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一章 使命と転生者
22話 啓示
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洞窟と行ったら、鉱山できるものとばかり思っていたから、森の中に洞窟があると聞いた時はゴッズステイの命運が関わっているというのに、心が躍ってしまった。
浄化の神殿周辺から出た事がないので、驚きと初めてばかりでついつい遊びだと勘違いしてしまうが、本来の目的はゴッズステイ中の浄化だ。忘れちゃいけない。
そして、集落に来る時も同じだったように、道中には魔物はおらず、草食動物達が穏やかに暮らしていただけだった。
この生活がほんの少し瘴気で終わってしまうと思うと恐怖で鳥肌が立つ。なんとしてでも守らなくては・・・。
言われた通り北東に歩く事10分。洞窟は思ったよりも集落から近かった。そして、想像していた洞窟とは姿形だけでなく、形成しているものまで違っていた。
「巨大な朽木・・・その空洞が洞窟になっているのか」
既に朽ちた木の中が空洞化して洞窟と化したらしい。朽ちた原因は瘴気ではなく、寿命みたいだ。外見に瘴気が帯びていないので分かる。
しかし、中は別だ。朽木の一部崩壊によってできた出入り口から瘴気がちょっぴり漏れ出している。入り口周囲の植物だけ瘴気に侵されてしまっている。
「ここの穴から入っていくの?」
「そう。それでもって最奥にある瘴気の穴を適当な岩で防いで浄化の力で封印する・・・ってトキちゃん!?どどうしてリュックの中に!?ていうかいつの間に!?」
僕のリュックの口から可愛らしく顔だけ出してきたのは、置いて来たはずのトキちゃんだった。軽くしたはずなのに、なんか重たいなと思っていたが、まさかリュックの中に入っていたとは・・・。
「ていうかトキちゃん軽いな。もっと食べさせないと・・・じゃなくて!どうしてここにいるの!待っててって言ったじゃないか!」
「ガルがいないと寂しいから。それと、ガルについて行った方が良いって」
「自分で考えたんじゃなくて?誰かに言われたの?一体誰?」
もしかしたらヒューム嫌いのエルフがいて、トキちゃんを殺す為にリュックに入るように唆したと言うのなら、そのエルフ、どうしてくれようか。
「知らない人」
「エルフのかな?」
「ううん、エルフじゃない・・・と思う」
「思うって・・・顔は見なかったの?」
「見えなかった。夢の中だったから」
「夢の中・・・もしかして啓示?」
時々、神は信仰者の夢を通して導く事があるらしい。それを啓示と呼ぶ。滅多にない事だし、浄化の女神様はここ100年近く啓示してくれていないらしい。
「知らない人曰く、わたしは瘴気の中に入っても大丈夫なんだって!」
そう言うとトキちゃんは瘴気溢れるリフレ洞窟へと入って行ってしまった。
「待って!!」
僕も急いで彼女を追いかけた。
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「ていうかトキちゃん軽いな。もっと食べさせないと・・・じゃなくて!どうしてここにいるの!待っててって言ったじゃないか!」
「ガルがいないと寂しいから。それと、ガルについて行った方が良いって」
「自分で考えたんじゃなくて?誰かに言われたの?一体誰?」
もしかしたらヒューム嫌いのエルフがいて、トキちゃんを殺す為にリュックに入るように唆したと言うのなら、そのエルフ、どうしてくれようか。
「知らない人」
「エルフのかな?」
「ううん、エルフじゃない・・・と思う」
「思うって・・・顔は見なかったの?」
「見えなかった。夢の中だったから」
「夢の中・・・もしかして啓示?」
時々、神は信仰者の夢を通して導く事があるらしい。それを啓示と呼ぶ。滅多にない事だし、浄化の女神様はここ100年近く啓示してくれていないらしい。
「知らない人曰く、わたしは瘴気の中に入っても大丈夫なんだって!」
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「待って!!」
僕も急いで彼女を追いかけた。
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