57 / 141
二章 愛の対義語
56話 終結
しおりを挟む
「皆さん、ご無事でしたか・・・」
司祭が杖を突きながら僕達の所へとやって来る。しかし、右腕を完全に失ってしまっていた。
「どうしたんですか!?ま、まさか背信者となったドワーフに?」
「いいえ、違います。瘴族にです。瘴気がこちらにやってきたと思ったら、人型となり、私の腕を食いちぎったのです・・・」
「食いちぎった・・・瘴族にも食事という概念は存在しているみたいだな」
「傷を回復するために食べたのか・・・とりあえず治療を」
「いえ、大丈夫です。既に傷は癒えています」
右腕はもう無いが、傷は塞ぎきっている再出血の可能性は無いみたいだ。
「・・・ねぇ、祭司さん。どうして彼等が瘴族だって分かったの?もしかして近くで私達の会話を聞いていたの?」
「いいえ、恥ずかしながら起きたのはついさっき。瘴族に腕をちぎられたのはそのすぐあとだったので、何が起きたのかも先程他の者から聞いて知りました・・・」
「おい、じゃあ何で瘴族だって分かったんだ?説明しろ」
瘴族という存在は知っていても、腕を食いちぎった存在を瘴族と断定するにはそれなりの情報を得ていなければおかしい。司祭さんは何かを知っているのだろうか?
「私は200年前に生まれまして、190年前に終結した瘴族との戦争を子供として体験していました。私の両親は私を守る為に瘴族と戦いそして、死にました」
「成程、道理で知っているわけだ」
ドワーフの平均寿命は150年。しかし、あくまで平均なので200年生きたドワーフがいても何もおかしくはないだろう。年齢を聞かずに疑った僕らの落ち度だ。
「因みにどの瘴族が司祭さんの腕を食べたんですか?」
「ほっそりとした何処にでも良そうなヒュームの青年の体格の瘴族でした。あの瘴族、何処かで見たような気がするんです・・・」
「見たというと、190年前にですか?」
「はい。190年前、瘴族は数百人で軍を作り、各地を制圧していました。その軍を取り仕切っていた4人の中の1人の顔が私の腕を食いちぎった瘴族と顔が似ていたんです」
瘴族に関してまだ詳しい事はあまり知られてはいない。ただ、瘴気の発生と共に現れるという曖昧な情報のみだった。その間、何処で潜伏しているのか分からなかったが、今回穴から出てくる所と瘴気のように体を霧状にする能力を見た事で分かった。
「とりあえず、状況の整理は朝を迎えてからにしましょう。皆さん、お疲れさまでした」
こうして、二度目の瘴気騒動は幕を閉じたのだが、二度あることは三度あるというように再び瘴気が発生するんじゃないかと不安で中々眠る事が出来なかった。
司祭が杖を突きながら僕達の所へとやって来る。しかし、右腕を完全に失ってしまっていた。
「どうしたんですか!?ま、まさか背信者となったドワーフに?」
「いいえ、違います。瘴族にです。瘴気がこちらにやってきたと思ったら、人型となり、私の腕を食いちぎったのです・・・」
「食いちぎった・・・瘴族にも食事という概念は存在しているみたいだな」
「傷を回復するために食べたのか・・・とりあえず治療を」
「いえ、大丈夫です。既に傷は癒えています」
右腕はもう無いが、傷は塞ぎきっている再出血の可能性は無いみたいだ。
「・・・ねぇ、祭司さん。どうして彼等が瘴族だって分かったの?もしかして近くで私達の会話を聞いていたの?」
「いいえ、恥ずかしながら起きたのはついさっき。瘴族に腕をちぎられたのはそのすぐあとだったので、何が起きたのかも先程他の者から聞いて知りました・・・」
「おい、じゃあ何で瘴族だって分かったんだ?説明しろ」
瘴族という存在は知っていても、腕を食いちぎった存在を瘴族と断定するにはそれなりの情報を得ていなければおかしい。司祭さんは何かを知っているのだろうか?
「私は200年前に生まれまして、190年前に終結した瘴族との戦争を子供として体験していました。私の両親は私を守る為に瘴族と戦いそして、死にました」
「成程、道理で知っているわけだ」
ドワーフの平均寿命は150年。しかし、あくまで平均なので200年生きたドワーフがいても何もおかしくはないだろう。年齢を聞かずに疑った僕らの落ち度だ。
「因みにどの瘴族が司祭さんの腕を食べたんですか?」
「ほっそりとした何処にでも良そうなヒュームの青年の体格の瘴族でした。あの瘴族、何処かで見たような気がするんです・・・」
「見たというと、190年前にですか?」
「はい。190年前、瘴族は数百人で軍を作り、各地を制圧していました。その軍を取り仕切っていた4人の中の1人の顔が私の腕を食いちぎった瘴族と顔が似ていたんです」
瘴族に関してまだ詳しい事はあまり知られてはいない。ただ、瘴気の発生と共に現れるという曖昧な情報のみだった。その間、何処で潜伏しているのか分からなかったが、今回穴から出てくる所と瘴気のように体を霧状にする能力を見た事で分かった。
「とりあえず、状況の整理は朝を迎えてからにしましょう。皆さん、お疲れさまでした」
こうして、二度目の瘴気騒動は幕を閉じたのだが、二度あることは三度あるというように再び瘴気が発生するんじゃないかと不安で中々眠る事が出来なかった。
10
お気に入りに追加
42
あなたにおすすめの小説

家庭菜園物語
コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。
その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。
異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。


~クラス召喚~ 経験豊富な俺は1人で歩みます
無味無臭
ファンタジー
久しぶりに異世界転生を体験した。だけど周りはビギナーばかり。これでは俺が巻き込まれて死んでしまう。自称プロフェッショナルな俺はそれがイヤで他の奴と離れて生活を送る事にした。天使には魔王を討伐しろ言われたけど、それは面倒なので止めておきます。私はゆっくりのんびり異世界生活を送りたいのです。たまには自分の好きな人生をお願いします。
ボッチになった僕がうっかり寄り道してダンジョンに入った結果
安佐ゆう
ファンタジー
第一の人生で心残りがあった者は、異世界に転生して未練を解消する。
そこは「第二の人生」と呼ばれる世界。
煩わしい人間関係から遠ざかり、のんびり過ごしたいと願う少年コイル。
学校を卒業したのち、とりあえず幼馴染たちとパーティーを組んで冒険者になる。だが、コイルのもつギフトが原因で、幼馴染たちのパーティーから追い出されてしまう。
ボッチになったコイルだったが、これ幸いと本来の目的「のんびり自給自足」を果たすため、町を出るのだった。
ロバのポックルとのんびり二人旅。ゴールと決めた森の傍まで来て、何気なくフラっとダンジョンに立ち寄った。そこでコイルを待つ運命は……
基本的には、ほのぼのです。
設定を間違えなければ、毎日12時、18時、22時に更新の予定です。

没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~
土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。
しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。
そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。
両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。
女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

転生してしまったので服チートを駆使してこの世界で得た家族と一緒に旅をしようと思います
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
俺はクギミヤ タツミ。
今年で33歳の社畜でございます
俺はとても運がない人間だったがこの日をもって異世界に転生しました
しかし、そこは牢屋で見事にくそまみれになってしまう
汚れた囚人服に嫌気がさして、母さんの服を思い出していたのだが、現実を受け止めて抗ってみた。
すると、ステータスウィンドウが開けることに気づく。
そして、チートに気付いて無事にこの世界を気ままに旅することとなる。楽しい旅にしなくちゃな
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる