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三章 魔術師達の図書館
74話 喋る魔導書
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「え?本?今、本から声が出てた?」
「しっかりと聴こえておるようじゃの」
何者かの悪戯・・・というわけではなさそうだ。本当に本から声が聴こえてくる。
「お主たちの戦いっぷり、この目でしかと見させてもらったぞ」
「目?何処にあるの?」
「お主、節穴か?よく見ろ!」
題名が書かれている部分に目のような模様が2つ書かれている。これかと思い、触ってみると。
「こら!やめんか!!」
「ああ、すみません・・・」
触られているという感覚はあるみたいだ。不思議な本だ。
「ゴホンッ!自己紹介しよう。わしの名はフレディ。生きる魔導書と呼ばれたこの図書館在籍する魔術師じゃ」
「ご丁寧にどうも・・・。僕は」
「浄化の眷属じゃろ?その目も見たらすぐに分かる。同じ瞳を持ったルピスという男もおったしな」
「ええっと、待ってくださいね。色々と聞きたい事がありすぎて頭がこんがらがっているので整理させてください」
「構わん。ゆっくりと話せ」
「まず・・・あの人形は貴方が作ったものなんですか?」
「まあな。暇つぶしに作って警備をさせておったんじゃが、瘴気にあてられておかしくなってしまったみたいじゃな」
「作ったって事は・・・もしかして人間?」
「その通り。お主達も分かっていると思うが、魔術師達の図書館の中庭から瘴気が発生し、図書館にいる魔術師と学者は全滅した。その中にはわしも含まれていた・・・含まれてたのじゃが、たまたまこの本を手に握っておっての。魂が本に乗り移ったんじゃ」
「そんな本聞いた事ない・・・一体何の本なんです?」
「実はわしも解析中だったんじゃが、わし自身がこの本になる事でようやく気付いた。この本は古代の禁術が書き記された危ない魔導書だという事にな。その中には魂の転移の魔術に関して書き記されていたんじゃが、どうやらわしは死ぬ直前に魔力が手から漏れ出してしまい、偶然にもその魔術を発動させてしまったみたいなんじゃ」
「そんな事できるんだ・・・」
「いや、それは多分わしが天才だからじゃな。他の者には真似できんよ」
「教えてくれてありがとうございます。それじゃあ、ルピスさんは何処にいるのか分かりますか?僕、一緒に育った兄弟みたいな存在なんです」
「・・・・・・」
「フレディさん?」
「大変申しにくいのじゃが・・・彼はもう」
ああ、やっぱりか。いや、大体予想は出来ていた。出来ていたんだ。だから、泣く事は無い。
「それなら、どっちに行ったのかを教えてもらえませんか?僕が誰にも迷惑かけないようにするので」
「・・・お主、若いのに逞しいの」
「そうならざるを得なかったんです」
「しっかりと聴こえておるようじゃの」
何者かの悪戯・・・というわけではなさそうだ。本当に本から声が聴こえてくる。
「お主たちの戦いっぷり、この目でしかと見させてもらったぞ」
「目?何処にあるの?」
「お主、節穴か?よく見ろ!」
題名が書かれている部分に目のような模様が2つ書かれている。これかと思い、触ってみると。
「こら!やめんか!!」
「ああ、すみません・・・」
触られているという感覚はあるみたいだ。不思議な本だ。
「ゴホンッ!自己紹介しよう。わしの名はフレディ。生きる魔導書と呼ばれたこの図書館在籍する魔術師じゃ」
「ご丁寧にどうも・・・。僕は」
「浄化の眷属じゃろ?その目も見たらすぐに分かる。同じ瞳を持ったルピスという男もおったしな」
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「構わん。ゆっくりと話せ」
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「まあな。暇つぶしに作って警備をさせておったんじゃが、瘴気にあてられておかしくなってしまったみたいじゃな」
「作ったって事は・・・もしかして人間?」
「その通り。お主達も分かっていると思うが、魔術師達の図書館の中庭から瘴気が発生し、図書館にいる魔術師と学者は全滅した。その中にはわしも含まれていた・・・含まれてたのじゃが、たまたまこの本を手に握っておっての。魂が本に乗り移ったんじゃ」
「そんな本聞いた事ない・・・一体何の本なんです?」
「実はわしも解析中だったんじゃが、わし自身がこの本になる事でようやく気付いた。この本は古代の禁術が書き記された危ない魔導書だという事にな。その中には魂の転移の魔術に関して書き記されていたんじゃが、どうやらわしは死ぬ直前に魔力が手から漏れ出してしまい、偶然にもその魔術を発動させてしまったみたいなんじゃ」
「そんな事できるんだ・・・」
「いや、それは多分わしが天才だからじゃな。他の者には真似できんよ」
「教えてくれてありがとうございます。それじゃあ、ルピスさんは何処にいるのか分かりますか?僕、一緒に育った兄弟みたいな存在なんです」
「・・・・・・」
「フレディさん?」
「大変申しにくいのじゃが・・・彼はもう」
ああ、やっぱりか。いや、大体予想は出来ていた。出来ていたんだ。だから、泣く事は無い。
「それなら、どっちに行ったのかを教えてもらえませんか?僕が誰にも迷惑かけないようにするので」
「・・・お主、若いのに逞しいの」
「そうならざるを得なかったんです」
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