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三章 魔術師達の図書館
87話 貪る男
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「トキ、登れるか?」
「ごめん、ちょっと難しいかも・・・」
トキの魔力は凄まじいが、他のステータスは大して突出していない。なので、険しい道のりや天井を登る際は僕が引っ張って登らせている。
彼女の足が見えた所で引っ張るのをやめ、彼女が落下しないように体を支えてながら登り終えるのを見守る。
視線を前に向けると、自分達が今から向かおうとしている先に光が見える。メドゥーサが開けたであろう穴から漏れている。
「あの穴の先が飼育部屋なのか?」
「ああ、間違いない。館長の言葉を信じよ」
「ほぼ肩書きだけだろ。ガル、お前が先陣を切れ。盾を真下
にしながら落下しろ。運が良ければ穴の真下にいる魔物を叩き潰せるはずだ」
「了解」
タワーシールドで空いた穴を塞ぐようにしてから、軽く跳躍。そのまま盾の上に乗っかり天井に穴を開けると同時に飼育部屋へと落下した。
「うっ!!」
天井から床までそこまで高くないが、上から落ちる時の衝撃はあまり体に良くないな。内臓にダメージが入ったような気がする。
「魔物は潰せてないな・・・」
盾越しでもわかる潰した感覚が無かった。そもそも、生物の気配すら感じない。ここは飼育部屋じゃないのか?
周りを見渡すと大小様々なサイズの飼育ケースが置かれており、その出入り口のどれもが乱雑に破壊されている。しかも、外側から力づくで。
ぐちゃ、ごりっ。血肉と骨を同時に噛み砕く不快な音が耳に響く。音のする方に耳を傾けてみると、そこには灰色の肌色を持ち額には一対のツノをもった矮躯の男が魔物を齧りながら僕を不敵な笑みを浮かべていた。
瘴族だ。あの時逃げた3人の瘴族のうちの1人だ。
「キヘヘッ久しぶりだな、浄化の眷属ぅ。まさかこんなにも早く再会できるとは思っていなかったぞ」
「僕もだ。たった1人から逃げた臆病者にこんなにも早く出くわすとは思わなかったよ」
「チィ・・・!!お前なんて浄化の力がなければただの人間なんだからな!そこんところを忘れるなぁ!!」
「それはそっちもそうだろう?瘴気が無ければ強くないくせして僕ばっかりずるしているとか言うのはやめてほしいな」
「キヒヒ・・・そいつはどうかな?」
「何?」
矮躯の瘴族は大きく息を吸い上げると、その息を僕に向かって吹き出す。吹き出された息は火炎放射となり、僕を襲った。
とっさの判断で盾で体を守れたから良いものの、もし反応が遅れていたら今頃火達磨になっていただろう。
「キケッ!瘴王軍の三幹部の1人であるこのクレオジタス様の実力を見せてあげるよ!」
クレオジタスと名乗った矮躯の瘴族は両手に歪な形状のナイフを持ち襲いかかってきた。
「ごめん、ちょっと難しいかも・・・」
トキの魔力は凄まじいが、他のステータスは大して突出していない。なので、険しい道のりや天井を登る際は僕が引っ張って登らせている。
彼女の足が見えた所で引っ張るのをやめ、彼女が落下しないように体を支えてながら登り終えるのを見守る。
視線を前に向けると、自分達が今から向かおうとしている先に光が見える。メドゥーサが開けたであろう穴から漏れている。
「あの穴の先が飼育部屋なのか?」
「ああ、間違いない。館長の言葉を信じよ」
「ほぼ肩書きだけだろ。ガル、お前が先陣を切れ。盾を真下
にしながら落下しろ。運が良ければ穴の真下にいる魔物を叩き潰せるはずだ」
「了解」
タワーシールドで空いた穴を塞ぐようにしてから、軽く跳躍。そのまま盾の上に乗っかり天井に穴を開けると同時に飼育部屋へと落下した。
「うっ!!」
天井から床までそこまで高くないが、上から落ちる時の衝撃はあまり体に良くないな。内臓にダメージが入ったような気がする。
「魔物は潰せてないな・・・」
盾越しでもわかる潰した感覚が無かった。そもそも、生物の気配すら感じない。ここは飼育部屋じゃないのか?
周りを見渡すと大小様々なサイズの飼育ケースが置かれており、その出入り口のどれもが乱雑に破壊されている。しかも、外側から力づくで。
ぐちゃ、ごりっ。血肉と骨を同時に噛み砕く不快な音が耳に響く。音のする方に耳を傾けてみると、そこには灰色の肌色を持ち額には一対のツノをもった矮躯の男が魔物を齧りながら僕を不敵な笑みを浮かべていた。
瘴族だ。あの時逃げた3人の瘴族のうちの1人だ。
「キヘヘッ久しぶりだな、浄化の眷属ぅ。まさかこんなにも早く再会できるとは思っていなかったぞ」
「僕もだ。たった1人から逃げた臆病者にこんなにも早く出くわすとは思わなかったよ」
「チィ・・・!!お前なんて浄化の力がなければただの人間なんだからな!そこんところを忘れるなぁ!!」
「それはそっちもそうだろう?瘴気が無ければ強くないくせして僕ばっかりずるしているとか言うのはやめてほしいな」
「キヒヒ・・・そいつはどうかな?」
「何?」
矮躯の瘴族は大きく息を吸い上げると、その息を僕に向かって吹き出す。吹き出された息は火炎放射となり、僕を襲った。
とっさの判断で盾で体を守れたから良いものの、もし反応が遅れていたら今頃火達磨になっていただろう。
「キケッ!瘴王軍の三幹部の1人であるこのクレオジタス様の実力を見せてあげるよ!」
クレオジタスと名乗った矮躯の瘴族は両手に歪な形状のナイフを持ち襲いかかってきた。
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