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二章 愛の対義語
37話 ボロボロの心
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「あれ・・・?もう、夜?」
ガルが目を覚ましたのは、空が完全に真っ暗になってからだった。焚火の熱に誘われるように目を覚ました。
「寝すぎだ。神殿にいた頃のお前からだと考えられないな。毎日7時間睡眠で規則正しい生活をしていたお前は何処に行ったんだ?」
「オルタ副団長・・・すみません、最近ずっとこんな感じなんです。だからトキにも凄い迷惑をかけてしまっていて」
「わたしは迷惑だとは思った事はないよ?」
「だ、そうだ。せめて感謝しておけ」
「ありがとう・・・ところで、今は何処に向かっているの?」
感謝の言葉からすぐさま話題を切り替えるガルに一同は驚きを通り越し、呆れる。
「お前、自分がそうなった理由を分かっているのか?」
「浄化活動・・・ですよね?」
「分かっているのにその有様か・・・こりゃあ重症だな」
今まで嫌味しか言ってこなかったオルタもガルの変貌ぶりにどのような対応をすればいいのか困り果てている様子。
「ガル、今向かっているのはブレ洞窟。鉱山で瘴気が発生しちゃったんだって」
「ブレ洞窟・・・ドワーフの集落でしたっけ?それは大変だ。すぐに行かないと」
「夜だぞ。瘴気が発生する前ならまだしも、今はあちこちに魔物が蔓延っている。動き回るのは自殺行為だ。装備もままならない状態ならなおさらだ」
「でも・・・」
「でもじゃないの!ガル、貴方もっと自分を大切にしなさい!!」
「・・・はい」
どういう理由かは分からないが、剣は鞘から抜けない。タワーシールドはあちこち凹んでいて、パワー系の魔物の一撃を喰らったら崩壊するのは試さなくても分かる。
「それじゃあ、もう少しだけ眠っていても良いですか?まだ眠いんです」
「それ本気で言っているのか?トロール倒してから今まで7時間も寝ていたのに?」
「はい・・・おやすみなさい・・・」
眠りの挨拶を告げると、ガルは宣言通りに眠りについてしまった。
「トキ、コイツは最近ずっとこんな感じなのか?」
「はい。暇があればいつも寝ています。どうしてだかはわたしにも分かっていません」
「ガル、大変だったんだね。でももう大丈夫だから。私がついてるから」
オルタさんの話によると、リリィさんはガルと同じく孤児で同じ神父さんの元で育てられた血の繋がっていない姉弟の関係らしい。彼女の参加でガルの精神的苦痛が和らぐ事を心の底から望んでいる。
リリィさんは眠るガルを胸元に近づけて頭を撫でる。しかし、その表情は弟に向ける表情にはとても思えないほど妖艶だった。
ガルが目を覚ましたのは、空が完全に真っ暗になってからだった。焚火の熱に誘われるように目を覚ました。
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「オルタ副団長・・・すみません、最近ずっとこんな感じなんです。だからトキにも凄い迷惑をかけてしまっていて」
「わたしは迷惑だとは思った事はないよ?」
「だ、そうだ。せめて感謝しておけ」
「ありがとう・・・ところで、今は何処に向かっているの?」
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「夜だぞ。瘴気が発生する前ならまだしも、今はあちこちに魔物が蔓延っている。動き回るのは自殺行為だ。装備もままならない状態ならなおさらだ」
「でも・・・」
「でもじゃないの!ガル、貴方もっと自分を大切にしなさい!!」
「・・・はい」
どういう理由かは分からないが、剣は鞘から抜けない。タワーシールドはあちこち凹んでいて、パワー系の魔物の一撃を喰らったら崩壊するのは試さなくても分かる。
「それじゃあ、もう少しだけ眠っていても良いですか?まだ眠いんです」
「それ本気で言っているのか?トロール倒してから今まで7時間も寝ていたのに?」
「はい・・・おやすみなさい・・・」
眠りの挨拶を告げると、ガルは宣言通りに眠りについてしまった。
「トキ、コイツは最近ずっとこんな感じなのか?」
「はい。暇があればいつも寝ています。どうしてだかはわたしにも分かっていません」
「ガル、大変だったんだね。でももう大丈夫だから。私がついてるから」
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