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三章 魔術師達の図書館
75話 旧友よ安らかに
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「魔術師達の中には魔物化しなかった者もいる。魔物化した者達はその者達の肉を食らっているみたいじゃな。ああやっての」
フレディさんの指示通りに向かった先には、四足歩行で元同胞の肉を喰らう魔物と化した知識人達がそこにはいた。
その中には見覚えのある生前は優しかったであろう青年が、一心不乱に人間の肉を食らっていた。
「ルピスさん・・・」
「ああぁぁぁ・・・」
2つ上の兄的存在のルピスさんだ。背信者ではなく、死後魔物化した未練残しになってしまったらしく、既に体の先端から腐り始めていた。
瞳なんかは曇ってしまっており、浄化の眷属特有の白い瞳ではなくなり、腐りかけた黄色になってしまっている。幼い頃は一緒に遊ぶ仲だった僕の事も勿論覚えていないようで、僕を新鮮な食事と認識して襲い掛かってきた。
昔はあんなにもすばしっこかった動きも体が腐りかけている影響か、とても鈍くなってしまっている。特に何の技術も使う事なく背後に回り込む事が出来た。そして、背中に剣を刺し、その場に固定。頭を地面に押し付けて浄化を行い、ただの死体へと戻した。
他の未練残し達も浄化し、死体へと戻す。その数15体。まあまあの数だった。
「手慣れておるの。お主、どれだけの試練を乗り越えて来たんじゃ?」
「50回頃から数えるのを辞めてしまいましたので分かりません。所で、フレディさん。さっき貴方は本を持っていたから本に魂を乗り移らせる事が出来ると言っていましたね?」
「ああ、そういったね」
「じゃあ、貴方の体は何処に行ったんですか?」
フレディの魂が宿った本を見つけた時、体は既に存在していなかった。今のフレディは本なので何処にも移動できないので、必然的に体の方が移動した事になるが・・・。
「実は、良く覚えていないんじゃ。気づいたら本に魂が入っていて、状況を完全に把握した瞬間、君達が図書館にやってきたんじゃ」
「フレディさん、もしかしたら体は別の存在に奪われているかもしれません。その覚悟だけはしておいてください」
「ああ、構わんよ。元から老いぼれの体じゃ。魔力量以外何の役にも立たんさ。わし自身も肉体に未練はないからの」
「いやいや、体はあった方が良いだろ」
「それはお前さん達戦士の考え。魔術師の考えはお前さんらとはちっと違うんじゃよ」
「そういって貰えるとこっちも思い切りやれそうで良かったです。それでフレディさんはどうします?ここに置いていった方が良いですか?」
「それはちょっと・・・さみしいな。道案内するから連れて行ってくれ。軽いし、そこまで大きな魔導書じゃないから良いじゃろ?」
「丁度良かった。道案内が欲しかった所なんです。それじゃあ、行きましょうか」
フレディさんの指示通りに向かった先には、四足歩行で元同胞の肉を喰らう魔物と化した知識人達がそこにはいた。
その中には見覚えのある生前は優しかったであろう青年が、一心不乱に人間の肉を食らっていた。
「ルピスさん・・・」
「ああぁぁぁ・・・」
2つ上の兄的存在のルピスさんだ。背信者ではなく、死後魔物化した未練残しになってしまったらしく、既に体の先端から腐り始めていた。
瞳なんかは曇ってしまっており、浄化の眷属特有の白い瞳ではなくなり、腐りかけた黄色になってしまっている。幼い頃は一緒に遊ぶ仲だった僕の事も勿論覚えていないようで、僕を新鮮な食事と認識して襲い掛かってきた。
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「ああ、そういったね」
「じゃあ、貴方の体は何処に行ったんですか?」
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「実は、良く覚えていないんじゃ。気づいたら本に魂が入っていて、状況を完全に把握した瞬間、君達が図書館にやってきたんじゃ」
「フレディさん、もしかしたら体は別の存在に奪われているかもしれません。その覚悟だけはしておいてください」
「ああ、構わんよ。元から老いぼれの体じゃ。魔力量以外何の役にも立たんさ。わし自身も肉体に未練はないからの」
「いやいや、体はあった方が良いだろ」
「それはお前さん達戦士の考え。魔術師の考えはお前さんらとはちっと違うんじゃよ」
「そういって貰えるとこっちも思い切りやれそうで良かったです。それでフレディさんはどうします?ここに置いていった方が良いですか?」
「それはちょっと・・・さみしいな。道案内するから連れて行ってくれ。軽いし、そこまで大きな魔導書じゃないから良いじゃろ?」
「丁度良かった。道案内が欲しかった所なんです。それじゃあ、行きましょうか」
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