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五章 親の代わり
115話 動く肉塊
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「ガル、急ぎすぎだよ。そんなに焦って走ったら転んじゃうよ?」
「転ぶ程度問題はない!そんなことよりも女神様を助けなきゃ・・・!!」
「魔物がいたらどうするの?」
「いても地中生物の魔物だ。今の僕からしたら大した敵じゃない!!」
魔物がいたとしてもモグラの魔物だろう。大して危機感を持つような相手ではない。そう思いながら走っていると、足に深いな触感を感じ取った。
粘土よりも少し粘度の低い何か・・・そう、肉を踏んだような感覚だ。しかも、その踏んだ何かは僕の足裏でぐにょぐにょと蠢いている。
恐る恐る足元を見てみると、左足は動く腐肉を踏んでしまっていた。
「な、何で腐肉がこんなところに!?」
人間の死体が魔物化した未練残しが長年の活動により体が完全に腐り切ってしまい、人間としての形を保つことができなくなった姿。
腐っているので当然悪臭は漂っているし、人間時代の髪の毛や骨が残っていてとてつもない不快感を感じる。気味が悪いからではない。自分もああなってしまう可能性があると考えると悪寒が走るだけだ。
実を言うと腐肉を見たのは初めてだ。なんて言ったって条件が厳しい。まず、人間の死体が魔物化し未練残しに変身。そこから完全に腐って腐肉となるには10年は必要と言われるからだ。
魔物は瘴気が発生している時期にしか現れない。なので、腐肉は瘴気が長期間地上に止まった時にしか見ることができないのだ。
最後に発見されたのは第二次瘴気騒動の時で、第三次は発見されていない。瘴族との戦いが終わったのちに浄化の眷属達はゴッズステイ中の瘴気と魔物退治にあたった為、第四次まで地上に魔物が現れなかった。
今踏んだ腐肉は、地下に逃げ込んだ結果運良く退治されずに済んだのだろう。何と運がいい奴なんだろうか。
「ガル、他にもいっぱいいるよ」
「え?・・・ほ、本当だ何でこんなにいるんだ?」
腐肉は僕が踏んだ一体だけではなく、今から向かおうとしていた道に大量にいた。
腐肉だけではない、未練残しと骸骨騎士までいる。こんな魔物が蔓延るダンジョンの上に浄化の神殿が建っていると考えると寒気がする。神像で隠していたのはそれが理由の一つなのかもしれない。
彼らも元は人間だ。それも、望まぬ形で動かされている可哀想な人達だ。だからと言って油断は一切しないけど・・・!!
「邪魔だ、死に損ない!僕の行手を阻むんじゃない!!」
切り殺し、魔術で殺しながら奥へと進んでいく。薙ぎ倒しながら進んでいくと、急に開けた場所へと辿り着いた。
「転ぶ程度問題はない!そんなことよりも女神様を助けなきゃ・・・!!」
「魔物がいたらどうするの?」
「いても地中生物の魔物だ。今の僕からしたら大した敵じゃない!!」
魔物がいたとしてもモグラの魔物だろう。大して危機感を持つような相手ではない。そう思いながら走っていると、足に深いな触感を感じ取った。
粘土よりも少し粘度の低い何か・・・そう、肉を踏んだような感覚だ。しかも、その踏んだ何かは僕の足裏でぐにょぐにょと蠢いている。
恐る恐る足元を見てみると、左足は動く腐肉を踏んでしまっていた。
「な、何で腐肉がこんなところに!?」
人間の死体が魔物化した未練残しが長年の活動により体が完全に腐り切ってしまい、人間としての形を保つことができなくなった姿。
腐っているので当然悪臭は漂っているし、人間時代の髪の毛や骨が残っていてとてつもない不快感を感じる。気味が悪いからではない。自分もああなってしまう可能性があると考えると悪寒が走るだけだ。
実を言うと腐肉を見たのは初めてだ。なんて言ったって条件が厳しい。まず、人間の死体が魔物化し未練残しに変身。そこから完全に腐って腐肉となるには10年は必要と言われるからだ。
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今踏んだ腐肉は、地下に逃げ込んだ結果運良く退治されずに済んだのだろう。何と運がいい奴なんだろうか。
「ガル、他にもいっぱいいるよ」
「え?・・・ほ、本当だ何でこんなにいるんだ?」
腐肉は僕が踏んだ一体だけではなく、今から向かおうとしていた道に大量にいた。
腐肉だけではない、未練残しと骸骨騎士までいる。こんな魔物が蔓延るダンジョンの上に浄化の神殿が建っていると考えると寒気がする。神像で隠していたのはそれが理由の一つなのかもしれない。
彼らも元は人間だ。それも、望まぬ形で動かされている可哀想な人達だ。だからと言って油断は一切しないけど・・・!!
「邪魔だ、死に損ない!僕の行手を阻むんじゃない!!」
切り殺し、魔術で殺しながら奥へと進んでいく。薙ぎ倒しながら進んでいくと、急に開けた場所へと辿り着いた。
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