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四章 正義とは?
100話 フラッシュバック
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浄化の神殿に近づくにつれて、瘴気が濃さを増していく。木々に隠れていた魔物達も次々と襲い掛かってきたが、一体一体を倒している暇なんてないので、すれすれで避けて浄化の神殿へと急ぐ。
浄化の神殿まで距離にして残り1キロの範囲まで到達すると、悲鳴や雄叫びなど普通ではない声が聴こえてきた。声帯自体は人間と変わらないので瘴族のものなのか浄化の神殿付近に住んでいる人達なのかも分からない。
森を抜け、しばらく走っていると浄化の神殿が見えてきた。周辺からは煙や炎が立ち上がっており、金属がぶつかり合う音が曲を奏でるかのように鳴り響いている。
「見えた!!」
浄化の神殿の前で浄化の騎士団の皆が瘴族と魔物達と激しい戦いを繰り広げていた。
「我が主よ!穢れと戦う我を讃えたまえーーーー!!」
「誰が穢れだ!!お前らが勝手にそう決めつけただけだろうがぁぁぁぁ!!」
飛び交うのは血と罵倒。瘴族と人間の四肢。しかし、浄化の神殿付近には現在常人ならば致死量の瘴気が蔓延している。人間にとっては死のエリアだろうが、瘴族からしたら最高の環境だ。実際に今しがた腕を斬り飛ばされた瘴族の腕が再生を始めている。浄化の奇跡のお陰で再生阻害が起きているみたいだが、ほとんど誤差のようなものだ。
「瘴気に選ばれなかった人間ごときが・・・俺達に勝てるとでも思ったか!」
「ひいぃぃぃぃ!だ、誰か助け────」
騎士の首が刎ねられ宙を舞う。僕の足元まで転がって来ると、偶然にも目と目が合ってしまった。先輩だった。新人の僕に基礎を叩き込んでくれた先輩だった。
先輩はただの人間だ。首を刎ねられたらもう生き返る事は出来ない。
この時、ガルの脳裏にフラッシュバックしたのは約3ヶ月前の光景。自分の手で血の繋がらない姉であるリリィを殺した記憶。
直近で一番最悪な記憶が表面に出てきた瞬間、ガルの目からは大粒の涙があふれだす。全身から白い光があふれだす。
「うわあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ガルの絶望の悲鳴と共に、漏れ出していた白い光は解放された。それはまるで爆発のような浄化の光だった。
周辺の物を吹き飛ばす勢いの浄化の光は半径20m以内にいた瘴族10人を瞬殺。半径1キロ以内に蔓延していた瘴気は浄化され、一気に人間側が有利な環境と化した。
「ガル!?ガルなのか?」
「いや、偽物かも・・・?」
「馬鹿野郎!あんな浄化の力を使える奴が偽物なわけあるか!おぉい、皆ぁ!ガルが帰ってきたぞぉぉぉ!!」
同時にガルの帰還が皆に周知され、下降気味だった士気が右肩上がりに上がっていくのだった。
浄化の神殿まで距離にして残り1キロの範囲まで到達すると、悲鳴や雄叫びなど普通ではない声が聴こえてきた。声帯自体は人間と変わらないので瘴族のものなのか浄化の神殿付近に住んでいる人達なのかも分からない。
森を抜け、しばらく走っていると浄化の神殿が見えてきた。周辺からは煙や炎が立ち上がっており、金属がぶつかり合う音が曲を奏でるかのように鳴り響いている。
「見えた!!」
浄化の神殿の前で浄化の騎士団の皆が瘴族と魔物達と激しい戦いを繰り広げていた。
「我が主よ!穢れと戦う我を讃えたまえーーーー!!」
「誰が穢れだ!!お前らが勝手にそう決めつけただけだろうがぁぁぁぁ!!」
飛び交うのは血と罵倒。瘴族と人間の四肢。しかし、浄化の神殿付近には現在常人ならば致死量の瘴気が蔓延している。人間にとっては死のエリアだろうが、瘴族からしたら最高の環境だ。実際に今しがた腕を斬り飛ばされた瘴族の腕が再生を始めている。浄化の奇跡のお陰で再生阻害が起きているみたいだが、ほとんど誤差のようなものだ。
「瘴気に選ばれなかった人間ごときが・・・俺達に勝てるとでも思ったか!」
「ひいぃぃぃぃ!だ、誰か助け────」
騎士の首が刎ねられ宙を舞う。僕の足元まで転がって来ると、偶然にも目と目が合ってしまった。先輩だった。新人の僕に基礎を叩き込んでくれた先輩だった。
先輩はただの人間だ。首を刎ねられたらもう生き返る事は出来ない。
この時、ガルの脳裏にフラッシュバックしたのは約3ヶ月前の光景。自分の手で血の繋がらない姉であるリリィを殺した記憶。
直近で一番最悪な記憶が表面に出てきた瞬間、ガルの目からは大粒の涙があふれだす。全身から白い光があふれだす。
「うわあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ガルの絶望の悲鳴と共に、漏れ出していた白い光は解放された。それはまるで爆発のような浄化の光だった。
周辺の物を吹き飛ばす勢いの浄化の光は半径20m以内にいた瘴族10人を瞬殺。半径1キロ以内に蔓延していた瘴気は浄化され、一気に人間側が有利な環境と化した。
「ガル!?ガルなのか?」
「いや、偽物かも・・・?」
「馬鹿野郎!あんな浄化の力を使える奴が偽物なわけあるか!おぉい、皆ぁ!ガルが帰ってきたぞぉぉぉ!!」
同時にガルの帰還が皆に周知され、下降気味だった士気が右肩上がりに上がっていくのだった。
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