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二章 愛の対義語
43話 2つの災難
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「・・・ねぇガル。さっきから思ってたんだけど、その子はここにいて大丈夫なの?」
「トキの事ですか?」
「その子以外ありえないでしょ。浄化の眷属でもないのに、どうして瘴気の中にいても平気なわけ?もしかして何か不思議な力を持っているとか?」
「そうなんです。彼女は死ぬ事も無ければ魔物化する事なく、瘴気を体内にため込む事が出来るんです」
「こうやって・・・すぅぅぅ」
大きく息を吸って、瘴気を体内に取り込む。すると辺りの瘴気が無くなった代わりに彼女の体は灰色になってしまった。
「おい、大丈夫なのか?背信者になったんじゃないのか?」
「ご心配なく。こうやってすればすぐに治りますので。ガル」
「分かった。来て」
ガルは灰色になったトキを全身で受け止めると、浄化の奇跡の使って彼女の体から瘴気を取り除いた。すると、トキの体も元の色へと戻っていく。
「・・・えっとガル?今までずっとそんな事してたの?」
「え?あ、はい。瘴気を浄化するには必要な事だったんで・・・」
「それなら、さっきやったみたいにガル1人で出来るんじゃないかな?」
「確かにできる事は出来るんですけど、時間がかかりますし、それに何よりトキに吸って貰ってから浄化した方が体力を消耗せずに済むんです。瘴気が一か所に集まっている状態なんで」
「・・・・・・・・・まあいいや。そこにやらしい気持ちが無いならまだ、ね」
「「??」」
ガルとトキは頭上に?を浮かべ、オルタは頭を抱える。オルタはどうやら今の状況を理解しているみたいだ。これ以上拗れないように無理矢理話題も変える。
「そういえば魔物はいないみたいだな。鉱山だからか?」
「鉱山には魔物以前に生き物自体が少ないですからね。僕も鉱山については全く知識が無いんですが、確か鉱石を食べる虫が生息しているとかは幼い頃に旅の商人さんから聞いた事があります。子供を騙す可愛い嘘の可能性もあるかもしれませんが・・・ってうわぁ!!」
ガルは思い切り転んだ。足元には別に躓く物は何も落ちていない。転んだ原因はいきなり地面が揺れたからだ。油断していた他3人も壁にぶつかったり、よろけたりと地震の影響をモロに受けた。
「地震!?一体何年ぶりかしら・・・」
「少なくとも28年生きている俺にとっては初めての体験でしたが。それにしても強かったですね。瘴気だけでなく他の災厄までもが襲ってくるだなんて・・・神々は俺達を試しているんでしょうか?」
「もし、コレが試練だというのなら、あまりにも少数に任せすぎだと思いますけどね」
そういうガルの表情はあまり明るいものではなかった。
「トキの事ですか?」
「その子以外ありえないでしょ。浄化の眷属でもないのに、どうして瘴気の中にいても平気なわけ?もしかして何か不思議な力を持っているとか?」
「そうなんです。彼女は死ぬ事も無ければ魔物化する事なく、瘴気を体内にため込む事が出来るんです」
「こうやって・・・すぅぅぅ」
大きく息を吸って、瘴気を体内に取り込む。すると辺りの瘴気が無くなった代わりに彼女の体は灰色になってしまった。
「おい、大丈夫なのか?背信者になったんじゃないのか?」
「ご心配なく。こうやってすればすぐに治りますので。ガル」
「分かった。来て」
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「確かにできる事は出来るんですけど、時間がかかりますし、それに何よりトキに吸って貰ってから浄化した方が体力を消耗せずに済むんです。瘴気が一か所に集まっている状態なんで」
「・・・・・・・・・まあいいや。そこにやらしい気持ちが無いならまだ、ね」
「「??」」
ガルとトキは頭上に?を浮かべ、オルタは頭を抱える。オルタはどうやら今の状況を理解しているみたいだ。これ以上拗れないように無理矢理話題も変える。
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「地震!?一体何年ぶりかしら・・・」
「少なくとも28年生きている俺にとっては初めての体験でしたが。それにしても強かったですね。瘴気だけでなく他の災厄までもが襲ってくるだなんて・・・神々は俺達を試しているんでしょうか?」
「もし、コレが試練だというのなら、あまりにも少数に任せすぎだと思いますけどね」
そういうガルの表情はあまり明るいものではなかった。
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