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三章 魔術師達の図書館
89話 急げ
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「クソ!まさか一瞬で瘴気に慣れるだなんて」
「悔しかったらここまでおいでーだ!」
周囲には瘴気が蔓延しているが、幸いにもクレオジタスがどれなのかは濃さでわかる。まるで魂のようにふわふわと浮いている。
避けられたのはとても悔しいが、瘴気の状態になっているのはこちらとしても好都合だ。なぜなら──────
「このまま浄化してやる・・・!!」
人型を保っている時とは違って、今の状態は防御力はゼロに近いはず。そんな状態で浄化の奇跡を使ったらどうなるだろうか?僕は情けなく浄化されると予想している。
「ふっ・・・そんなに簡単に瘴族を倒せるとでも思ったかなぁ~っと!」
散々煽った挙句、クレオジタスは床を通り抜けてその場から脱出した。そうか、瘴気の状態だから簡単にすり抜けられるのか!考えがあまりにも浅かった・・・!
「また見失っちゃった・・・!」
「まだ見失っただけだろ?追えばまだ間に合うはずだ」
「ガル、さっきの人この図書館から出てない。ずっと真下におりて言ってる。多分だけど、中庭の方に行こうしているんだと思う」
「中庭・・・そうか!瘴気でパワーアップしようって算段か!そうはさせない・・・!!」
「とは言っても、あっちは壁や床をすり抜ける事が出来る。物理的に不可能な俺達じゃあ、間に合わんな」
「・・・ふむ。話はここまで黙ってたのでしっかりと聞かせてもらったぞ。おぬしらは中庭まで戻りたいそうじゃな」
「寝てるわけじゃなかったんだな」
「この体になったお陰か全然眠くならんのじゃよ。それよりも、わしなら中庭に一瞬で移動できるぞ」
「本の爺さん!それってまさか転移の魔術なんじゃないのか?あの古代の魔術の!」
「いかにも。お主も無知というわけではなさそうじゃな。ここまで研究結果が色々と大惨事となってはいたが、ようやっとお主らの助けになれそうじゃ・・・と言いたい所じゃが、この本には魔力は籠っておらん。魂にも魔力はいくらか通ってはいるものの、転移の魔術を使うには全然足りん」
明らかに使えなさそうな雰囲気を醸し出しているが、本当に使えなかったとしたらそもそも提案なんてしないだろう。
「というわけでトキよ、わしに魔力を貸してはもらえんか?」
「えっと、本に魔力を注げば良いんですかね?」
「そうじゃ。けど、ゆっくりな・・・うおぉぉぉぉ!魔力が!魔力が注入されていくのが分かる!では皆の者!行くぞ!!なるべくわしに近づくんじゃ!」
言われた通りにトキの周りに集合すると、体が青い光の粒子に包まれた。
「我らに導きを与えたまえ!!『テレポート』!!」
青白い光が強くなり、思わず目を瞑る。光が弱くなった事を確認し、目を開けるとそこは中庭だった。
「悔しかったらここまでおいでーだ!」
周囲には瘴気が蔓延しているが、幸いにもクレオジタスがどれなのかは濃さでわかる。まるで魂のようにふわふわと浮いている。
避けられたのはとても悔しいが、瘴気の状態になっているのはこちらとしても好都合だ。なぜなら──────
「このまま浄化してやる・・・!!」
人型を保っている時とは違って、今の状態は防御力はゼロに近いはず。そんな状態で浄化の奇跡を使ったらどうなるだろうか?僕は情けなく浄化されると予想している。
「ふっ・・・そんなに簡単に瘴族を倒せるとでも思ったかなぁ~っと!」
散々煽った挙句、クレオジタスは床を通り抜けてその場から脱出した。そうか、瘴気の状態だから簡単にすり抜けられるのか!考えがあまりにも浅かった・・・!
「また見失っちゃった・・・!」
「まだ見失っただけだろ?追えばまだ間に合うはずだ」
「ガル、さっきの人この図書館から出てない。ずっと真下におりて言ってる。多分だけど、中庭の方に行こうしているんだと思う」
「中庭・・・そうか!瘴気でパワーアップしようって算段か!そうはさせない・・・!!」
「とは言っても、あっちは壁や床をすり抜ける事が出来る。物理的に不可能な俺達じゃあ、間に合わんな」
「・・・ふむ。話はここまで黙ってたのでしっかりと聞かせてもらったぞ。おぬしらは中庭まで戻りたいそうじゃな」
「寝てるわけじゃなかったんだな」
「この体になったお陰か全然眠くならんのじゃよ。それよりも、わしなら中庭に一瞬で移動できるぞ」
「本の爺さん!それってまさか転移の魔術なんじゃないのか?あの古代の魔術の!」
「いかにも。お主も無知というわけではなさそうじゃな。ここまで研究結果が色々と大惨事となってはいたが、ようやっとお主らの助けになれそうじゃ・・・と言いたい所じゃが、この本には魔力は籠っておらん。魂にも魔力はいくらか通ってはいるものの、転移の魔術を使うには全然足りん」
明らかに使えなさそうな雰囲気を醸し出しているが、本当に使えなかったとしたらそもそも提案なんてしないだろう。
「というわけでトキよ、わしに魔力を貸してはもらえんか?」
「えっと、本に魔力を注げば良いんですかね?」
「そうじゃ。けど、ゆっくりな・・・うおぉぉぉぉ!魔力が!魔力が注入されていくのが分かる!では皆の者!行くぞ!!なるべくわしに近づくんじゃ!」
言われた通りにトキの周りに集合すると、体が青い光の粒子に包まれた。
「我らに導きを与えたまえ!!『テレポート』!!」
青白い光が強くなり、思わず目を瞑る。光が弱くなった事を確認し、目を開けるとそこは中庭だった。
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