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二章 愛の対義語
62話 オルタの告白
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「ぐぅううううう!!ぁぁぁあああああ!!」
寝室に戻ると、オルタ副団長はまだ同じ位置で蹲っていた。しかし、先程とは違い叫び声も上げている。叫び声を上げて己を鼓舞しなければ瘴気を抑えられなくなってしまっているのだろう。
剣を抜き、近づいて行く。しかし、ドワーフ達に諌められてしまった。
「待って下さい!彼はまだ殺さないで下さい!!彼はまだ誰も殺していません!」
「何だって!?」
瘴気による魔物化が進行しているというのに、殺人欲求を押し殺しているのか?姉さんでも抑えきれなかった欲求を?
「ォォォォォォオオレハァ・・・魔物なんかには・・・!!なら、ないぞ・・・!!」
「オルタ副団長!!」
「う・・・ガ、ル・・・う、あ、あぁぁぁ・・・!!」
僕の方を向き、両肩を掴み項垂れる。
「オオオ俺は、お前に嫉妬していたァァァァ・・・」
「嫉妬・・・?」
「俺は、ウル神父に助けられてからの20年間、彼に恩返しする為に騎士団に入団した・・・いや、恩人であるウル神父に褒められたいが為に入団したと言っても過言じゃないな」
初めて明かされるオルタ副団長の入団の理由。しかし、どうしてこんな時に限ってそんな事を話しているのだろう?
「褒めてもらいたくて彼の言葉通りに動いた。けれども、彼の隣にいたのはガル、お前だった」
彼が僕に突っかかっていた理由も判明する。まるで吐瀉物を嘔吐するように自分の本心をぶちまけた。
「だが、同時に理解していた。俺がどんなに努力を積み重ねてもウル神父にとってのお前にはなれないんだと。心で理解していたが、本能が否定した。そんなはずはないと。だから、お前に数々の非礼をした・・・」
「オルタ副団長・・・」
「オレはまもなく心のない魔物となるだろう。リリィ団長はある程度自分の意識を残していたが、オレみたいな野蛮人は獣と化すのが関の山だ」
「・・・・・・」
「その前にお前に言っておきたい。すまなかった。今までのお前への態度は完全に俺の感情によるものであり、お前に非はない。お前は誰もが認める一人前の騎士だ」
「ありがとう、ございます・・・」
「そんなお前に頼がある。俺という名の魔物を討ってくれ。団長を殺した後に俺を殺すのは、人のいいお前では辛い事だろう。だが、頼まれてくれないか?俺は、ウル神父を失望させたくない」
「・・・分かりました」
剣を手に取り、オルタ副団長の首筋に刃を当てる。この時、オルタ副団長をしっかりと見つめていると、あることに気がついた。
「元の色に戻り始めている?」
寝室に戻ると、オルタ副団長はまだ同じ位置で蹲っていた。しかし、先程とは違い叫び声も上げている。叫び声を上げて己を鼓舞しなければ瘴気を抑えられなくなってしまっているのだろう。
剣を抜き、近づいて行く。しかし、ドワーフ達に諌められてしまった。
「待って下さい!彼はまだ殺さないで下さい!!彼はまだ誰も殺していません!」
「何だって!?」
瘴気による魔物化が進行しているというのに、殺人欲求を押し殺しているのか?姉さんでも抑えきれなかった欲求を?
「ォォォォォォオオレハァ・・・魔物なんかには・・・!!なら、ないぞ・・・!!」
「オルタ副団長!!」
「う・・・ガ、ル・・・う、あ、あぁぁぁ・・・!!」
僕の方を向き、両肩を掴み項垂れる。
「オオオ俺は、お前に嫉妬していたァァァァ・・・」
「嫉妬・・・?」
「俺は、ウル神父に助けられてからの20年間、彼に恩返しする為に騎士団に入団した・・・いや、恩人であるウル神父に褒められたいが為に入団したと言っても過言じゃないな」
初めて明かされるオルタ副団長の入団の理由。しかし、どうしてこんな時に限ってそんな事を話しているのだろう?
「褒めてもらいたくて彼の言葉通りに動いた。けれども、彼の隣にいたのはガル、お前だった」
彼が僕に突っかかっていた理由も判明する。まるで吐瀉物を嘔吐するように自分の本心をぶちまけた。
「だが、同時に理解していた。俺がどんなに努力を積み重ねてもウル神父にとってのお前にはなれないんだと。心で理解していたが、本能が否定した。そんなはずはないと。だから、お前に数々の非礼をした・・・」
「オルタ副団長・・・」
「オレはまもなく心のない魔物となるだろう。リリィ団長はある程度自分の意識を残していたが、オレみたいな野蛮人は獣と化すのが関の山だ」
「・・・・・・」
「その前にお前に言っておきたい。すまなかった。今までのお前への態度は完全に俺の感情によるものであり、お前に非はない。お前は誰もが認める一人前の騎士だ」
「ありがとう、ございます・・・」
「そんなお前に頼がある。俺という名の魔物を討ってくれ。団長を殺した後に俺を殺すのは、人のいいお前では辛い事だろう。だが、頼まれてくれないか?俺は、ウル神父を失望させたくない」
「・・・分かりました」
剣を手に取り、オルタ副団長の首筋に刃を当てる。この時、オルタ副団長をしっかりと見つめていると、あることに気がついた。
「元の色に戻り始めている?」
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