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二章 愛の対義語
48話 つがい
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「はぁ・・・はぁ・・・全然活躍できなかった。ごめんね、ガル」
「いえ、そんな事ないですよ。団長が注意を引き付けていなかったら僕は登れませんでした。ありがとうございます」
リリィ団長は落ち込んでいるようだが、彼女がいなかったら僕はロックイーターに剣を刺す事すらできなかった。オルタ副団長の咄嗟の行動が素晴らしかっただけで、団長が役立たずというのは無い。
「よいしょっと・・・ああ、もう剣は使い物にならなそう」
ど真ん中を刺した事により、骨に当たってしまったようで剣先が折れてしまっている。まあ、元からぼろかったので、思った以上の活躍をしてくれたと言えばそうかもしれない。
「にしてもデカいな。もう一体倒せって言われても絶対に無理だ。また出てきたら絶対に逃げるぞ」
「同感です」
あんな巨大な魔物とは二度と戦いたくはない。でも、浄化活動の道のりは長い。あの化け物以上の魔物ともこれから何度も戦うんだろうな・・・。
「ガル、お疲れ様」
全身灰色になったトキが僕に抱き着いてくる。浄化をしてくれという合図。とても苦しそうだったので、いつもよりも奇跡を強めに出して早めに浄化してあげた。
「ありがとうトキ」
「うん。ところで、さっきの魔物は鉄を食べる虫が魔物になったんだよね」
「そうだね。それがどうかしたの?」
「あの一匹だけが魔物になったのかな?」
「・・・トキ、何か感じるの?」
「う、うん。実は・・・さっきの魔物より強大な量の瘴気をもった魔物が下からこっちに向かってきてる」
「・・・・・二人とも!今すぐここから離れまs────」
叫んだ頃にはもう既に遅かった。先程よりも巨大で、ゴツイ外骨格に覆われた個体が真下からまるでモグラのように飛び出してきた。
「ギキャアアアアアアアァァァァァ!!」
新たに現れた個体は、既に死んだ個体を発見するや否や鼓膜が破れんばかりの声量で鳴いた。恐らく番だったんだろう。だとするなら、今現れた個体はメスだろうか?
「マズイ・・・逃げようトキ!」
「多分逃げても追いかけられるだけだと思う。きっと追いつかれるし、ここで倒さないと」
「じゃあ、さっきのやり方でもう一回倒すしかないのか・・・!!」
「ううん、わたしがやる。多分、一撃で倒せるよ」
「え・・・」
これまでトキが戦った事が一度もない。しかし彼女の声色からして自信はかなりあるようだ。彼女は転生者だ。僕達を遥かに凌駕した力を持っているんだろう。
「それじゃあ、任せても良い?」
「うん。任せて」
口角を少し上げてニコリとほほ笑んだトキの体からは凄まじい量の魔力が溢れ出し始める。思わず腰を抜かしてしまうようなる量の魔力だ。今まで彼女から魔力を感知する事は無かったが、今の彼女からは町1つ吹き飛ばせる量の魔力を感知している。
「えっと、多分・・・こうかな?」
トキの手の中に何の魔術にもなっていない純粋な魔力の塊が出来上がる。人の頭サイズの球体だ。
「えいっ!」
それを勢いよくロックイーターの方へと投げると、魔力の玉はすーっと浸透するようにロックイーターの体内へと入っていき。そして────────
「ギャアアアアァァァァァァ!!」
四方八方に肉塊をまき散らしながら爆ぜた。
「いえ、そんな事ないですよ。団長が注意を引き付けていなかったら僕は登れませんでした。ありがとうございます」
リリィ団長は落ち込んでいるようだが、彼女がいなかったら僕はロックイーターに剣を刺す事すらできなかった。オルタ副団長の咄嗟の行動が素晴らしかっただけで、団長が役立たずというのは無い。
「よいしょっと・・・ああ、もう剣は使い物にならなそう」
ど真ん中を刺した事により、骨に当たってしまったようで剣先が折れてしまっている。まあ、元からぼろかったので、思った以上の活躍をしてくれたと言えばそうかもしれない。
「にしてもデカいな。もう一体倒せって言われても絶対に無理だ。また出てきたら絶対に逃げるぞ」
「同感です」
あんな巨大な魔物とは二度と戦いたくはない。でも、浄化活動の道のりは長い。あの化け物以上の魔物ともこれから何度も戦うんだろうな・・・。
「ガル、お疲れ様」
全身灰色になったトキが僕に抱き着いてくる。浄化をしてくれという合図。とても苦しそうだったので、いつもよりも奇跡を強めに出して早めに浄化してあげた。
「ありがとうトキ」
「うん。ところで、さっきの魔物は鉄を食べる虫が魔物になったんだよね」
「そうだね。それがどうかしたの?」
「あの一匹だけが魔物になったのかな?」
「・・・トキ、何か感じるの?」
「う、うん。実は・・・さっきの魔物より強大な量の瘴気をもった魔物が下からこっちに向かってきてる」
「・・・・・二人とも!今すぐここから離れまs────」
叫んだ頃にはもう既に遅かった。先程よりも巨大で、ゴツイ外骨格に覆われた個体が真下からまるでモグラのように飛び出してきた。
「ギキャアアアアアアアァァァァァ!!」
新たに現れた個体は、既に死んだ個体を発見するや否や鼓膜が破れんばかりの声量で鳴いた。恐らく番だったんだろう。だとするなら、今現れた個体はメスだろうか?
「マズイ・・・逃げようトキ!」
「多分逃げても追いかけられるだけだと思う。きっと追いつかれるし、ここで倒さないと」
「じゃあ、さっきのやり方でもう一回倒すしかないのか・・・!!」
「ううん、わたしがやる。多分、一撃で倒せるよ」
「え・・・」
これまでトキが戦った事が一度もない。しかし彼女の声色からして自信はかなりあるようだ。彼女は転生者だ。僕達を遥かに凌駕した力を持っているんだろう。
「それじゃあ、任せても良い?」
「うん。任せて」
口角を少し上げてニコリとほほ笑んだトキの体からは凄まじい量の魔力が溢れ出し始める。思わず腰を抜かしてしまうようなる量の魔力だ。今まで彼女から魔力を感知する事は無かったが、今の彼女からは町1つ吹き飛ばせる量の魔力を感知している。
「えっと、多分・・・こうかな?」
トキの手の中に何の魔術にもなっていない純粋な魔力の塊が出来上がる。人の頭サイズの球体だ。
「えいっ!」
それを勢いよくロックイーターの方へと投げると、魔力の玉はすーっと浸透するようにロックイーターの体内へと入っていき。そして────────
「ギャアアアアァァァァァァ!!」
四方八方に肉塊をまき散らしながら爆ぜた。
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