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二章 愛の対義語
35話 次の目的地
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「酷いクマ・・・一体何時間眠っていないの?」
「えっと、6時間です。彼は毎日8時間以上は寝ています」
リリィの疑問に答えるのは、ガルの旅仲間であるトキ。ガルのことしか見えていなかったリリィはこの瞬間にトキの存在に気がついた。
「貴女は誰?」
「わたしはトキって言います。3ヶ月前、エルフの森で彷徨っている所を彼に保護されてからずっと一緒に行動しています」
本当は土に埋まっている上に転生者なのだが、ガルから軽率に言わないように忠告を受けているトキは、できる限り最小限の嘘をつく。
しかし、リリィはそんな事は気にしてはいなかった。彼女が気にしているのは、ずっといるという所だけだった。
「私の方が!ガルと一緒にいる時間は長いけどね」
「・・・?」
どういう意味かはトキには理解できなかった。噛み合っていない2人を見かねたオルタが2人の間に入る。
「気にしないで彼女はちょっとストレスで荒れている。ガルの同行者でいいんだよな」
「はい、トキと言います」
「そうか・・・一体どこの神の信仰者だ?そんな色見たことないぞ」
「邪神か何かじゃない?」
「リリィ団長、それは侮辱にあたります。大変失礼した。話を戻そう」
トキは自分が記憶喪失である事、何も知らない事を話した。
「なるほど・・・こいつらしい行動だな。それで、どこに向かおうとしていた?」
「瘴気が発生している所をしらみつぶししているんですけど、ついさっき浄化したのが最後で情報が尽きてしまいまして、そこの商人さんに話を聞こうとしたんです」
「なるほど。ハーフリングの商人さん、ここら辺で最近瘴気が発生した場所がどこか知らない?」
「瘴気が発生した場所?・・・ブレ洞窟ですかね?」
ドワーフが住処として使い、鉱山に繋がる洞窟としても有名な場所だ。ゴッズステイの鉄の6割はブレ洞窟から発掘されているとも言われている。
鉄は、武器になる。実際、ガル達が使っている武器や防具は全て鉄製だ。その為、ブレ洞窟が瘴気に占領されてしまえば、ゴッズステイはじわじわと魔物達に侵略されていくだろう。
ハーフリングは他にもいろんな場所から瘴気が発生している事を教えてくれた後にどこかへ商売に行ってしまった。
「ガル、起きて。今、ブレ洞窟が危ないんだって」
「ブレ、洞窟・・・分かった」
立ちあがろうとするガル。しかし、足元がフラついてまともに立つ事すらできない様子。
「立つな、足手纏い。俺が担いでやるからそれまで休んでろ」
「ありがとう、ございます・・・」
そう言い残すとガルは気絶するように眠りについた。
「えっと、6時間です。彼は毎日8時間以上は寝ています」
リリィの疑問に答えるのは、ガルの旅仲間であるトキ。ガルのことしか見えていなかったリリィはこの瞬間にトキの存在に気がついた。
「貴女は誰?」
「わたしはトキって言います。3ヶ月前、エルフの森で彷徨っている所を彼に保護されてからずっと一緒に行動しています」
本当は土に埋まっている上に転生者なのだが、ガルから軽率に言わないように忠告を受けているトキは、できる限り最小限の嘘をつく。
しかし、リリィはそんな事は気にしてはいなかった。彼女が気にしているのは、ずっといるという所だけだった。
「私の方が!ガルと一緒にいる時間は長いけどね」
「・・・?」
どういう意味かはトキには理解できなかった。噛み合っていない2人を見かねたオルタが2人の間に入る。
「気にしないで彼女はちょっとストレスで荒れている。ガルの同行者でいいんだよな」
「はい、トキと言います」
「そうか・・・一体どこの神の信仰者だ?そんな色見たことないぞ」
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トキは自分が記憶喪失である事、何も知らない事を話した。
「なるほど・・・こいつらしい行動だな。それで、どこに向かおうとしていた?」
「瘴気が発生している所をしらみつぶししているんですけど、ついさっき浄化したのが最後で情報が尽きてしまいまして、そこの商人さんに話を聞こうとしたんです」
「なるほど。ハーフリングの商人さん、ここら辺で最近瘴気が発生した場所がどこか知らない?」
「瘴気が発生した場所?・・・ブレ洞窟ですかね?」
ドワーフが住処として使い、鉱山に繋がる洞窟としても有名な場所だ。ゴッズステイの鉄の6割はブレ洞窟から発掘されているとも言われている。
鉄は、武器になる。実際、ガル達が使っている武器や防具は全て鉄製だ。その為、ブレ洞窟が瘴気に占領されてしまえば、ゴッズステイはじわじわと魔物達に侵略されていくだろう。
ハーフリングは他にもいろんな場所から瘴気が発生している事を教えてくれた後にどこかへ商売に行ってしまった。
「ガル、起きて。今、ブレ洞窟が危ないんだって」
「ブレ、洞窟・・・分かった」
立ちあがろうとするガル。しかし、足元がフラついてまともに立つ事すらできない様子。
「立つな、足手纏い。俺が担いでやるからそれまで休んでろ」
「ありがとう、ございます・・・」
そう言い残すとガルは気絶するように眠りについた。
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