記憶喪失の異世界転生者を拾いました

町島航太

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二章 愛の対義語

46話 強力な協力者

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 しかし、こんなに巨大な魔物と戦うとは思っていなかったので、武器は身無しの騎士から拝借したボロボロの剣と、あちこち凹んでいていつ壊れてもおかしくないタワーシールドしか持っていない。

 自分の物持ちの悪さに嫌気がさす。普段からもっと丁寧に扱っていればこんな事にはならなかっただろう。しかし、今更嘆いていても何も変わらない。今持っている物だけで何とか解決しなければ・・・。

「岩や鉱石を主食としている特性上、皮膚はそれらの成分で出来た強固な外骨格で守られているっていう図鑑の情報は間違っていないみたいだ」

 つまりは鎧を纏った魔物というわけだ。素早い上に硬いという弱点なしの魔物に見えるだろうが、そんな事は無い。人間が纏っている鎧のように身動きを取る為に関節には外骨格はついていないはずだ。

「つまりは関節を狙えば良い話だ・・・」

 幸いにも、体は昇りやすい。よし、この戦法で行こう。

「ガ、ガル・・・大丈夫?」

「あのデカブツめ・・・いきなり出てきやがって」

「二人とも無事でよかったです」

「ええ、二人ともかすり傷だから安心して。それよりも私達は何をすればいい?」

「悔しいが、瘴気の中での戦いに慣れているのはお前だ。ここはお前に指示を仰ぐ事にする。さあ、何でも言え。指示通りに従ってやる」

「それじゃあ、できるだけあの魔物の注目を浴びてください。僕はその隙に魔物の体を昇って関節に剣を刺してきますので」

「分かった。分かったが・・・俺も攻撃くらいはして良いだろう?」

 そういうオルタ副団長の手には愛用の武器である鉄製の鉤爪が装備されている。リリィ団長も片刃剣を構えている。

「ガル、わたしはで良い?」

「うん。気持ち悪くなったら言っても。今日はリリィ団長もオルタ副団長もいるからそっちにも頼んで良いから」

「分かった。頑張ってね」

「うん、行ってくるね」

 盾を投げ捨て、極限まで身軽になった状態でロックイーターへとツッコんでいく。そうすると勿論僕に注目するわけで、僕に顎攻撃を喰らわせにくるのだが、そこにオルタ副団長の横槍・・・横爪が入る。

「お前の相手は俺だ。かかってこい」

 外骨格とは言え、爪で引っかかれたことにより注目が僕からオルタ副団長に移行。僕は視界から消え去ってしまったみたいだ。

 ロックイーターの視線がオルタ団長の方に向いているうちに僕は尻の方からロックイーターに上り始める。やはり、外骨格の間の隙間には柔らかい皮膚しか存在していなかった。
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