。他の場所から漏れ出す可能性は潰すはずだ。とするなら、ここまで蹴散らしてきた人間魔物達は一体何処から?」

「ガ、ガル・・・あっち見て。誰か来るよ?」

 今から僕達が向かおうとしている方向から人影が現れる。洞窟の暗闇で良くは見えないが人型だと言うのがわかる。そして、鎧や剣や盾で武装していることも分かる。

 ただ、。恐らくは未練残しゾンビか、骸骨騎士スケルトンナイト。どちらにせよ面倒な敵という事には変わりない。

 ウル神父から譲ってもらった剣を抜き、タワーシールドを構えて待ち構える。数秒後、僕達の目の前に姿を現したのは骸骨騎士スケルトンナイトだった。

 そして偶然なのか、僕と同じ装備をしている。タワーシールドを構えたタンクタイプの戦士だ。

 だが、そんな事はどうでも良い。いや、どうでも良くなってしまう事が目の前で起きていた。僕を敵視し、戦闘態勢に入った骸骨騎士スケルトンナイトの構えが僕の構え方とそっくりなのだ。

 かの構え方は浄化の騎士に伝わる基本の構え方。つまり、目の前にいるのは・・・。

「浄化の騎士なのか・・・」

 何故、このダンジョンに魔物がいるのか、何となく分かった瞬間である。
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