記憶喪失の異世界転生者を拾いました

町島航太

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三章 魔術師達の図書館

70話 あれから1ヶ月

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「ガル、寝ちゃいましたね」

「まあ、一番体力を使っているのはガルだからな。前みたいに瘴気と魔物の話になったら飛び起きる事は無くなったから良いんじゃないか?」

「そうですね。リリィさんを殺してしまってから精神状態を心配していたんですが、瘴族を倒すという目的が生まれたお陰で寧ろ強固になりましたね」

「それが果たして将来的に良い事なのか悪い事なのかはまだ分からないがな」

「どういう事ですか?」

「人生は長い。瘴族を倒した後も何十年も続いていく。今のアイツは姉的存在を殺した罪悪感を瘴族討伐という目標で埋めている。それが無くなったらどうなってしまうのか分からないって話さ」

 瘴族を倒している間に罪悪感の間に別の何かが埋まれば問題ないのだが、埋まらない場合も多く存在する。その場合、ガルに待っているのは辛い余生だ。

「それじゃあ、わたしが彼の心の穴を埋める栓になります。彼の為ならどんな役割でもやってみせます」

「それは・・・助けられたからか?」

「それもありますが、ガルはわたしという人間を作ってくれた大切で大事な人なんです。そんな人の幸せな余生を壊したくないんです」

「そうか・・・それを聞けて一安心したよ。これで死んでも何の心残りも無くあの世に行ける」

「縁起でもない事言わないで下さいよ!3人で終わらせて浄化の神殿に行きましょう」

「だな・・・さて、話を少し変えようか。瘴族に関してなんだが」

「1ヶ月色んな集落や村に行って多くの人に話を聞いたのに目撃情報がまるで見当たりませんね」

 瘴族の目撃情報は一つも得る事が出来なかった。見つけた人はもれなく殺されているのでは?と最初は思い、直近の行方不明者を聞くも、誰一人いないという。

 前回と前々回はゴッズステイ侵略の為に動いていたらしいので、今回もそうなのかと思っていたが、もしかしたら別の目的があるとか?

「良く考えてみれば、今の所確認できてる瘴族の数は3だ。他の地域でも目撃情報は無いからあの3人から増えている事はないだろうな。確かにあの3人は強かったけど、一騎当千の戦士という程ではなかった。あの3人ではゴッズステイを侵略するのはほぼ不可能だ」

「話によると、瘴族は軍団を作ってゴッズステイの人達と戦ったんですよね?その数は500人だとか」

「そうだ。以上の情報から人を襲わない理由は2つある。1つは何かしらの条件が足りなくて他の瘴族を呼び出せない。もう1つは侵略以外の目的がある、だ」

「前者だとしたら早めにあの瘴族3人を倒したいですね」

「そうだな。まあ、瘴族に会ったら直接聞こうじゃないか。まともに話してくれるか分からんがな」

 オルタとトキも眠りについた。
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