87 / 141
三章 魔術師達の図書館
86話 部屋脱出
しおりを挟む
「ギャアァァァァァァァァ!!」
メドゥーサの甲高い悲鳴が上がると共に、部屋を照らしてきた紫色の光がパッと消える。いや、潰したという表現が正しいだろう。
「今です!」
「ナイス判断だガル!!」
体勢を崩していないオルタがメドゥーサの心臓を穿つ。心臓を穿たれたメドゥーサは目から赤い涙を流しながら絶命した。
「ふぅ・・・今のは流石に危なかったな」
「本当だ。お前、自分が特別な存在であることを時々忘れてるだろ」
「忘れてる。というのは正しくないかもしれません。わざと忘れていると言った方が良いかもしれません。そうしないと無茶な行動はできないので」
「コイツに盾持たせる戦法を学ばせたリリィ団長の判断は正しかったんだな・・・」
親指に付着した血を拭う。関節までズッポリと指を差し込んだみたいだ。
「にしてもあんなラミア知らなかった。魔術師とか研究者の間では有名なんですか?」
「まあの。絶滅種が魔物化した姿じゃからな」
「え?」
「なんだ?知らんかったのか?メドゥーサは体が石のようになってしまう毒を持った絶滅種の蛇が魔物化した姿じゃぞ」
なるほど、絶滅種。だから魔物図鑑にも載っていなかったわけか。
「いやちょっと待った。なんで絶滅種がここにいるんです?まだ自然にいるなら絶滅してなかったんだーで済みますけど、図書館にいるだなんてあまりにも不自然じゃないですか」
「ほっほっほ。ここを何処だと心得ておるのじゃガルよ。ゴッズステイ中の知恵が集う魔術師達の図書館じゃよ?絶滅種を復活させることなんて容易じゃよ」
「またあんたかよ・・・」
「いや、今回はわしの弟子じゃな。ちなみにさっきガルが殺した異神の宣教師の中にもおるじゃろうよ」
「すみません。仕方なかったとはいえ、お弟子さんを殺してしまって」
「わしが言うのはなんだか違うような気がするが構わんよ。あのまま放っておいても他人に害しか与えないからの。ああやって葬ってもらった方が世のため人のためじゃ」
「それなら良いんですが・・・所でどうやってここから脱出します?扉は閉まってるし、扉自体を壊すにしても頑丈で壊れそうにありません」
「魔術も施してあるからの。そんじょそこらの衝撃には耐えられるようになっておる。おっと、部屋の自慢をしてしまったなすまんすまん。この部屋を出るなら、先程メドゥーサが落ちてきた天井の穴から脱出するのはどうじゃ?動物飼育部屋に着くと思うぞ」
「なあ、その部屋にも瘴気は蔓延してるよな?」
「当たり前じゃろ。ここまで瘴気に汚染されておるんじゃから」
「ガル、こりゃあもう一戦交える覚悟をしておいた方がいいかもな」
「ですね」
メドゥーサが魔物化したというのなら、同じ部屋にいた動物達も魔物化しているはずだ。気は決して抜けない。
メドゥーサの甲高い悲鳴が上がると共に、部屋を照らしてきた紫色の光がパッと消える。いや、潰したという表現が正しいだろう。
「今です!」
「ナイス判断だガル!!」
体勢を崩していないオルタがメドゥーサの心臓を穿つ。心臓を穿たれたメドゥーサは目から赤い涙を流しながら絶命した。
「ふぅ・・・今のは流石に危なかったな」
「本当だ。お前、自分が特別な存在であることを時々忘れてるだろ」
「忘れてる。というのは正しくないかもしれません。わざと忘れていると言った方が良いかもしれません。そうしないと無茶な行動はできないので」
「コイツに盾持たせる戦法を学ばせたリリィ団長の判断は正しかったんだな・・・」
親指に付着した血を拭う。関節までズッポリと指を差し込んだみたいだ。
「にしてもあんなラミア知らなかった。魔術師とか研究者の間では有名なんですか?」
「まあの。絶滅種が魔物化した姿じゃからな」
「え?」
「なんだ?知らんかったのか?メドゥーサは体が石のようになってしまう毒を持った絶滅種の蛇が魔物化した姿じゃぞ」
なるほど、絶滅種。だから魔物図鑑にも載っていなかったわけか。
「いやちょっと待った。なんで絶滅種がここにいるんです?まだ自然にいるなら絶滅してなかったんだーで済みますけど、図書館にいるだなんてあまりにも不自然じゃないですか」
「ほっほっほ。ここを何処だと心得ておるのじゃガルよ。ゴッズステイ中の知恵が集う魔術師達の図書館じゃよ?絶滅種を復活させることなんて容易じゃよ」
「またあんたかよ・・・」
「いや、今回はわしの弟子じゃな。ちなみにさっきガルが殺した異神の宣教師の中にもおるじゃろうよ」
「すみません。仕方なかったとはいえ、お弟子さんを殺してしまって」
「わしが言うのはなんだか違うような気がするが構わんよ。あのまま放っておいても他人に害しか与えないからの。ああやって葬ってもらった方が世のため人のためじゃ」
「それなら良いんですが・・・所でどうやってここから脱出します?扉は閉まってるし、扉自体を壊すにしても頑丈で壊れそうにありません」
「魔術も施してあるからの。そんじょそこらの衝撃には耐えられるようになっておる。おっと、部屋の自慢をしてしまったなすまんすまん。この部屋を出るなら、先程メドゥーサが落ちてきた天井の穴から脱出するのはどうじゃ?動物飼育部屋に着くと思うぞ」
「なあ、その部屋にも瘴気は蔓延してるよな?」
「当たり前じゃろ。ここまで瘴気に汚染されておるんじゃから」
「ガル、こりゃあもう一戦交える覚悟をしておいた方がいいかもな」
「ですね」
メドゥーサが魔物化したというのなら、同じ部屋にいた動物達も魔物化しているはずだ。気は決して抜けない。
10
お気に入りに追加
42
あなたにおすすめの小説

家庭菜園物語
コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。
その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。
異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。


~クラス召喚~ 経験豊富な俺は1人で歩みます
無味無臭
ファンタジー
久しぶりに異世界転生を体験した。だけど周りはビギナーばかり。これでは俺が巻き込まれて死んでしまう。自称プロフェッショナルな俺はそれがイヤで他の奴と離れて生活を送る事にした。天使には魔王を討伐しろ言われたけど、それは面倒なので止めておきます。私はゆっくりのんびり異世界生活を送りたいのです。たまには自分の好きな人生をお願いします。
ボッチになった僕がうっかり寄り道してダンジョンに入った結果
安佐ゆう
ファンタジー
第一の人生で心残りがあった者は、異世界に転生して未練を解消する。
そこは「第二の人生」と呼ばれる世界。
煩わしい人間関係から遠ざかり、のんびり過ごしたいと願う少年コイル。
学校を卒業したのち、とりあえず幼馴染たちとパーティーを組んで冒険者になる。だが、コイルのもつギフトが原因で、幼馴染たちのパーティーから追い出されてしまう。
ボッチになったコイルだったが、これ幸いと本来の目的「のんびり自給自足」を果たすため、町を出るのだった。
ロバのポックルとのんびり二人旅。ゴールと決めた森の傍まで来て、何気なくフラっとダンジョンに立ち寄った。そこでコイルを待つ運命は……
基本的には、ほのぼのです。
設定を間違えなければ、毎日12時、18時、22時に更新の予定です。

没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~
土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。
しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。
そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。
両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。
女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています

錬金術師が不遇なのってお前らだけの常識じゃん。
いいたか
ファンタジー
小説家になろうにて130万PVを達成!
この世界『アレスディア』には天職と呼ばれる物がある。
戦闘に秀でていて他を寄せ付けない程の力を持つ剣士や戦士などの戦闘系の天職や、鑑定士や聖女など様々な助けを担ってくれる補助系の天職、様々な天職の中にはこの『アストレア王国』をはじめ、いくつもの国では不遇とされ虐げられてきた鍛冶師や錬金術師などと言った生産系天職がある。
これは、そんな『アストレア王国』で不遇な天職を賜ってしまった違う世界『地球』の前世の記憶を蘇らせてしまった一人の少年の物語である。
彼の行く先は天国か?それとも...?
誤字報告は訂正後削除させていただきます。ありがとうございます。
小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで連載中!
現在アルファポリス版は5話まで改稿中です。
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる