22 / 141
一章 使命と転生者
21話 初めてへの恐怖
しおりを挟む
トキちゃんの髪の毛を切り終わり、夕食をいただいた僕は明日の探索の為にすぐに眠りへとついた。
「ガル、寝るの?」
「うん、明日は早いからね」
「どこに行くの?」
「瘴気が発生してるところだよ」
「わたしも一緒に行って良い?」
「ダメ。死んじゃうから」
「・・・そっか」
トキちゃんには自分の意思があまりない。故に素直にいう事を聞いてくれる。
「大丈夫、すぐに帰ってくるから。それまでエルフのお姉ちゃんと遊んでてね?」
「ガルは、大丈夫なの?」
「僕は何故か大丈夫なんだ。多分神様のおかげなんだろうけども、それが本当なのかどうかは分からない」
「ガルは、凄い人なの?」
「いいや、そんな事はないよ。僕はたまたま選ばれただけさ」
瞼が鉛製かと誤解するくらい重くなる。重さに従い、ゆっくりと瞼を閉じると気付いた頃には小鳥が囀っていた。
瞼の上から光が差してくる。もう朝みたいだ。
横のベッドで寝ているであろうトキちゃんを起こさないように起きて身支度をする。
革鎧の金具を留めて、剣を腰に下げ、タワーシールドを背負う。洞窟に潜るのにこんなに大きな盾は必要かと思うかもしれないが、リリィ団長がくれたものだ。お守りとしてもきっと役に立つだろう。
「ヒュームは本当に身支度が早いのね」
「僕はどちらかというと団の中では遅い方ですけどね。ところで、聞いた話によると、リフレ洞窟で瘴気に侵されて死んだ方とお友達だったそうですね」
「あら、誰から聞いたの?・・・って多分お父さんか」
「保証はできませんが、もし見つけたら必ず連れて帰ってきます。死んでもずっと瘴気の中にいるのは辛いでしょうから」
「フフッ、貴方優しいのね。それじゃあ、お願いできる?あの子が好きだった場所に埋めてあげたいの。それなら満足してあの世に行けるだろうからさ」
「はい、任せて下さい!」
「それじゃあの子の事は任せておいて。私がしっかりと面倒見ててあげるから。貴方は思う存分浄化してきなさい」
「はい!」
長老の娘さんにも背中を押してもらった。初めての浄化活動、不安で仕方ないが、これさえこなせば感覚は掴めるはずだ。頑張ろう。
「ところで貴方何歳なの?」
「15です」
「・・・わっっか!その歳で綱渡りみたいな人生送ってるんだなんて尊敬するわ。自分の才能を森から出さずにずっと引きこもってるエルフ達も見習ってほしいわ」
「人の生き方はそれぞれですよ。それじゃあ、行ってきます!」
ガルは長老の娘に手を振りながら北東にあるリフレ洞窟へと向かっていくのであった。長老の娘はというと、トキの様子を見に行った・・・のだが。
「あれ、トキ?どこに行ったの?」
トキの寝ていたベッドはもぬけの殻だった。
「ガル、寝るの?」
「うん、明日は早いからね」
「どこに行くの?」
「瘴気が発生してるところだよ」
「わたしも一緒に行って良い?」
「ダメ。死んじゃうから」
「・・・そっか」
トキちゃんには自分の意思があまりない。故に素直にいう事を聞いてくれる。
「大丈夫、すぐに帰ってくるから。それまでエルフのお姉ちゃんと遊んでてね?」
「ガルは、大丈夫なの?」
「僕は何故か大丈夫なんだ。多分神様のおかげなんだろうけども、それが本当なのかどうかは分からない」
「ガルは、凄い人なの?」
「いいや、そんな事はないよ。僕はたまたま選ばれただけさ」
瞼が鉛製かと誤解するくらい重くなる。重さに従い、ゆっくりと瞼を閉じると気付いた頃には小鳥が囀っていた。
瞼の上から光が差してくる。もう朝みたいだ。
横のベッドで寝ているであろうトキちゃんを起こさないように起きて身支度をする。
革鎧の金具を留めて、剣を腰に下げ、タワーシールドを背負う。洞窟に潜るのにこんなに大きな盾は必要かと思うかもしれないが、リリィ団長がくれたものだ。お守りとしてもきっと役に立つだろう。
「ヒュームは本当に身支度が早いのね」
「僕はどちらかというと団の中では遅い方ですけどね。ところで、聞いた話によると、リフレ洞窟で瘴気に侵されて死んだ方とお友達だったそうですね」
「あら、誰から聞いたの?・・・って多分お父さんか」
「保証はできませんが、もし見つけたら必ず連れて帰ってきます。死んでもずっと瘴気の中にいるのは辛いでしょうから」
「フフッ、貴方優しいのね。それじゃあ、お願いできる?あの子が好きだった場所に埋めてあげたいの。それなら満足してあの世に行けるだろうからさ」
「はい、任せて下さい!」
「それじゃあの子の事は任せておいて。私がしっかりと面倒見ててあげるから。貴方は思う存分浄化してきなさい」
「はい!」
長老の娘さんにも背中を押してもらった。初めての浄化活動、不安で仕方ないが、これさえこなせば感覚は掴めるはずだ。頑張ろう。
「ところで貴方何歳なの?」
「15です」
「・・・わっっか!その歳で綱渡りみたいな人生送ってるんだなんて尊敬するわ。自分の才能を森から出さずにずっと引きこもってるエルフ達も見習ってほしいわ」
「人の生き方はそれぞれですよ。それじゃあ、行ってきます!」
ガルは長老の娘に手を振りながら北東にあるリフレ洞窟へと向かっていくのであった。長老の娘はというと、トキの様子を見に行った・・・のだが。
「あれ、トキ?どこに行ったの?」
トキの寝ていたベッドはもぬけの殻だった。
10
お気に入りに追加
42
あなたにおすすめの小説

家庭菜園物語
コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。
その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。
異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。


~クラス召喚~ 経験豊富な俺は1人で歩みます
無味無臭
ファンタジー
久しぶりに異世界転生を体験した。だけど周りはビギナーばかり。これでは俺が巻き込まれて死んでしまう。自称プロフェッショナルな俺はそれがイヤで他の奴と離れて生活を送る事にした。天使には魔王を討伐しろ言われたけど、それは面倒なので止めておきます。私はゆっくりのんびり異世界生活を送りたいのです。たまには自分の好きな人生をお願いします。
ボッチになった僕がうっかり寄り道してダンジョンに入った結果
安佐ゆう
ファンタジー
第一の人生で心残りがあった者は、異世界に転生して未練を解消する。
そこは「第二の人生」と呼ばれる世界。
煩わしい人間関係から遠ざかり、のんびり過ごしたいと願う少年コイル。
学校を卒業したのち、とりあえず幼馴染たちとパーティーを組んで冒険者になる。だが、コイルのもつギフトが原因で、幼馴染たちのパーティーから追い出されてしまう。
ボッチになったコイルだったが、これ幸いと本来の目的「のんびり自給自足」を果たすため、町を出るのだった。
ロバのポックルとのんびり二人旅。ゴールと決めた森の傍まで来て、何気なくフラっとダンジョンに立ち寄った。そこでコイルを待つ運命は……
基本的には、ほのぼのです。
設定を間違えなければ、毎日12時、18時、22時に更新の予定です。

没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~
土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。
しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。
そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。
両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。
女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

転生してしまったので服チートを駆使してこの世界で得た家族と一緒に旅をしようと思います
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
俺はクギミヤ タツミ。
今年で33歳の社畜でございます
俺はとても運がない人間だったがこの日をもって異世界に転生しました
しかし、そこは牢屋で見事にくそまみれになってしまう
汚れた囚人服に嫌気がさして、母さんの服を思い出していたのだが、現実を受け止めて抗ってみた。
すると、ステータスウィンドウが開けることに気づく。
そして、チートに気付いて無事にこの世界を気ままに旅することとなる。楽しい旅にしなくちゃな
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる