記憶喪失の異世界転生者を拾いました

町島航太

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四章 正義とは?

105話 決闘

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 宴が終わり、片づけをしているとなんだか外がうるさくなってきた。まだ飲んでいるのだろうか?そう思い耳を傾けてみると聴こえてきたのは悲鳴だった。

「だ、誰か助けてくれぇぇぇぇ」「瘴族だ!瘴族が夜襲をしかけてきたぞぉぉぉぉ!!」

 悲鳴と共に僕の体は反射的に外へと向かっていた。行く道中に見つけたリリィ姉さんの剣とタワーシールドを装備し、神殿の外に出ると、巨女が先輩の首を締めあげていた。

「ふふ・・・呼吸するのに必死で奇跡すら使えないみたいだね。このまま永遠に眠らせてあげようかっ!!」

「が・・・ああぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「止めろ!!その人を離すんだ!!」

「ん?おやおや!随分とお早い登場だね!浄化の女神の子!!」

「だから何なんだその呼び方は・・・とにかくその人を解放しろ!!」

「解放したらどうしてくれる?」

「アンタは何を望む?」

「ほ~そう来たか。アンタそれなりに賢いみたいだね。なんでもするじゃなくてアタシの要望を聞きに来たか!そうだねアタシの望みは・・・アンタとの決闘だよ!」

「僕の命じゃなくてか?」

「その命を奪う為の決闘さ!アンタだって命をくれと言われたら抵抗するだろう?」

「ああ、する。そんな事言われた事は無いけど、きっとすると思う」

「だろう?だから、いっその事最初から決闘を望めば手間が省けるだろう?」

「確かに。それじゃあ、やるか」

「おっと待った!アンタまだ準備できてないじゃないか!それに周りは暗いし、やりづらいだろう?ちゃんと準備をしてから殺し合おうじゃないか」

「敵に対して随分と優しいんだな」

「アンタの目つきに経緯を評してだよ。アンタ、随分と目つきが変わったじゃないか。前まではアタシ達を完全に悪として見てたけど今は違う。アタシ達をただの敵対者として見ている。その事が嬉しくてたまらないのさ」

「そっちの戦鎚使いに色々と諭されたからね」

「ああ、アイツか。最後にいい仕事をしてくれたね。それじゃあ、準備してきな」

「・・・それまで誰にも手を出すなよ?」

「分かってるよ。早くしておいで」

 神殿に戻り、騒ぎを聞きつけて出入口前まで来ていたトキ達に説明をして、松明を立ててもらう。その間に鎧を装着し、戦いの準備を整えて再び外へと向かうと神殿の目の前には簡易的なリングが出来ており、リングの真ん中には巨女が立っていた。

「案外早い準備だったね。さあ、死ぬ準備は出来ているかい?」

「そっちこそ、地下に帰る支度はできたの?」

「言うねぇ・・・このガキ。アタシの名前はシェルターメン!よく覚えておきな!」

 何処からか、戦いの合図が鳴り響いた。
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